Chapter 16 – Clash of Titans
夕闇の中、浜辺は異常な静寂に包まれていた。
嵐の中心に立つ二人の間には、波の優しいさざめきだけが囁く。ラコローンはコーラ缶をカチリと開け、その炭酸の音が張り詰めた空気を切り裂いた。彼はゆっくりと飲み干し、嘲笑うように至近の観衆を凍りつかせる。対するヴァルゴールは腕を組み、あまりに冷静な笑みを浮かべていた。「さて…」ラコローンは頭を傾げて言う。声は滑らかだが、鉄の刃を含んでいた。
「お前は革命軍最強か?」ヴァルゴールはさらに微笑む。「試してみるか?」ラコローンは表情を引き締めた。「問題は…ここじゃ武器は使えない。」ヴァルゴールの瞳が内なる炎で微かに輝く。「これは純粋な力の勝負だ。殺すのに武器はいらない。」彼は骨が軋む音を響かせ、にやりと笑う。「俺たちみたいな男は、手を使うだけでも許可が必要なんだ。」ラコローンの目が鋭くなる。「悪役みたいな物言いだな。」ヴァルゴールの返答は雷鳴の如く。「俺は悪役さ…でも悪役にだけ。」ラコローンは太陽の光に歯を輝かせて笑った。「悪を倒すには…時にもっと大きな悪が必要だ。」世界が息を止めるレフェリーの震える手が挙がる。「開始!」一瞬すべてが止まった。
空気さえも躊躇う。砂がゆっくりと舞い上がり、地面が裂け始めた。遠くの海岸線に震動が広がる。そして—ドカン。二つのオーラが爆発した。ヴァルゴールの炎は金赤に燃え、ラコローンのは深紅で嵐のように濃密だった。
雷が雲一つない空を走り、観客は轟音と風の怒号に絶叫する。ジェシカは圧力からマヤをかばい、囁く。「彼らの魂が…地を震わせている。」天が砕ける戦士たちは姿を消した。
次の瞬間、空中で拳が激突し、衝撃波が地平線を引き裂いた。波は獣のように退き、人々は気を失い、カメラはオーバーロードで炸裂、音の壁も崩壊した。拳は再び絡み合う—一つは赤、もう一つは金—雷のように脈打つ血管。ラコローンは空中で回転し、蹴りを放つ。ヴァルゴールはすねで受け止める。衝撃が叫びをあげ、砂は蒸発した。「自然災害みたいだ!!」誰かが叫んだ。上空から見ると二つの彗星の衝突のよう。深紅と黄金が秒速で数千の打撃を交換する。
レフェリーも力に飲まれ息もできず倒れた。「弱者は…俺たちを見られもしない!」ヴァルゴールは戦いの中で唸った。意志の武器ラコローンの裏拳がヴァルゴールの顎をかすめる。巨人は笑い、回転しながらラウンドハウスを放ち、浜辺に溝を刻む。
ジェシカはマヤを抱きしめる。「この化け物たち…」ラコローンは着地し、にやりと笑う。「レフェリーもいない。ルールもない。目撃者もいない。」ヴァルゴールの笑い声は嵐のように轟いた。「ならば手加減はやめよう。」黄金の光が腕を包み、金属の鱗が肌から爆発し、肉体が武器と融合する。
鋭く光る爪が手から伸びる。「これが俺の具現化武装だ。」ラコローンは息を吐き、周囲の空気が揺らめいた。
空の手を握りしめると—シャアイン!—赤い刀身が二本現れ、その後オーラからガンのシルエットが浮かぶ。「なら俺もオモチャを出すぜ。」解き放たれた戦い鋼と黄金が激突した。火花が世界を満たし、ガンは轟音をあげ、エネルギー弾が空気の中を蛇のように曲がり飛ぶ。
ヴァルゴールは素手でそれを捕らえ、爆発で百メートルの高さまで海水が吹き上がる。「水面が裂ける!!」ヴァルゴールは爪を振り下ろし、溶けた砂のガラスに溝を刻んだ。
ラコローンは二本の剣を交え、雷鳴のごとき音を響かせる。雷は彼らの動きを真似、空まで模倣した。
ジェシカの声は囁きだった。「もう試合じゃない…戦争だ。」足元の砂はガラスに変わり、砕け、再び熱で融合した。嵐の心臓ヴァルゴールが爪を砂に打ち込み、浜辺全体が爆発した。
ラコローンはガンの連射で反撃し、全弾が飛翔しながらオーラで軌道修正される。
黄金の怪物は笑い、火花を浴びせる。「いいぞ…いいぞ!!」二人は再びぶつかり合い、双剣と爪が火花を散らし雷鳴を奏でた。
海は後退し始め、波は恐怖に震え、険しい海底が現れた。ジェシカはマヤの顔を隠した。「このままだと…島ごと沈むかも。」だが両者は止まらない。血が彼らの肌を赤く染め、目は狂気に燃えていた。「お前は狂っている」ラコローンが息をつく。
「楽しんでいるな」ヴァルゴールは応じた。二人の笑い声が風に溶け、破壊の悦びに囚われた二匹の捕食者のようだった。巨人の激突最後の一撃が迫る。深紅の剣と黄金の爪が完璧に交差した。世界が裂けた。浜辺が内側に崩壊し、砂と海が何マイルも轟く衝撃波で引き裂かれる。
赤と黄の稲妻が絡み合い、雲に伸びていく一瞬の閃光。大陸からは、核の夜明けが海辺で花開いたように見えた。そして沈黙。余波浜辺の半分が消滅し、海がその空洞を埋めようと荒れ狂う。煙の中に二つのシルエットが立って動かない。
ジェシカの胸は激しく鼓動した。「その衝撃…」彼女は囁く。「神をも葬る力だ。」霧が晴れると、ラコローンの歪んだ血だらけの笑み、ヴァルゴールの野性的で狂喜した瞳が見えた。「これが…はじまりに過ぎない。」ヴァルゴールは飢えた声で呟いた。




