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空獣はモフられたい。

空の彼方。

そこに前人未踏の浮島があった。

島には真白な巨城が建てられている。


天の座、アイラリンド超天空城。


それは先の大戦――天界、人界、魔界の三界を巻き込んで行われた――で、天の切り札となる筈だった移動要塞。


しかして大戦の終結に間に合わず、結局は実戦投入されることのないまま持ち主不在となってしまった天の城である。


天空城には守護獣が存在していた。

その獣とは空獣ジズ。

世界に3体しか存在しない真なる怪獣の一角で、陸獣ベヒーモス、海獣レヴィアタンと並び称される空の支配者である。


ジズはずっと何かを待っていた。

父なる神よりアイラリンド超天空城の守護を申しつかってより幾千年。

瞳を閉じ、巨大な怪鳥の身を天空城に寄り添わせながら主不在の城を護り続けてきた。


そんな空獣ジズが、何かに気付いた。

閉じていた瞳を見開く。

かと思うと巨体――大地に足をつければ頭部が天に届くとまで言われる――を、のそりと起き上がらせる。


ジズが歓喜の声を上げた。

その声は空に(あまね)く響き渡り、広げた翼が太陽を覆い隠す。

ジズは巨大な翼で嵐を巻き起こしながら、天空城を飛び立った。


◆ ◇ ◆ ◇ ◆


ルシフェルは空を観察していた。


もっともっと高く飛びたい。

空の彼方を目指したい。

本能に従い、限界まで。


けれどもその為には空を泳ぐクジラが邪魔なのである。


このクジラ、ルシフェルの見立てでは天に登ろうとするものを排除しているように思えた。

というのもルシフェルが天を目指して高度を上げると、すぐに行く手を遮りにくるのだ。


それは一見すると空にクジラがいないように見えるときでも同じだった。

ある程度の高度まで飛ぶと、どこからともなくクジラが現れる。

そして体当たりを仕掛けてくる。

その様子はさながら海中に潜っていたクジラが、突如として海面ジャンプして姿を現すがごとくである。


体長数百メートルはありそうなクジラのジャンピングアタック。

邪魔なことこの上ない。

逃げようにも大き過ぎて逃げ場がないし、というかそれ以前にめちゃくちゃ怖い。


「あー、どうすっかなぁ……」


あれこれ頭を捻りながら、策を練る。


例えば囮作戦なんかどうだろう。

その辺りで適当な野鳥でも一羽ひっ捕まえて、空に放り投げる。

そしてクジラが野鳥に気を取られている隙に、高くまで登ってしまう作戦である。


と、ここまで考えてから、ルシフェルは(かぶり)を振った。

いやいや、それだと野鳥が可哀想だ。

一般的な日本人的感性をもつルシフェルは、罪のない動物を虐待することを好まない。


別の方法がいい。

けれども良い方法は思い浮かばない。

そうこうしている内に、やがてルシフェルは焦れてきた。


「……強行突破するか」


やはりこれしかあるまい。

短絡的かもしれないが、ルシフェルの飛行速度だって上がってきている。

上手くすれば普通にクジラを回避して天に飛び立てるかも知れない。


「要はエースコンバットの要領だろ? 俺、あのゲーム上手かったし」


そうと決めたら早速実行である。

ルシフェルは六翼を羽ばたかせて地を蹴った。

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