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一緒に立って歩ける男性かデートします
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カフェに入ると、彼は先にドアを押さえた。
自然だった。演技じゃない。そういうところを見る。
席に着いて、メニューを開く。
私が迷っている間、急かさない。
スマホも触らない。
「決まったら呼ぼうか」
その一言で、この人は“一緒に立つ”可能性を一つ得る。
話題は仕事。
自慢はしないけど、投げやりでもない。
うまくいかなかった話を、他人のせいにしない。
その姿勢を、私はコーヒーを混ぜながら聞いている。
店員さんが水をこぼしたとき、
彼は一瞬で「大丈夫ですよ」と笑った。
優しさじゃなく、反射だった。
こういう反射は、長く一緒にいると命綱になる。
帰り道、歩幅を合わせてくる。
私が黙ると、無理に埋めない。
沈黙を怖がらない男かどうか、それも見ている。
好きかどうかは、まだ決めない。
ときめきより先に、
この人の隣に立った自分を想像する。
風が強い日でも、
何もない日でも、
一緒に立っていられるか。
今日は、その確認のためのデート。




