カズパンマン
発熱鼻水マン「ぐほほほほほほほほほほほ! ぐほほぉぉぉ、ほほほ、ほほほ~! 俺様の名前は、発熱鼻水マン! 直接的な事を言うと、ネットのリテラシーで名前が出ないから、間接的な名前にしてやったぜぇぇぇ! ぐほほほ、ほほ、ほ~!
地球上の、人間共を、発熱と鼻水で、苦しめてやるぅぅ~ ぐほほ、ほほ、ほ~!」
人間「ああ、熱が出たぁぁぁ!」
人間「ぐあぁぁ、なんだか体が重だるい。これじゃぁ会社に行けないぞ」
人間「学校に行けないよ」「今日は、一年に一回しかない、テストの日なのに!」
人間「下を向いたら、湯水のように鼻水が出る。」
人間「俺の体中の水分が、外に出てしまうぅぅぅうううう!」
人間「気のせいか、頭も痛くなってきた」
発熱鼻水マン「ぐほほほ、ほほ、ほ~♪ 人間共を苦しめ、経済活動を停滞化し、人類を破滅に追い込むのだぁ~!
同時に、製薬会社と癒着をし、更には、医療保険を圧迫して、税金をもっともっと高くしてやるぜぇぇえええ! ぐほほほ、ほほ、ほ~♪」
カズパンマン「やめるんだ! 発熱鼻水マン!」
発熱鼻水マン「誰だ!」
カズパンマン「勇気、一粒万倍日、カズパンマン!」
発熱鼻水マン「・・・・・カズパンマン?」
カズパンマン「みんなを、発熱と鼻水で苦しめるのはやめろ! ボクが相手だ!」
発熱鼻水マン「ぐほほほ、ほほ、ほ~! 俺様は人類が誕生する遥か以前より存在する、いわば、神のような存在! 俺を倒す事など、不可能だぁぁぁぁ!」
カズパンマン「いっくぞぉ~、発熱鼻水マン! 『風邪なんて気のせいだよ』!!!」
発熱鼻水マン「はっ?」
カズパンマン「『風邪なんて寝てれば治るよ?』『体にワクチンを入れるなんて、秘密組織の陰謀だ!』『そんな事言ってないで働けよ?』!!!!」
発熱鼻水マン「え? あ、あの、・・・・・なに、言ってんの?」
カズパンマン「”数”こそが正義!”数”こそが勝利! ボクは数で、キミをやっつけるんだ!」
発熱鼻水マン「そんな事、できるわけ、ないだろ? なめてんのか?」
カズパンマン「一人一人の力は弱くても、みんなの力が集まれば、キミなんか、敵じゃない! 『首にネギ巻け』『ママの愛とべぽらっぷ』!!!」
発熱鼻水マン「うぉぉおおお? なんだ? なんなんだ、この力はぁぁぁ? やめろぉぉお! やめろぉぉおおおおお!」
カズパンマン「・・・・・発熱鼻水マン。ボクはキミを倒す事が出来ない。キミは最強だ。何万年と人類を苦しめてきた。そしてそれはこれからも続くだろう。」
発熱鼻水マン「・・・・・・・」
カズパンマン「だけど、ボクは諦めはしない。何度でもボクはキミの前に立ち塞がる。今日はキミの負けだ、発熱鼻水マン!」
発熱鼻水マン「ぐほほほほほ、ほほほ、ほほ~♪ カズパンマン・・・・・今日の所は負けを認めよう。だが、世界中に、俺様より強い、未知の敵が潜んでいるぞ? いつまで人間共を守れるかなぁ?」
カズパンマン「やってやるさぁ! 例え人間は数を減らしても、いつか、また、数を増やしていく!それは歴史が証明している!」
発熱鼻水マン「まぁいい。今日の所はこれで引き下がろう。また会える日を楽しみにしているぞ、
カズパ・・・・・・・・・・」
人間「ありがとうカズパンマン!」「助かったわ!カズパンマン!」「カズパンマン最高!」
カズパンマン「勇気、一粒万倍日、カズパンマン! ・・・・今日のこの事も、世界中に拡散してね!」
瀬能「と、いう作品を書いてみたんですが、いかがでしょう?」
担当「『カズパンマン』?」
瀬能「ええ、数の力で敵を圧倒する、新しい正義のヒーローです。」
担当「新しいと言えば、新しいですが、」
瀬能「ほら、いま、1チャンネルでやってるじゃないですか、朝ドラの。やなせ先生の半生をやってるドラマ。」
担当「ああ、ええ。去年から今田フィーバーですからね。」
瀬能「それで思ったんです。昭和の大先生方って、それぞれ、思う正義が違うじゃないですか。戦争を体験された先生方は。水木先生しかり、やなせ先生しかり。やなせ先生は、”飢え”こそが敵で、”食べられる”ことが正義と説いてますよね。」
担当「簡単に言うと、そうらしいですね。だから、自分の顔を、差し出しても、お腹が減っている子に、アンパンをあげるんですよね。」
瀬能「そうです。正義って色々な形があると思うんです。食べられる事も正義なら、別の正義があっても良いんじゃないかと思って。」
担当「えっと、それが、『カズパンマン』?」
瀬能「そうです。過去、悪に対して、悪で対抗するダークヒーローは沢山いました。目には目を、歯には歯を。悪魔になっちゃう、主人公さえいましたからね。デビルイヤーは地獄耳ですよ。」
担当「正義を執行するにあたって、何をもって、それを行使するかですよね。」
瀬能「圧倒的な力を持っていても、その力で、事件を解決しても、他の人から理解されず、悩む主人公。それがこれまでの王道パターンでした。悩むのが大変だから、ダークヒーローにしちゃうっていう手もあるんですけどね。自分が悪になっちゃって、割り切っちゃえば、悩んで葛藤する必要がありませんから。もしくは、ギャグに逃げるとか。どっちかだと思います。」
担当「はぁ、そうですね。」
瀬能「だいたい周りから理解されないから、隠れて、正義のヒーロー、やっちゃうんですよ。
だったらね、そんなヒーロー、やんなきゃいいのに?って思いますけど。」
担当「まぁまぁ仮面ライダーもそうですけど、向こうから、勝手に攻めてくるパターンもありますからね。放って置いてくれればいいのに、そういう訳にはいかない場合もあるし。仮面ライダーは、復讐っていうのも一枚噛んでますし。正義の落としどころが難しいですよね。」
瀬能「私も当初、絶大な力でやっつけるか、人に隠れてやっつけるか、考えたんですが、面白味が足りないって言いますかそれで、”数”なんじゃないかと思いまして。多数決って強いじゃないですか。選挙でも何でも、数が多い方が強い訳だし。」
担当「ええ、多数決は数で、単純に勝負していますからね。」
瀬能「数が多い方が強いんです。これ、自然界でも同じ事が言えると思うんです。蟻とか蜂とか。一匹一匹の狂暴性もありますが、あの手の社会性を持ち、軍隊で行動する生物って、最終的に、一番、強いんじゃないかと思うんですよ。一匹、一匹じゃぁ、確かに、弱いですけど、何百、何千、何万と集まると、象でも殺すっていいますからね。」
担当「軍隊蟻なんか、襲われたら、ひとたまりもありませんからね。」
瀬能「戦時中でも、艦隊戦から飛行機戦に移っていきましたよね?でっかい、身動きのとれない、戦艦より、小型で小回りが利いて数が多い、戦闘機の方が、圧倒します。最後は、数なんですよ、数こそ正義なんですよ。
それに、普段の生活でもそうです。ゴミ出しのルールを守らない人がいたら、近所あつまって、自治会で、締め出しにかかりますからね。」
担当「良いか悪いかは分かりませんけど、反社会的な人が住んでいたのを、自治会で、追い出したって話もありますもんね。良いか悪いかは分かりませんけど。」
瀬能「『カズパンマン』は一人では弱いです。なんの力も持っていません。だけど、世界中の人に訴えかけて、仲間にして、それで、敵をやっつけます。インターネットで拡散したり、ショート動画で訴えかけたり。」
担当「今風ですね。」
瀬能「今風です。」
担当「でもあれですよね。人を煽ったり、煽動したりする訳ですよね?」
瀬能「それが『カズパンマン』の攻撃スタイルです。それしか攻撃する手段がありません。」
担当「ああ。あああ。・・・・・・勧善懲悪?」
瀬能「ええ。勧善懲悪です。悪は許しません。数の力で圧倒します!」
担当「例えばですよ? 例えば、やなせ先生のアレは、敵がいないんですよ。状況が悪いだけで。状況を改善させているだけで。仮に、敵っぽい奴がいたとしても、反省させたり、一緒に解決したりするんですよね?お腹が空いていたら一緒にご飯を、まぁ、やなせ先生の場合、パンなんですけど。パンを一緒に食べようって感じで。」
瀬能「『カズパンマン』は敵を一掃して終わりです。なんなら死体蹴りしますね。」
担当「それ?本当に正義のヒーローで、合ってますか?」
瀬能「正義のヒーローですよ。正義の執行ですから。だいたい、多数決ですから。みんなが悪って言っているんだから、悪なんです。」
担当「少数派の意見は?」
瀬能「数こそ正義ですよ? 少数派の意見なんか聞くハズないじゃないですか。世の中、みんな、そうじゃないですか。
自分の意見なんか、これっぽっちも持っていないし、みんなが言っているから正しい。そのみんなって誰? 情報のソースも確認しない。嘘か本当なのかは二の次。要は、ノリ。ノリなんです。」
担当「先生、それぇ、危なくないですか?」
瀬能「危なくないですよ、みんなが、そう、言っているんだから、正しい。正義です。正義!
売れているから正義、人気があるから正義、売れないのは悪。・・・・分かりやすくないですか?」
担当「・・・・非常に、市場原理で、分かりやすい、ですけど」
瀬能「なにひとつ責任を取らない、ぜんぶ責任転嫁、他人任せ、頭をつかわない、おおおお! 新しいヒーロー像として完璧です!」
担当「現在の社会を反映しているっていえば、している、ような? 風刺?」
瀬能「風刺じゃないですよ、浅草東洋館じゃないんですから。もう、数の暴力で、あらゆる物を殲滅します!」
担当「大丈夫ですか? こんなヒーロー? ヒーローかどうかも怪しいですが、暗殺とか、されません?狙撃されそうですけど。」
瀬能「暗殺されても、暗殺されかけても、支持者が神と崇めてくれますから、余計『カズパンマン』のパワーがアップします。」
担当「・・・・・どうしようもないですね。」
瀬能「ただ、『カズパンマン』にも弱点がありまして。」
担当「ダメな所ばっかりですけど。」
瀬能「『カズパンマン』の弱点は、アンチレビューですね。アンチです。または、報復レビューとか言われますけど。」
担当「はぁ」
瀬能「報復レビューが怖いから、レビュアーに対して、好意的な行動しかとりません。お客様、第一です。多くの支持者のお客様、第一優先で、戦います。」
担当「最悪ですね」
瀬能「そんな事はないですよ。見てみないフリをしたり、不具合や不適切な事がおきたら、お金で、解決すればいいんです。そのお金も、その後のサービスに添加すればいいだけ。『カズパンマン』の懐はなにも傷みません。まさに、最強でしょ?」
担当「・・・・・どうしたらいいんですかね?」
瀬能「担当さん。今は、声が大きくて、数をいっぱい集めた方が、勝ちなんですよ、数が正義なんですよ。
フォロアーの数が多い、若い人が、いい大人をアゴでこき使うんです。子供が将来、成りたい大人ってどっちですか? 簡単じゃないですか、楽に数を増やして楽したいに決まっているじゃないですか。子供も喰いつきますよ、これは。」
担当「没」
瀬能「ぐほほほ、ほほ、ほ~!」
※全編会話劇




