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小説家になろう 2021 夏のホラー

『立札』

作者: 木尾方

久しぶりに田舎に家族を連れて帰ってきた。

何年ぶりだろう、長女のあかねが、まだ2才だったから、4年ぶりになるのか…


ここも、新しい住宅も増えたみたいだ。

僕が住んでいた当時に比べると、人口も増えて、駅も綺麗に改装されてスーパーやドラッグストアもできた。


「パパ~」

「おーい、今いくよ。」

僕と娘は、変わった町を散歩していた。


妻は、まだ赤ん坊の長男と僕の実家で休んでいる。本当は、一緒に来たかったのだろうが、両親が初めて見る長男、そらを放さないのだ。あかねそらばかり構う祖父母がつまらないのだろう、私に「外に行こう」といい。仕方なく散歩にでかけたのだ。


僕が住んでいた住宅地の隣は、森が広がっていたのに、ここも新しい住宅ができていた。


「へー、やっぱり新しい住宅は、いいなぁ」

「茜も、こんな家に住みたい」

「そうだね。パパ頑張ります。」

新興住宅街を歩いていると、休みなのに人影が無かった。あまりに静かだった。蝉の声が遠くで聞こえる。


「パパ、これ何て書いてあるの?」

よく町で見かける迷惑防止の立札だった。

「これは、『ここで煙草を吸ってはダメ』って書いてあるんだよ」

「タバコはダメだよね」

「そうだね」

「じゃぁ、これは?」

「これは、『ここで笑ってはいけません』って…」

「笑っちゃダメなんだ」

「そ、そうみたいだね」


おかしい、見た目は普通なのだが、この路地、いろんな所に立札がある。

糞は持って帰ろう、唾を吐くな、夜は黙れ、ここでは走るな、自動車は徐行…何なんだ、ここは…気味が悪くなってきた。

あかねそろそろ戻…」ここは一方通行の立札を見てしまった。

次の路地を曲がって帰ろう。

そう思い、路地を曲がった。


「あ、パパ!公園だ!」

あかねは走って公園へと向かってしまった。

慌てて、追いかける。

「待って、あかね


真っ先にあかねは滑り台で遊び始めた。変哲もないありふれた住宅地にある小さな公園だった。小さな滑り台、幼い子供が乗る動物の置物、広場にベンチ

そのベンチの後ろには、やはり立札があった。


「なになに、『この公園では、ボール遊び、かくれんぼ、なわとび、ままごと、自転車、一輪車、バドミントン、カードゲーム、ゲーム機、花火、飲食、午後6時以降の立ち入りを禁止します』なんだこりゃ!」

読み終えて、ベンチに腰掛け、滑り台に視線を向けた。あかねは、滑り台の頂上から手を振り滑り落ちる。また、階段を上がり、滑り落ちるのを繰り返していた。


「あれ?」ふと、気づいた、ベンチに腰掛けると、ちょうど滑り台が正面を向いていて階段が見えない。でも、ほんの2、3秒であかねの姿が見えるのだったが、少し気になりベンチから腰を上げたとき

「パパ!次は、かくれんぼ ね」と聞こえた。

「え、ちょと、あかね」すぐに、滑り台に走って行ったがあかねの姿が見えなくなっていた。

あかね!ここは、かくれんぼ しちゃダメな場所だから、すぐに出てきて!」大声で必死に叫んだ。

すると、滑り板に身を埋めていたあかねが顔を出した。

僕は、安心しながらも鼓動が早くなっていた。

「よかった。」

「パパ、なにがよかったの?」

あかねが見つかって。もう、帰ろう」

「…」

あかね?どうした?あかね



「あーぁ、パパ、残念 『見つけた』って言わなければ、逃してあげたのに…」

「あ、あかね?何言ってるの?」


読んで頂き誠にありがとうございます。


少しペースが落ちたかなw


久しぶりに『夏のホラー2021』です。


もうじき、この企画も終了~なので、別の妄想に励みたいと思うけど、まだ書けるかなぁw


それでは、またお会いいたしましょう。m(._.)m






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― 新着の感想 ―
[良い点] 子供のかくれんぼに付き合うというのは、実に自然な設定で、色々と複雑な設定を考えていた自分が馬鹿に思えました。実に他の作品でも、こんな設定は無いのですよね。コロンブスの卵。 あと、立て札で…
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