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三学期の短さと新学期の喜び

 三学期は短い。

 もう少しでこのクラスとお別れかと思うと寂しくなる。

 そんな思いをよそに、望月はにこにこと笑っていた。

「やっと三学期になったね! 田宮くん、久しぶり!」

「あー、三学期だりーなあ」

 俺の呟きに笹塚は苦笑した。

「はやくね?」

「おっす、ササ、たみっちゃん、あと望月さん」

 染川も登校してきて教室は賑やかになった。

 結局、望月は最後まで望月さん呼びで終わりそうだな。

 朝の挨拶もそこそこに授業が始まる。

 中学の頃は味わえなかった幸せを今のうちに噛みしめておこう。

 来年もいいクラスにあたるとは限らないもんな。


 ――――図書委員会も楽しいし、三学期の目玉クソつまらん行事、授業発表会の準備も和気あいあいと進む。

 そうして行事が終わると、テストになる。

 テストの順位は、俺――十位、望月――五位、増谷――八位、川辺――百五十位、神田島――三位、相沢――九十八位、笹塚――五十位、染川――八十二位。

 親には褒められたが、一学期の新入生テスト以外で一桁とれていないんだよなあ。教科別の順位で英語では毎回三位以内だけど。

 テストも終わって二年生の季節が幕を開けた。

 廊下に張り出されたクラス分け発表の紙を見ると。

 一組――――望月。

 二組――――川辺、神田島、相沢。

 三組――――俺、染川、増谷、笹塚。

 おお、結構いいクラス分けだなー。

 可愛い子がいて、仲のいい友達が同じクラスかあ。

 ――嬉々として隣を見ると望月が死んだ顔をしていた。

「……うげ」

 確かに望月からしたら地獄のクラス分けかもしれない。

 いつものメンツで誰一人同じクラスの奴がいないし。

 俺は下手に慰めずに自分のクラス教室に向かった。

 あいつはバカで空気が読めなくて、子どもっぽくて周りにバカにされているけど、本人の朗らかで自分から積極的に他人に話しかける性格のおかげで孤立していない。

 ただし、コミュニケーション能力がないクセに積極的だからいろいろ問題は起きるし、何より力技で前に進むだけの強さはあるが、悩みがちな性格のせいで、かなり生きるのが辛そうだ。

 また新学期、健闘を祈るぞ、望月。

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