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僕の家は第二生徒会室  作者: 南木
姫木学園埋蔵金騒動
25/26

ドジっ子たちの生徒会室 2

 僕がいつも通り布に包まれた二段重ねのお弁当箱を開いていると、隣の席ではリンネがカバンの中からとんでもないものを取り出していた。


「もしかして、それぜんぶお昼?」

「そ……そうよっ! ほら、あたしだって女の子だから、ササナ先輩みたいにたまには自分で作った方がいいかなと思って! でもちょっと作りすぎちゃったから……その、アキホも一緒に食べてくれる?」

「作りすぎってレベルじゃないよ!?」


 机の上にドンッと現れたのは、お弁当と言うよりもおせち料理だった。

 三段のお重には、大きめのミートボールやチャーシュー、それに角煮まである充実の肉類に、ポテトサラダから酢の物、さらにはもやしナムルまで入った統一感のないサラダ類、あとはかまぼこや卵焼きに煮干しなどのこまごましたものがぎっしり詰まってる。

 そして何より度肝を抜いたのが、一番下の段にずらっと並んだ大量のおにぎり……


 これは多分、手作りじゃなくてスーパーのお惣菜で安売りしてたのを、美味しそうだからってついついたくさん買っちゃったんだろうな。

 消費期限も近いだろうから、頑張ってたべなきゃ…………


「そういえばアキホ、昨日見つけた例の鍵なんだけど…………」

「これのこと?」

「え、持ってきてたの!?」

「物がモノだから持ってないと何となく不安で」

「あたしはむしろ落とさないか心配になるような……」


 お弁当を広げてすぐ、リンネが昨日見つけた鍵の話題を出してきたから、僕は朝からずっと持っていた鍵をポケットから取り出した。

 最初はカバンの中に入れておこうかと思ったけれど、なんとなく肌身離さず持っていた方が安心できるような気がして…………


「もちろん、落とさないか心配な気持ちもあるから、授業中に何度もポケットの中を手でまさぐって何度も確認してたけど」

「ふぅん……それで午前中しきりにポケットいじってたのね。あたしはてっきり別の――――いやなんでもないわ」


 ポケットをいじるのってそんなに目立つんだろうか?


「そ、それよりもっ! その鍵は昔の金庫のものだってアキホのお父さんが言っていたけど、ダイヤルも回す必要もあるって言っていたわよね」

「ああ、確かに。この三本の盛り上がりが、それぞれのダイヤルに対応しているんだっけ――――あれ? ということは、ダイヤルの数字がわからないと金庫の鍵は開かない?」

「あの時はみんな舞い上がっててスルーしちゃったけど、まだまだ探す必要があるものがあるんじゃないかなって」

「う~ん……」


 そうだ、僕も今更思い出したけど、父さんが言っていた古い金庫は、鍵を差し込んでダイヤルを回す必要がある家庭用金庫だったはずだ。

 だから、鍵だけ持って行っても開けるための番号がわからないと…………


「この鍵も結局、秘密基地で拾ったものだからなぁ。番号を書いた紙も落ちてるかな?」


 僕は改めて、手にした古い鍵をじっと見つめた。

 学園で流れている埋蔵金の噂に決着をつけることができるのは、今僕の手元にあるこの鍵と、ポケットの中に入れて持ち運べないからカバンの中に入れてある古い地図だけ。

 正直なところ埋蔵金の噂なんて、一ヶ月もすれば自然解消するだろうと思っていたけれど…………こうして手掛かりになるものが見つかったとなると、ひょっとしたら誰かが意図的に流して、誰かが埋蔵金を見つけるのを待っているのかもしれない。


(そうだ……噂にも出所があるはずだ。それを手繰っていけば、何かヒントが見つかるかもしれない)


 そんなことを考えながら、お弁当の肉巻きエリンギをほおばっていると――――急に扉が開いた。


「よっ、生徒会室の鍵を持って行ったのはお前たちだったんだな。どうだ、初めての生徒会室は」

「あ、カトリ先生」

「えっと、おじゃましています」


 誰かと思えば、顧問のカトリ先生……急に入ってきたからびっくりしたよ!

 しかもリンネと二人っきりで、しかも隣同士でおかずの交換をしあっていたところだったせいで、少し気まずいんだけど……………って、カトリ先生?


「ところでさっき、落し物がどうとか聞こえたが……これのだな!」

「え?」


 僕の手から、鍵がひょいと取り上げられた。


「とりあえずこれは俺が職員室で預かっておくからな」

「いや……いやいやいや!? 勝手に持っていこうとしないでくださいっ! それはれっきとした僕の持ち物で――――」

「いいや、俺は入る前にしっかりと「拾ったもの」だと聞いたぞ。今更取り繕っても無駄だからな」

「でもっ!」


 我に返った僕は、あわてて鍵を取り戻そうとしたけど、カトリ先生はどこ吹く風とばかりに平然とした顔で鍵をポケットにしまい込んで、部屋から出て行ってしまった。


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