表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/7

StoRy-2

 その後、俺は昼からの授業を休んだ。

 あの少女――黒条由美――のことが気になって、授業に集中できないし、根本的に授業が嫌いだからだ。そして、端的にいえば、ワルだから。

 子ども時代に両親を交通事故で失った。その時、唯一の妹は泣きじゃくって大変だったことを覚えている。俺は、頭が真っ白になっていた。冷たい棺の中に、両親を見た。綺麗な顔で、死んでいた。ただ、なにか悲しかった。空気とか泣く声とか、そういうものじゃなくて、なにかが切なかったのだ。

 それから、俺はとにかくぐれてみた。自分の思う悪いことを色々してみた。人を殴ってみた。万引きもしてみた。授業放棄とか学校を荒らしてみたりもした。そんなことをして、高校生になった。だが俺は高校生になるに向けて、そろそろ自分を変えたいと思った。

《ところが、何一つ、変わらなかった》

 身の回りも、体も、中身も、そして世界も。

 なにもかも、変わらないままだった。

 だから、今も変わらずぐれている。

 じょじょに流れている雲の群れを、ぼんやりとした頭で眺めながらそんなことを思い返していた。てっぺんの太陽に照らされたいくつか千切れ雲があって、その間から青空が顔を覗かせているいつもの景色。

 午後のひととき。

 すると、下からいくつかの生徒の声が拾えた。しかし、その声は明らかに楽しい雰囲気のものではなかった。そして、耳を澄ますとそれは危機を感じさせる会話でもあった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ