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僕の家は第二生徒会室  作者: 南木
姫木学園埋蔵金騒動
13/26

秘密基地 1

 そして迎えた日曜日。

 僕たち生徒会は、一度家に集まってから、揃って自転車で葦古野古墳公園へと向かった。


「昔はあんなに遠く感じたのに、意外とあっという間だったね、アキホ」

「うん、きっとこれが大人になるってことなんだよ」

「ほんと、高々数年前のことだとは思えないわね」


 リンネとユーコ姉さんも僕と同じことを感じていたようで、公園の駐車場に到着するなり、どこか懐かしそうな眼差しで周囲を見渡していた。

 家を出てからここまで来るのに自転車で45分…………決して近いわけじゃないんだけど、体感的に昔より早く着いた気がするから不思議だ。


「ふぅん、俺もガキの頃何度か来たことがあるが、遊具も随分変わったようだなぁ。あんなアスレチックはなかったはずだし、ミニSLも出来たのか!」

「あら、遊んでいきたいですか? ですがまずは宝探しが先ですよ」

「うるせぃっ! 誰も遊びたいなんざ言ってねぇだろ!」


 そういってる割りに、一番目を輝かせてるのはアーモン先輩なんだよね。

 服装も深緑の七分丈ズボンに黒い半袖ジャケットで、着こなしはカッコいいんだけど、外を走り回ることを前提としてるとしか見えない。

 それに対してササナ先輩は、ニットカーディガンにロングスカートという「保護者風」な服装のせいで、余計アーモン先輩が子供っぽく見える。

 発掘作業をする可能性があるから動きやすい服装にするってあらかじめ決めていたから、仕方ないと言えば仕方ないか。むしろササナ先輩は、そんな汚れて困りそうな服装で大丈夫なんだろうか?


「アキ、私たちの秘密基地の場所、覚えてるわよね」

「もちろんだよユーコ姉さん。今でも場所ははっきり覚えてる」

「秘密基地……埋められてなければいいけど」


 この公園に何度も足を運んで、隅と言う隅まで探検しつくした、幼い頃の僕とユーコ姉さんとリンネは、大人たちに内緒で公園から少し外れた裏の山にまで足を延ばしていた。

 あれを見つけたのは確か……小学校2年生の頃だっただろうか。誰も登らないような急斜面を登ったところに小さな洞穴ほらあながあって、僕たち三人はそこを「秘密基地」と名付けたんだ。


「大人に内緒の秘密基地ですか~、そういうのって子供の頃は憧れますね。優古さんたちは秘密基地で何して遊んでいたんですか?」

「あはは、それがですね、あたしたちは特に何もしてなかったですよ」


 「秘密基地」に向かうまでの道のりで、事情を知らないササナ先輩とアーモン先輩に、リンネと僕で当時のことを説明した。


「その頃の僕たちは、秘密基地にいるってだけでも無性に楽しくて、特に遊ぶものも持ち込まないでずっとしゃべってるだけでしたね」


 高校生になった今では考えられないけど、本当に「いるだけ」でも楽しかったんだ。

 親に内緒で、誰も来ない洞穴にこもって、他愛のない話をする…………本当にただそれだけだった。


「その気持ち……わからんでもねぇ。男子にとっちゃぁ秘密基地はロマンそのもの、今時なかなか手に入らん、憧れのものだからな」

「箸が転んでも面白い年頃ですものね」


 ササナ先輩とアーモン先輩には呆れられるかと思ったけど、意外にも理解を示してくれた。


「箸が転んでも面白いと思うのは、本来はちょうど私たちの年代の女子なはずなんだけど、私もなんだかんだ言ってあのころが一番楽しかった気がするわ」

「まぁ優古さん、私では相手としてつまらないというのですか? 私とは遊びの関係だったのですか?」

「気色悪いこと言わないで…………ほら、あそこを登ったところがそうよ」


 ユーコ姉さんが指さしたのは、公園の遊歩道から道を外れてかなり奥にある、何の変哲もない急斜面だった。

 生徒会全員で、辺りに人が誰もいないことを確認すると、昔と同じようにユーコ姉さんを先頭に、斜面を登り始めた。


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