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無双の旅人  作者: 時雨ルナ
第一章 少年時代
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ep0.始まりへと繋がる転生

”なあ、魔王よ”


”む?なんだ?”


”なんで俺たちは争わなきゃいけないんだろうな”


精霊暦525年、魔族と人族の存亡をかけた最終戦争、その名も”人魔(ヒュール)戦争”。その中でも激戦が繰り広げられた魔王城の最上階。そこで勇者と魔王は、戦闘後なのにもかかわらず穏やかな、さも昔から友達だったかのような、そんな雰囲気で語り合っていた。


”なぜ...か。まあ、昔から人間は差別意識が強かったからな。特に上層部はその傾向が大きかっただろう?”


”まあな。特に王族は、魔族だけじゃなく亜人族も嫌っていた。俺はその逆、魔族・亜人族との共存を望んでいた。しかし、勇者の肩書がそれを許さなかった。勇者は半強制的に国に従属しなければならない。もっとしっかりしていれば、もっと力があればと何度思ったことか。傲慢かもしれないが、そうすれば魔族も人族も救えたかもしれないと思った...。今更ではあるがすまなかったな、魔王。俺は同胞をたくさん殺してしまった”


”それはお互い様だ。我も貴様の仲間を殺したんだ。それに、これは戦争だ。死人が出るのは覚悟している”


”お前は強いな...。でも、だからこそ魔王(戦友)に託したい”


”ん?何をだ?”


”強いて言えば、この世界を、だ。俺はこの戦争が終われば強力な力を持つ危険分子として排除される。逃げることはできるが、魔族も亜人も殺しすぎている俺はどこにいっても迫害されるだろう。だが、お前は違う。勇者を打倒した英雄としてさらに支持を得る。そうすれば、多少強引に国を動かしてもついてくる者も多くなる。そこでだ。俺は、帰った後、最後の仕事として王国の差別派を消そうと思っている。幸いにも、国王の三男と次女は俺と同じ共存派の子たちだ。王位も三男にいく。そして、お前には再び和平条約の話を持ち掛け、結んでほしいのだ。あいつのことだ、すぐにでも承諾するだろう”


”ま、まて!和平条約の件は了解した。もともと、こちらから持ち掛けた話だし願ってもないことだ。しかし、貴様はどうなる?どこに行っても迫害されるといっていたし、さきほど最後の仕事とも言っていた。まるで、仕事が終わったら死ぬとでも言っているみたいだが...”


”そのとおりだ。お前も知っているだろう?勇者は例外なく一般人を凌駕する力を持つ。魔王であるお前と対等に渡り合えるくらいのな。そして、もう一つ。勇者はその人物のみが使うことのできるユニークスキルを持っている。俺のスキルは少し特殊でな。先代の勇者の人たちは全員攻撃系のスキルを持っていた。それに対して俺のスキルは転生という聞いたこともないものだ。しかし、使い方はわかる。発動条件は死ぬこと。効果はわからない”


”効果は不明...か。そして、発動条件は死ぬこと。だから、条約交渉の手助けを最後の仕事としてその謎スキルとともにいなくなる...と。貴様、そんな死に方をして寂しくないのか?”


”そりゃあ寂しいさ。だけど、これが成功すれば未来の勇者にこんな気持ちをあじあわせなくてよくなる”


”相変わらずの自己犠牲精神だな。でも、それが勇者か。我が死ぬなと言っても聞かないんだろ?”


”まあな”


”はあ...。貴様がいなくなると思うと少し寂しくなるな”


”そんなこと言えなくなるくらいにこれから忙しくなるぞ”


”ははっ、それもそうか。では、我は我で貴様がくれたこのチャンスをものにするために全力で臨むとしよう”


”ああ。そうしてくれ。俺はそろそろ行くとするよ”


”願わくば、またどこかで会えるように”


これを最後に勇者は消息を絶った。戦争は魔族の勝利に終わり、数日後、王国では差別派の貴族、王族が一夜にして殺された。それから一か月がたち、三男が国王に、その知らせを聞いた魔王は条約交渉するべく即座に行動に移した。国王はその条約を受け入れ、和平条約は締結。それからも、双方に利益が出るよううな交渉をいくつも行い、互いに信頼できるような間柄へと発展していきましたとさーーーーーー(大祭典第一節より抜粋)





人が住まないような秘境の奥で、とある夫婦がひっそりと暮らしている。ある日、その夫婦の間に赤子が生まれた。真っ赤な髪に綺麗な碧色の瞳。その夫婦は子どもに”ヒイロ”となずけて大事にかわいがった。そして、7年の月日が流れた。


「ヒイロ?忘れ物はない?お洋服は持った?ハンカチは?それに鉛筆とか...」

「お母さん大丈夫!荷物は全部アイテムボックスの中に入れてあるから!」

「俺たちが教えられることは全部教えたが、外は危険がいっぱいだ。慢心せず、常に努力を欠かさないようにな」

「それもわかってるよ、お父さん!」

「よし!それじゃあ行ってこいヒイロ!外の世界、たくさん楽しんで来いよ!」

「いつでも帰ってきていいのよ?ここはあなたの家なんだから!」

「はい!それではいってきます!お父さん!お母さん!」


これは、一人の少年が様々なことを経験し、いろいろな人たちに出会い・触れながら、成長していく物語。

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