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なろう系打ち合わせ会議  作者: お赤飯
3/11

なろう系打ち合わせ会議3

瀬能さんとなろう系小説担当者の会議、今回のテーマは「グルメ系エンタメ」

瀬能「まだまだ行くんでしょうか?それとも終焉の銀河なんでしょうか?」

担当「なんですか?スパロボをブチ込んで来て、先生?スパロボの件ですか?」

瀬能「ちがいます。なろう系小説よりも深刻だと思うのが、グルメ系エンタメです。」

担当「ああ。グルメ漫画。グルメドラマ。グルメバラエティ。・・・グルメ系のエンタメは時代を問わず鉄板ですから。視聴率が取れなくなったら、動物と子供、グルメ。これだけやっていれば視聴率が取れるって言われる三種の神器ですからね。」

瀬能「子供のエンタメは最近、見なくなりましたね。いろいろスポンサーからの圧力があるのでしょうか?」

担当「子供のエンタメは少子化の時代、合わないという意見もありますね。昔とちがって。王道の子供番組といえば、初めてのおつかいくらいでしょう?まだ残っているのは。それ以外は綺麗さっぱり消えてなくなりましたね。大家族ものに吸収された気概もありますけど。」

瀬能「子供が健気に頑張る姿を見て感動するっていう時代が遠くなってしまったんですね。」

担当「子供の成長を見て涙するより、それだったら自分に投資する時代ですから。あえて子供を作らない夫婦もいるそうですよ。子供に回すお金を自分達でそのまま使えるから。」

瀬能「家族の形はそれぞれですからここで言っても仕方がないですけど、ドラマでも、家族ゲームとか、それこそ北の国からみたいに、子供が不憫な目に遭えば遭う程、感動しますからね。子供は感動の押し売り道具です。・・・ちがいますよ。子供の話じゃないですよ。グルメの話です。」

担当「グルメもドル箱ですね。・・・ただ、先行きは不透明で、パイは削られてきているって話は聞いた事あります。」

瀬能「そうでしょう。なろう系もそうですが、グルメ系も出し尽くした感は否めませんものね。」

担当「食べるものに関しては、昔からの焼き直しで、今だから、ウケるっていう要素でもないんですよ。こればっかりは時代とのマッチングとしか言えませんよね。食べるものが時代で変わるなんてあり得ませんから。」

瀬能「ほら?戦国時代のご飯を食べるとか、縄文時代の物を食べるとか、あるじゃないですか?」

担当「うぅん。先生。ここだけの話ですよ。グルメ系のエンタメは、見て、それを食べたいっていう動機に繋がるかで、売れる売れないが決まるんです。題材をやり尽くして、じゃあ過去の食べ物だったり、ファンタジーの世界の食べ物を、挙げ連ねた所で、購買意欲に繋がるかと言えば、これは、別問題です。売れているかと言われると、微妙ですね。・・・面白いと思いますよ。それに、ちゃんと大学の歴史学者に監修してもらって再現までして、それを漫画なり映像なりに起こす訳でしょう?ただ、ユーザーが喰いつくかは別です。はっきり言って。」

瀬能「その資料的価値はあるけれど、エンタメとして昇華しているかと言えば疑問っていう話ですか。参考になります。」

担当「グルメ系の先細り感は、当然感じますよ。」

瀬能「グルメ系は、なろう系と違って、実写化と相性がいいじゃないですか。」

担当「どうしてもファンタジーはアニメと親和性が高いですけど、売れる所までいけば、ハリウッドで実写化されて、よく分からない話になってしまいますけどね。・・・黄金の羅針盤みたいに。」

瀬能「藤堂龍之介の方じゃない方。」

担当「先生も私も黄金の羅針盤と言えばフロッピー世代ですよね。」

瀬能「やめて下さい。私はリメイクのリメイクのリメイクくらいです。あえてオリジナルも遊びますけれども。」

担当「そう。なろう系と違ってグルメ系は、実物を再現できるじゃないですか。食べ物ですから。そして、役者がそれを食べてリアクションも取れる。」

瀬能「食べ物が主役ですから、役者が演技をしなくてもいい、なんて話も聞きますけど。」

担当「グルメが主体の話に、前後の面白くない小芝居パート、入れないと尺が持たないっていう根本的な話と、タレント事務所からも、顔を出させて売り出したいっていう思惑があって、小芝居のパートも重要なんですよね。ただ、食べるっていうだけじゃなくて、その、下地っていうんですか?何故それを食べるのか、どうして美味しいと思えるのか、っていう下地を持って食べるから、視聴者に共感を得られる、らしいです。ただ食って、感想言うだけじゃ、バラエティ番組と変わらないし、ドラマだとキャラクター性も大事ですからね。」

瀬能「市原隼人の奴なんかは、完全に、市原隼人の皮を一枚、破った感がありましたよね。あの人、憑依系の役者じゃないですか?ああいうコメディのグルメドラマ、やるんだって思いましたもん。ああ、あと、千明様。」

担当「千明様?」

瀬能「栗山千明ですよ。ゴーゴー夕張でおなじみの。千明様のぼっち感が出ていて良かったんですけど、もう少し、千明様の痛さを前面に出した方が面白かった様な気がします。千明様はどっちかって言うと私達寄りの人間ですから、アニメ見ながら独り言いって、度数の高い缶チューハイ飲んで、風呂も入らず寝て欲しいです。・・・そういうドラマ。そういう役が似合うと思って。」

担当「・・・痛いじゃないですか?」

瀬能「痛いですよ。痛いのが似合うんですよ、千明様は。」

担当「グルメ系もやり尽くした感は本当にありますよね。」

瀬能「もうお亡くなりになった土山先生が、ことごとく、やり尽くしましたからね。何をやっても、何を書いても、土山先生のレールに乗るしかない。本当、土山先生は偉大です。土山先生の凄い所は、料理人の話だけじゃなくて、食べる方も書きましたからね。大食い。フードファイターっていうジャンルを確立したんですから、食文化そのものと言っていいと思います。」

担当「ドラマになってましたよね?」

瀬能「私、どっちかっていうとドラマから入ったんで。漫画の方は、コロコロ並みに凄くて。いや、カイジ並みというのか。大食いの勝ち負けで、命が取られるとかそういう話ですよね?命を懸けて大食いしてますからね、彼らは。奇想天外摩訶不思議。どうせ食べる、グルメ系なら、土山先生ぐらいぶっ飛んでてもらいたいです。共感よりも驚愕です。あと、私、前から気になっていた事があるんですけど。小学館のあれ。どんどんの気になるあれ。」

担当「だんだんですね。DANGDANG気になる。由真ちゃん。スケバン刑事の。」

瀬能「新聞の文化面で、究極の料理を発表するっていう物語ですよね。途中から、美食の父親が出てきて、ライバル新聞社が、至高の料理とか言っちゃって、究極対至高対決、って構図になりましたけど。」

担当「はいはい。」

瀬能「当初は国内の、それこそ手間かけたり、見た事ない料理を見つけてきて、究極とも言える料理って、やってましたけど。新聞の紙面に載せるまでもないみたいで、社内の企画は停滞していた矢先、ライバル会社が至高の料理とか企画を丸ごと盗用して、なんだかんだあって、究極対至高。士郎対雄山っていう形に収まった訳ですが。私が言いたいのは、いつから山岡士郎が料理を作る話になったのか?っていう事です。これまで通り、究極の料理をみつけてきて、出せばいいでしょう?勝負すればいいでしょう?なのに、何時の間にか、料理対決になってしまって。究極とか至高とか、関係なくなってしまったんですよね。あいつ、新聞記者ですよ?料理を作るのが本業じゃないですよ?・・・読者も視聴者も変って思わないんでしょうか?そもそも、企画を出した新聞社も、お前んとこの新聞記者が思いついた、僕が考えた完璧超人みたいな料理を、究極の料理なんて言っちゃって、良いのでしょうか?」

担当「はい。知りません。・・・その件は踏み込まないのが鉄則です。」

瀬能「私、それだったら秋元康原作のオーマイコンブの方が究極だと思うんですよね。」

担当「究極ですか?」

瀬能「・・・まぁ。究極というか。あれを超えるグルメ漫画はない、と思います。」

担当「グルメなのかは謎ですけど。」

瀬能「うぅ。グルメではないかも。」

担当「先生、究極とか至高とか言っていますけど、実際、そういうの、あるんですかね?」

瀬能「ありますよ。」

担当「本当ですか?・・・先生が言うとなんか嘘くさいなぁ。」

瀬能「もう答えが出てるんですよ。とっくの昔に。究極とか至高とか言い方はそれぞれですけど、世界で一番、おいしい料理は、腹が減った時に食べるもの。それ以上においしい料理はありません。」

担当「そういうのは先生、ナシですよ。ナシ。空腹とか感情論を入れたら、死んだ、母親が作ってくれた味噌汁とか言い出したら、思い出に勝る料理は出来ませんから。思い出補正がかかればどんな料理も美味しいし、再現不可能です。戦時中に食べた白飯が美味いとか、手塚治虫、水木しげる、やなせたかしの世代になってしまいますからね。何もない時代で食えたものは、それは美味しいですよ。比べるものがありませんから。」

瀬能「それはそうなんですけどね。国営放送のスペシャルでやっていたのを見たんですけど、世界の富豪です。世界の。世界の経済界のトップ達の間で、グルメの会があるらしいんです。なんでも食べつくした、グルメの限りを尽くした人達。それこそ、星がつくガイドの店を、世界規模で回るような人達ですよ。今日はドイツ、明日は日本、明後日はフランスみたいに、美味しいと噂になればどんな場所へでも行きたい時に行ける人種。リアルな金持ちです。そういう人達のグルメの会で、辿り着いた答えは、質素。まぁ。質素。究極という言葉を使いたくないですけど、究極の質素ですよ。想像するならば、白飯に塩をかけて食べる、くらい質素。超VIPで超グルメの人達が辿り着いたのは、超質素だったんです。その質素加減も、半端ではなく、全部、完全無農薬。完全手作り。暇も手間もお惜しみなくかけている、質素の料理。言うなれば、さっき話した通り、戦時中に、食べる料理みたいなもんですよ。食べる物がない時代の。そういう料理を提供している店があるんですが、一日、一組限定で、スタッフも何人も雇っていて、たぶん一人、百万円単位で支払っているんじゃないでしょうか。場所も、郊外で、自動車では行けないような場所で。でも、行くんですよ、リッチマン達は。山越え、川越え。質素な料理を食べる為だけに。塩なんかも、手作りですよ。釜でわかして水分飛ばして。

世界一の美食の人達が、お金を出し惜しみしないで食べる、最高の贅沢としているのが、質素。質素な料理なんです。究極自然ですけどね。

この時代、考えたら、味の素かけっちゃった方が楽だし、手間いらないし、そういう時代でしょ?だから反対に、手間暇かけて何から何まで自分達で作る、素材から自分達で作りますからね。そういう自然の恵みをそのまま料理して食べる事が、贅沢とされている、ようです。私はいくらお金があっても、そういうものを食べたいとは思いませんね。俗物ですから。」

担当「私も俗物で構いません。そういう一周まわって質素な料理が美味しい、っていうのに追いついていませんから。」

瀬能「それでですね、次回作は、『美味まかっちゃん』と書いてうまかっちゃん。」

担当「ありますね。・・・ありましたね、うまかっちゃん。」

瀬能「『デリシャスんぼ』」

担当「響きが悪いですね。デリシャスんぼ。ゴロも悪いし。」

瀬能「『オ美味しいマサヨシ』『大美味しい蔵之介』・・・まぁ、タイトルはまだ考えていないのですが、新聞社に勤める主人公が、新聞の企画で、アルティメット料理を紹介するっていうのはどうでしょうか?」

担当「アルティメット料理ですか?」

瀬能「例えるなら、究極対至高対アルティメット。アルティメットっていう位ですから、日本に限らず、世界のアルティメットな料理を紹介していく、そういうなろう系で。やはり、料理ですから対決もあり。おかしな声をする副部長とか、料理はできないけど、味覚はするどく、感想も毒舌という、相棒のキャラもいます。」

担当「・・・まぁ。なろう系ならギリギリいけるかな?先生、そのアルティメット料理ってどういう物なんですか?」

瀬能「私達、日本は世界で見れば、東の外れの国じゃないですか。シルクロードで考えているんですけどね。ギリシャの方から流れ流れてインド、中国を抜けて日本に伝わったものに、漢方があります。漢方の類は大方、ぜんぶ、アルティメットですね。・・・場合によっては、輸入が止められている動物が元になっているものもありますし、毒物で体に入れてはいけないものもあります。・・・アルティメットでしょう?」

担当「ええ。アルティメットですね。・・・先生、それ、美味しいんですか?」

瀬能「美味しくはないですよ。漢方ですから。死ぬ毒物も入っていますから、美味しいとか言っていられませんよ。」

担当「死んじゃうんですか?」

瀬能「不老不死になるとか言われる素材ですから、大概そういうものは毒です。不老不死になると信じて食べたのに死んでしまうとか。権力者の強欲さは加減を知りません。」

担当「美味しくもないし、死んじゃうのを、作品に出来るんですか?」

瀬能「あくまで構想中です。あとは、アマゾンのジャングルで、そこに住んでいる現地人しか知らない、謎の動物、謎の植物、謎の魚。」

担当「謎ばっかりじゃないですか?」

瀬能「アマゾンのジャングルは、今や製薬会社のハンターとバイヤーが闊歩している、第二の鉱山ですからね。ダイヤモンドや金以上に金になる、世界中のマネーが集まってきていると聞きます。そういう謎の食べ物を紹介知れば、アルティメットでしょう?」

担当「アルティメットかも知れませんが、謎じゃ、書きようがないじゃないですか。」

瀬能「おお。鋭い。・・・う~ん、アルティメットんぼ。良い案だと思ったのですが。」

担当「先生、やはりグルメ系は、読者、視聴者に共感ですよ。驚愕より共感。」

瀬能「サラリーマンが一人でお店で食べる、サラリーマンが一人でスーパーのお惣菜を買って食べる、サラリーマンが居酒屋で安くお酒を飲む。サラリーマンからは共感を得られると思いますが、哀愁しか感じませんよ。かと言って、トレンドは高級志向より庶民派志向。」

担当「ビジネスホテル、喫茶店、中華料理店だったり、自動販売機のインスタント食品まである始末ですからね。やってないニッチなものを探すのも難しいですよね。」

瀬能「なんなら逆張りで、取材拒否だけの店の特集もありますからね。なんですか?もう、グルメ系は。なろう系より地獄絵図じゃないですか。やはりシルクロードを西に歩いて、グルメを伝える方が面白いのでは?」

担当「先生、それは普通に西遊記ですから。逆マルコポーロ。逆東方見聞録。・・・ずぅっと前に国営放送のスペシャルでやりましたし、最近だと何年か前にナスDも歩きましたからね。ああ、そんな事言ったら、猿岩石も。」

瀬能「美味しくない店を更生させるっていうのも土山先生がやりましたし、どうして不味い料理を作るのか、っていうのも土山先生が解説しちゃってますから。美味いから不味いまで。流石土山先生です。・・・貧乏飯。そうだ、貧乏飯っていうのはどうですか?」

担当「貧乏飯ですか。・・・なんていうんですか、獄中での食生活を漫画にしたのもありますけど。でも、最強の貧乏飯って、中居君がテレビで披露した、水かけご飯って答えが出ちゃってますけど。」

瀬能「なんですか?それ、水かけご飯って。」

担当「黒薔薇でやってたんですけど、中居君が、冷や飯に、水道水をかけて、ご飯を食べてたっていうんで、それをテレビで再現したんです。良純とか食べてましたね。決して美味いものではないらしいですけど、中居君は、普通に食べてました。」

瀬能「チンしないんですか?」

担当「無かったんじゃないんですかね?もしくは料理全般が出来ない人間なのかは知りませんが、冷や飯に、水道水をかけて、そのまま、お茶漬けみたいにして食べてましたよ。」

瀬能「水かけご飯、越えられないですね。・・・困りました。水かけご飯、あたま、おかしいでしょ?」

担当「至って真剣に話してましたよ。」

瀬能「高級もダメ、貧乏もダメ、独りご飯もダメ、美少女もダメ、悲哀もダメ、キャンプもダメ、発酵もダメ、お取り寄せもダメ、便所飯もダメ、鍋もダメ、ダメダメダメ。ダメよ♪エ~ス、オ~、エ~ス」

担当「ピンクレディー!」

瀬能「これはどうですか?ご飯を食べるのに、毎晩、人の家に、上がり込むっていうのは?」

担当「となりの晩ご飯~ん!・・・ヨネスケ師匠ぅ!」

瀬能「人ん家のご飯を食べるなんて。いい加減にして欲しいですね。アハハハハハハハハハハハハハ。」

担当「笑っている場合ではないですよ、先生。」



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