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StoRy-1

   ◆

 初夏。

 蝉が鳴いている。

 太陽は笑っていて。

 月は泣いて、お前は黒。

   ◆

 高校の、この階段を登りきると昼間の街を展望できる屋上に到達する。ギラギラとしていて、それでもって綺麗なこの街を一望できる。夕方になれば紅蓮の夕日が波打っていて、夜になれば、静寂が待っている。刻一刻と変わり続ける街を望む事が、俺の趣味。

 今日も変わらず、金髪のふんわりヘアーを揺らしながら、階段を一歩一歩進めていく。

「お、おい。なんじゃ、こりゃ」

 そして見たもの。

 俺が屋上の扉を開け、真っ先に見たもの。

《女子生徒が、飛び降りようとしている》

 ここは4階上の屋上。飛び降りたら、即死する。

「お、お前! なにしてんだ!」

 すると、無機質でひんやりとした声が、細々と聞こえてきた。

「自殺するのよ」

「な、なんで」

「疲れたから」

「ちょちょっと待て。もう少し生きてみたらどうだ?」

「……生きていても楽しくない」

 まともに会話できることを知り、一安心した俺は少しずつ少女に近付いていく。

「楽しくないことないさ。楽しい事だらけだ。まだ世の中を見てないだろ?」

「……それもそうね」

 すると、あっさり飛び降りるのを止めた。

「……あんた名前は?」

 目の前で見る彼女はほっそりとしていて、真っ白で、身長が低くて、そして真っ黒の服を(まと)っていた。まるで聖夜に見るシリウスのような輝きを持った彼女。しかし、どこか悲しそうな顔をしていた。

「黒条、黒条由美(こくじょう ゆみ)。あなたは?」

「俺は園田修斗(そのだ しゅうと)

 俺は右手を差し出すと、少女はそれを無視し教室へと帰ってしまった。

 




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