なろう系打ち合わせ会議2
瀬能さんとなろう系小説担当者の会議。今回のテーマは「信長フリー素材問題」「ニートが人類滅亡世界でサバイバル
瀬能「思った事があるんですけど。」
担当「ええ。」
瀬能「信長、フリー素材問題です。」
担当「信長フリー素材問題?」
瀬能「信長、フリー素材過ぎやしませんか?新しい文献の発見で史実が更新されるなら百歩譲ってまだ理解できるんですが、信長という題材で、大喜利をやっているようにしか見えないんですよね?業界的にはどう思っているんですか?」
担当「そう言われましても?」
瀬能「一般の人間は織田信長の事なんか知らないじゃないですか?あの有名な自画像の絵だって、本当に織田信長かどうか怪しいって話もありますし。だいたい信長のイメージは、あのシミュレーションゲームのイメージが強すぎるんですよ。信長大喜利、信長フリー素材、もう少し、丁寧に扱った方がいいと思うんですよね?」
担当「先生の言いたい意図は理解できます。」
瀬能「だいたい信長の所に未来から来た人、現れるじゃないですか?他の人の前には現れないのに、信長の前にだけ、よく現れます。」
担当「本能寺の変が盛り上がりポイントですから。これはもう昔からで。腐女子という言葉が生まれる前から、やおい文化の時代から、ありましたし。」
瀬能「下手すればその前からですよ。コミケの前期の本当の同人誌即売会からですよ。」
担当「・・・確かに。」
瀬能「芥川とか川端も同人やってましたからね。」
担当「同人というか自費出版全般を同人誌と言っていますから。」
瀬能「話は前後しますけど、芥川なんかがやっていた同人も、今の同人と変わりなく、創刊号のメンバーは盛り上がるんだけど、二号、三号と尻すぼみになって自然消滅する。人間の熱量はどの時代も同じだと思うと、どんな作家も笑えてきますね。」
担当「いやいや先生。そこはほら、世界的に売れている文壇の先生と一緒にしてしまうのは流石にまずいと思いますけど。」
瀬能「いいじゃないですか?同人誌が同じメンバーと言うか同じサークルで、十冊だせたら大したものですよ?壁サークルですよ?芥川も太宰も壁サークルだったかと言われれば決してそうではないと思うんですが?」
担当「・・・先生、危険です。」
瀬能「壁サークルだったら今頃、山ほど、同人誌が残っていると思うんですけどね?」
担当「・・・ああいうのはだいたい好事家か研究家が保管していますから。博物館、大学の保管庫で、適正温度、適正湿度で管理されてますよ?」
瀬能「仮に、仮にですよ。私が書いた、コピー同人誌。私が死んだ後、私が世間から評価されて、一千万だ、一千億だ、という値段がつくようになったら、即売会の前日に、コンビニでコピーした同人誌も、博物館に保管されるのでしょうか?」
担当「もちろんだと思います。っていうか、絶対、保管しますよ。先生が社会的に認知された作家として評価された場合ですけど。村上やバンクシーあたりと肩を並べれば。」
瀬能「・・・それこそナンセンスですね。・・・担当さん、今のうちに私のコピー同人誌、取っておきますか?億にバケますよ?」
担当「先生?私を舐めてもらっては困りますよ。・・・私、なんの為に出版社で働いていると思っているんですか?そういう将来、化ける作家の原稿を、しかも、エラーものの原稿を少しずつ蓄えているんです。先生がいつ化けて、資産価値がついても、会社にバレないようにやっていますから。」
瀬能「・・・。・・・だいたい考える事は同じですね。」
担当「それ以前に売れる人は分かりますけどね。時代が変わって評価を受ける人間なんてそうそういませんよ。今、評価を受けていない人間が将来、評価が変わるなんて、ありませんから。」
瀬能「ほら、ゴッホとかピカソとか」
担当「あの人達は生前からそこそこ評価を受けていたんです。時代でバーンって値段が上がって資産価値は高くなりましたけど、作家の価値は生前からありました。・・・どの時代でも、ゴミが評価される事はないんですよ。ゴミはゴミ。評価される物は評価されているんです。」
瀬能「・・・それ、他の作家先生に言わない方がいいと思いますよ。気分、悪くすると思います。」
担当「一発でも売れれば大先生ですから。業界なんてそんなもんですよ。担当でついている時に売れてくれれば、それでオーケー。それ以上は望んでいません。会社としてはですけど。」
瀬能「それは私も同じ意見です。死んでから資産価値がついて高値で取引されても、私に一銭も入ってきませんからね。・・・そこはグレーな古本の世界にも言いたいですけれども。作家になったからには新品で買って、印税を私に入れてくれと。」
担当「それは私も同意見です。古本で売れても我が出版社にはお金は入りませんから。・・・まぁ絶版になった本が手に入る可能性がある、というのは無視できないですど。」
瀬能「確かに。その利点はあるんですよね。だからグレーっちゃグレーなんですよ。今まではそんなに表立って商売してこなかったのが、大々的にテレビでコマーシャルとかやっちゃって、出版業界的に大丈夫なのかな?って思ってしまいます。・・・買うなら安い方がいい。売るなら高い方がいい。印税も欲しい。」
担当「・・・先生。それ、真理です。」
瀬能「・・・そうそう。大分脱線しました。信長です。信長。私、高い信長のシミュレーションゲーム買えなかったんですよ。ファミコンで一万円以上しましたからね。ファミコンでですよ?値段と常識を疑いました。そんなお金があるんだったら違うゲーム買いますよ。そういう訳で信長の野望で遊ぶのは後になるんですが、あとは、あれですね。時の旅人。あれです。あれが信長フリー素材の一歩を踏み出したと私は思うんですよ。」
担当「先生、時空の旅人です。角川でしたっけ?」
瀬能「あん時の角川はサブカル一直線でしたからね。よく分からないけどSFがカッコイイってされた時代ですから。タイムマシン、超能力、宇宙、そして美少女。ねらわれた学園、見ました?」
担当「見ました、見ました、原田知世、超絶かわいかったですよね?」
瀬能「・・・薬師丸ひろ子です。」
担当「ええぇ?」
瀬能「そんな事より信長ですよ。だいたい未来から変な人が来て歴史改変されちゃうし。」
担当「そうしないと話、はじまらないですし。」
瀬能「ふつう会えないですよ?殿様ですよ?お殿様。一般人が謁見できる訳ないじゃないですか?首、切られて終わりですよ?あの時代、治安が良い訳ないんですから。女が一人で歩いていたら、すぐヤれてヤられちゃいますよ。・・・タイムスクープハンターを見習った方がいいと思います。」
担当「あれもドラマというかバラエティドラマですけど。」
瀬能「未来から人が来るだけならまだしも、ロボットになったり、女になったり、魔法つかったり。あとなんですか、軍師になったり料理人になったり。信長自体もそうですけど、近くにいる人間もキャラが濃い奴ばかりですからね。そんな事言ったら、シミュレーションゲーム自体、うまくやれば信長、生き延びるし、日本征服しちゃうし。・・・みんな信長、好きですよね?」
担当「好きなのと他の属性を付けるのはまた違うと思いますけどね。」
瀬能「信長、ヒットラーあたりはフリー素材だと思います。だいたいすぐ復活させられて、事件がおきて、また消されるっていう。人の命をなんだとおもっているんでしょうか。」
担当「元に戻さないと世界が危ないままですから。」
瀬能「西洋かぶれっていうキャラ設定ですけど、だからと言って、未知の文化をなんでも受け入れるっていう性格じゃないと思うんですけどね。珍しいものに興味があるっていうのも後付けですし。・・・あれだって、偉いから献上されただけであって、珍しいものを集めていた訳ではないですよ。・・・この前の大河ドラマみました?男性アイドル事務所のタレントが信長やってましたけど。」
担当「主役の家康だってその事務所のタレントだったじゃないですか。」
瀬能「くされBLですよ。くされBL。・・・王道ならまだしも。ドM家康攻め×ドS信長受けですよ。M攻めは王道じゃないですよ。」
担当「そこら辺は私、詳しくないのでちょっと。」
瀬能「BLくらい勉強しておかないと。」
担当「BLは別部門でして。・・・あそこもドル箱なんですけどね。」
瀬能「そうでしょうねぇ。・・・女は全員、BL好きですから。」
担当「そうなんですか?」
瀬能「ジャニオタなんてその下地がある人ばっかりですよ。ショタ好きもいますけど。下地は一緒。」
担当「それはそれで、危ない話のような気がします。」
瀬能「男が女性アイドルグループ好きなのも、ロリ好きと百合好きですよ。GL。GL。・・・ノンケの私からしてみたら、気持ち悪いですけどね。でも、好きでしょ?MVなんかでアイドル同士がキスしてますけど、あれ、プロデューサーだかの勘違いのファンサですからね。アイドルだから仕事としてキスしてますけど、同性からしてみれば、何見せられてんの?って思いますよ。本人達も大変だと思います。いくら仕事とはいえ。」
担当「ファンからみてみれば確かに、うーん。過剰ではありますがファンサービスですよね。・・・私も、同性同士のキスシーンには抵抗がある派なので。いくらアイドルとはいえ。」
瀬能「そういうのが綺麗だとか可愛いとか思っちゃうからいけないんですよ。そういうノリについていけない時点でファン失格なんですけどね。グループ内で殺伐としているのも嫌ですけど、同性愛っぽいのを匂わせるのも嫌いです。タレント本人がノンケなら、それ、伝わってきますから。」
担当「中には本気の人もいるでしょうから。」
瀬能「それ、反対によくないみたいですよ。本気の人は見抜くって言いますから。・・・テレビ超しに同じ業界の人って見分けられるらしいdす。」
担当「凄い特殊能力ですね。」
瀬能「それからですね。私、具体的に考えているプランがありまして。」
担当「・・・え?仕事の話ですか?」
瀬能「当然でしょう。それ以外に何の話があるんですか?次回作に向けて。いえ、次次回作かなぁ。ニートの人間が部屋から出たら人類が滅亡している、っていう話。」
担当「・・・?」
瀬能「首を捻らなくても。いやね。ニートの人間がいるんですよ。部屋から何十年出てこない。ご飯は家族が運んでくる。ところが、ある日を境にご飯が運ばれてこない。一日経っても、二日経っても運ばれてこない。業を煮やして部屋の外に出てみれば、誰もいない。家族がいない。それ所か、家の外に出ても誰もいない。どこに行っても人がいない。それで主人公は気が付くんです。人類が滅亡したと。」
担当「それだけ聞くと、過去にあったような気がしますが。」
瀬能「似た作品はあります。ただ、このプロットの作品は存在していません。・・・さすがに同人作品までは調べられないので、分かっている限りにはなりますけど。あと、海外の作品も同様です。」
担当「それで面白いんですか?先生のプロットだけ聞いても、何か、売れる要素は感じないのですが?」
瀬能「面白いのと売れるは、また別の話で、ニートしていたら人類滅亡っていうのは、滅亡の仕方にもよるんですが、アイアムアヒーローがそれなんですよね。」
担当「小学館じゃないですか?しかも大泉洋で映画化しちゃったし。」
瀬能「ただあっちは未知の生物に感染。ゾンビとしましょう。ゾンビに感染するじゃないですか。すると、人類は滅亡するけど、ゾンビはいる訳です。それって本当の意味の人類滅亡って言えるのかと思って。誰もいないから人類滅亡だと思うんです。ゾンビもいちゃ駄目。地球最後の男もダメです。」
担当「そうなるとどう展開するんですか?」
瀬能「より化学的にSFに話を盛り上げるべきなんです。人類滅亡して、地球でただ一人の生き残りになった訳です。いずれインフラも止まる。人間が存在しないのだから他の動物もいなくなっている事でしょう。動物がいないのだから、植物も?そこら辺が難しい所で。動物と植物も両方、生命じゃないですか?人間が滅亡するなら他の動物だって滅亡していてもおかしくないと思うし、動物がいなくなるなら植物も。そう考えると、まとまらなくなります。」
担当「・・・星野之宣あたりにそんな話、ありそうですよね?」
瀬能「・・・2001夜あたりにありそうな気もします。が、問題はそこではなくて、ニートが部屋から出たら人類滅亡の方で。」
担当「あのぉ先生。ニートだろうが一般人だろうが科学者だろうが、人類滅亡して、地球最後の一人になったら、サバイバルでしょ?ニート関係なくありませんか?」
瀬能「私もそこを悩んでいるんです。ニートの設定が台無しになるんです。当初、面白おかしく始めた話が、ただ単に、ふしぎな島のフローネになってしまう所なんです。」
担当「・・・一般的にはロビンソン一家漂流記ですけど。」
瀬能「インフラ止まったら、やる事は一緒で、スーパーに行って、乾物ものを取って来て食べるくらいでしょ?水を濾過して飲んだり。・・・さいとうプロのサバイバルの焼き直しなんですよね。」
担当「行きつく所はそうなりますよね。サバイバルになったらサバイバルには敵いませんから。」
瀬能「話のピークは、親がご飯を運んでこないで癇癪を起す。だんだん不安と疲弊する二日が限度かなぁっと。」
担当「・・・そうでしょうねぇ。」
瀬能「あと、かたくなに生き残っている人間を出さない。本当に世界で一人きり。・・・ニートなら独り耐性があるから、生きていけるかなぁっと。」
担当「・・・実際、どうなんでしょうか?人間、一人きりになったら生きていけるんでしょうか?しかも、先生、動物もいないんでしょう?話し相手がいなくなったら発狂するんじゃないでしょうか?」
瀬能「一応、文明の利器は残っていますから、漫画を読んだり、やろうと思えば電気も発電できますからゲームもできますし、DVDも見る事はできます。」
担当「毎日、漫画読んでいても飽きるんじゃないですか?」
瀬能「飽きるんじゃないでしょうか。」
担当「飽きますよね。」
瀬能「飽きますよ。仕事も学校も無い。生きている意味がないんだからすぐ鬱になると思いますよ。人間、ニートだからと言って、何も目的もない世界では生きていけないと思います。」
担当「今、ニートやっている人は何か目的があるようなおっしゃり方ですけど。」
瀬能「う~ん。難しい話だと思いますが、私の考えだと、ニートって社会と葛藤しているんですよ。葛藤しているという事は、それなりに正義と悪があって戦っている訳ですね。自分が完全な正義だったり悪だったりしたら思い悩まない訳です。葛藤しているという事は何か自分なりに考えているんです。一月の人もいるし何十年も悩んでいる人もいる。葛藤している間は死なないです。解決はしないかも知れないけど葛藤するという目的がありますから。ただ、人類が滅亡して、葛藤する社会がなくなってしまった場合、生きる意味がなくなってしまいます。葛藤する理由がありませんから。・・・鬱になりますよね。普通の人も、違うロジックで鬱になると思いますけど。」
担当「鬱にならない人っているんでしょうか?」
瀬能「いわゆる希望問題だと思います。恥ずかしながら帰って参りましたの日本兵の人、無人島から帰還できた人、そういう人達は、絶望の中でいつかは帰れるっていう希望があったから、それを糧に生きる事ができました。私のプロットでは完全な人類滅亡ですから、希望がありません。生きている意味がないのです。」
担当「インフラが遮断されたら情報も遮断される訳ですから、他の人間が生きている可能もある訳ですよね?」
瀬能「そうですねぇ。・・・可能性は否定できませんが、著者の設定では人類は滅亡しているんです。希望を夢見ながら生きていても、誰にも会えずに、一年、二年、経てば、希望は失われていくのではないのでしょうか?・・・そういう話、文献、調べていないから分かりませんけど。
あと、ニートって、沢山ネズミを飼う社会実験で調べた、カルフーンの実験から得られている事から推察するに、人間も、住む面積に対して人口が多いと思います。面積に対して人口が多いと、社会的な地位を破棄するネズミが出てくる様なのです。他のネズミに無関心であったり、性的対象と見ななくなったり、他者に攻撃的になったり、果ては何もしない異常行動を起こすネズミが出て来たんです。ニートもそれに該当するのではないかと推測します。社会的な立場を破棄してしまった、生まれるべくして生まれた、そういう存在ではないかと、思われる訳です。」
担当「・・・怖い話ですね。」
瀬能「別に自分が生殖行動をしなくてもネズミは増えますし、餌も食べられない日もありますが食べられる時もある。・・・人間も、社会的に何か役割を与えてもらわないと、もしくは、役割を持たないと、社会的環境に殺されるんです。生き甲斐ですよ、生き甲斐。人間、生き甲斐が無いと死んでしまうんです。果たして、ニートは人類が滅亡した世界で、生き甲斐もないのに、生きていけるのでしょうか?」
担当「え?・・・それを考えるのが先生の手腕の見せ所じゃないんですか?」
瀬能「・・・生きていけないですよ。いくらニートでも。・・・オナニーだって三日で飽きますよ?」
担当「まぁ。確かに。あの、先生。先生、女性なんですから、あの、オナニーっていうのは、いかがなものかと。」
瀬能「ああ。すみません。・・・セルフプレジャー?・・・オナニーでいいですか?面倒臭いんで。」
担当「どうにかニートの主人公も生きていく術がないでしょうか?」
瀬能「ニートって言っても、ご飯を運んでくれる家族がいた訳でしょう?・・・そんな一日、何秒かのやりとりでも、人間同士のふれあいがあった訳です。家族がいるっていう安心感。その安心感におんぶにだっこで甘えている部分も多分にある訳ですけど。そういう人間とのやり取りが全くなくなってしまった世界で、生きていけるものなんでしょうか?・・・甘えていた分、無理だと思うんですよね。」
担当「先生は主人公を殺したい?」
瀬能「殺すもの何も生きていけないって話です。・・・それで、面白いのかっていうと、どうなのかなって思って。」
担当「作品に起こした時にどうなるかって話ですよね。連載はじめてすぐ終わりじゃぁ、どうにもならないですし。」
瀬能「連載するも何も単発で終わってしまう気がします。短編?」
担当「・・・なるほど。」
瀬能「なるほど、でしょう?」
担当「ニートが人類滅亡で、サバイバル?」
瀬能「サバイバルじゃなくて結果、サバイバルになるって話で。」
担当「・・・信長が人類滅亡でサバイバルっていうのは、どうですか?」
瀬能「フリー素材だからなぁ。」