ファーストコンタクト
初投稿です。ふつつかものですが、よろしくお願いいたします~!
小説は小さい頃から書いていましたが、ホームレスが主人公の話とか、猫が主人公の話とかばっかり書いていたので、趣向を変えてラノベっぽい雰囲気を意識しています。
私はただ、アスペルガーの女の子が素敵な恋をする話が書きたいだけなので、別に社会問題とかを取り扱うつもりはないです。
でも、大した知識もないのにやたらお涙頂戴で、ハッピーな話で……とかは個人的に嫌なので、発達障害についてもそっと勉強したいと思います。
では、小説が下手なネット初心者だと思って、読んでくださったら嬉しいです。
俺は昔、不登校だった。
その期間は一年間と、不登校の中では短い方らしいが、確実に俺の自意識に影響を与えている。
不登校のきっかけはなんだったのだろう。よく思い出せないのか思い出したくないのか。
学校に通いだしたきっかけは覚えている。高校受験をするためにいやでも布団から身を這い出さなければいけなくなったのだ。
そして現在の俺はというと、普通に都立高校に入学して――――エイリアンに振り回されている。
***
入学式はひどく簡素なものだった。異常に短い(三分未満)校長の話に対して、「生徒の気持ちをよくわかっていらっしゃる」と喜ぶべきなのか、「この学校はドライなのかな」と不安になるべきなのか。
式が終わってクラスごとの記念写真撮影の後、俺は在籍する一年二組の担任に連れられて教室に入る。広さも内容も特に特徴のない教室だった。
出席番号順に席に着くと、前の席の男子に話しかける社交性のない俺は、可愛い子の率を探るべく教室内を見渡した。
「あ……」
辺りを見回していると『僕の妻はエイリアン』というタイトルの本が目に入った。本から視線を上げていくと読んでいたのは隣の席の女子。
大人しそうな美人の女の子だった。
セミロングの黒髪に、白い肌。長いまつげにぱっちりと輝く茶色い瞳。ぷっくりとしたさくらんぼ色の唇。全然幼くはないけれど小柄で華奢な体型。
「どうしたの?」
視線に気がついた女の子が、愛想笑い込みで首を傾げる。「見てんじゃねえよ!」とか罵倒されないで良かった。
「いや……ええと」
俺はなんといえばよいかわからず、視線を下げる。すると、女の子はぱっと顔色を明るくした。
「あ! この本のこと? 『僕の妻はエイリアン』はね、高機能自閉症の妻との結婚生活を夫の視点で描いたノンフィクションだよ!」
俯いた俺の視線を、彼女が手に持っている本への興味だと誤解してくれたようだ。
「ふ、ふうん。そうなんだ……。面白そうだね」
俺は適当に相槌を打つ。
「高機能自閉症って、空気が読めなかったり、こだわりが強かったり、要するに社会に溶け込むのが苦手な人たちなの。作者はそこに目をつけて、彼らをエイリアンと称しているの。エイリアンって悪口じゃないよ。ちゃんと意味があるの」
ちょっと話が長い気もするが、オタク気質な人って趣味の話が長かったりするから、まあ彼女はそういう人なのだろう。俺みたいな見た目からしてオタクの奴にも愛想がいいし、いい子かもしれん。
「きみ、名前はなんていうの? あ、私は望月コウミ」
「田宮ヤシロ……」
小さな声で答えると、望月は優しく微笑んだ。
「よろしくねっ。田宮くん」
初めて会う男子に対して、望月の愛想が良すぎる気がしないでもないが、まあ普通の出会いだろう。
これが見た目は清楚でそこそこの美人望月との、ファーストコンタクトだった。
※参考文献
「僕の妻はエイリアン-高機能自閉症との不思議な結婚生活-」作者 泉流星
*高機能自閉症には様々なタイプの人がいます。望月さんの説明はある一面で言えばとても正しいのですが、あくまで「そういうこともあるんだな」程度にお考え下さい。