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カミングアウト

一息おいて総理は語りだす。

「鷹村さん、先ほどこの事件は人為的だと話したが、私はそこに明確な敵意をもって付け込んだ元現代人の転生者が主犯ではないかと踏んでいます。


そして星読みを多くはないが総動員してなおそれを思わせる背景が見えていないという事は、主犯はこの世界にいなくなおかつピラミッド構造的に組織だって動いている可能性が高いとも考えている、今動いてる転生者達は末端でしょうなと」

「総理、それは情報ではなく、推論では」

「おっとと、脱線してしまったかいかんいかん」

ストゥーカがおいおいと言わんばかりに冷静に突っ込んで話を戻し、総理は頭をかきながらぺこぺこ下げる。


だが元現代人が別の世界で動いて駒を進めているなら気取られる事もないし、これだけの力は独力ではまず無理だろう。

確証はまだないが現行最有力候補ではあるな。


「次だ、俺の存在をどこで知って具体的に何をさせたいんだ。転生者議員の暗殺か?」

半ば悪態交じりで次の問いに移行させる。そういや手紙の内容だとオブザーバーとか言ってたが。

で、次に口を開いたのがストゥーカだ。


「いやいや、さすがに今の段階でそれをしてしまうと貴方もろとも私たちの首が締まってしまう。

彼らを始末する動機最有力候補も我々ですからね」



「でも広門ならやりそう」

「教えてくれストゥーカさんよ、俺は残りの人生でこいつをあと何回はっ倒すんだ?」

「さすがにそこまでのカウントは……」

デウスの横やりに対して、とりあえずストゥーカを巻き込む形でブラックジョークかました俺だ。


「まあ仮にそれをやるとするなら祈祷所か敵の星読みを如何にかしないといけませんですけどね。そうすれば保証はできるかと」

コノヤロー、メリケンジョークよろしくうまいこと言ったつもりか。


「あーそういや手紙ではオブザーバーになってくれとか言ってたのを思い出したが具体的にどうしろってんだ?」

さっき思い出したことを今思い出したかのようにごまかしつつ話を広げてみるが。



「そうですね、そこも質問された順番で答えようと思います。まずあなたの存在を知ったのは10年ほど前ですね……大学で開発中だったある技術を学生のあなたが世界に売り込むことに成功し一時期、時代の寵児として持てはやされてた姿を見たのが最初だったかと」

「……」

正直席を立ちたくなった、が流石に聞き漏らしができん事ゆえ耐えるしかなかった。

俺の昔を知ってるとは相当奇特な御仁のようだな。今更だが。



「その後あなたは消息を絶った。その後仲間づてにあなたの噂を聞いたんです。その後私の星読みと人を頼ってあなたの消息をつかんだという訳です。

その流れがあったのであなたの力と私の隠れ家前で貴方のしていたことに目星がついていた、というのが真実です」

「その仲間ってのがそちらさん側が引き込んだ転生者か異世界人って訳か」

「はい」



もし情報漏洩したそいつらと会う事があったら張っ倒す事も視野に入れる必要が出てきたな。

あ~一気に不愉快指数が上がってきた。


「この辺も読めてきたな……今の話+アンタらの側にもコイツみたいなこの世界の守護者側の端末がいて、そいつ経由でデウスと間接的につながりを持って、俺に渡りをつけたと」

デウスにクイッと親指で指す。



「あー、なるほど!ご同輩がいきなり総理大臣とコネあるから優秀な勇者連れてこいって言ってきてさぁ!手紙代筆までさせて!世間話で君の話をねっとり聞かせろ言ってきたのもそういう背景があったからなのな!」

デウスは腕を組みながらうんうんと一人勝手に腑に落ちる。


「お前何勝手に人の個人情報暴露してんのォ?!!」

デウスに容赦ないガチビンタが襲う!かいしんのいちげき!

スパーンと実に生々しくも小気味よいSEだ!振るったのは俺だが。


「うべら!」

デウス君ふっとばされながら調度品につっこんでいったー!?


「・・・・・・・・・・・・ハッ!鷹村さん!こんな小さな女の子になんてことを?!」

「安心しろガワだけだ、人間換算でいうならプラチナ婚ができるぐらいには余裕で生きている奴だ」

「いやいや!貴方が何してるんです?!この隠れ家結構お金かけてるんですよ?!!」

「心配する処そこですか?!」


唐突なデウスへのガチビンタに一瞬固まる秘書の姉さん。

部屋の調度品の心配をするストゥーカ。大笑いする総理。

あーもう滅茶苦茶だよ。


「何するんだコンチクショウ!ヒロインにクソみたいに重いビンタかますとかどういう了見だ?!」

「コンチクショウはこっちだ!やってる事普通に内通だよ!裏切り行為じゃねーか!」

ガチの取っ組み合いを始める俺とデウス。喧嘩ならやってやんよ!!


―――そしてすぐストゥーカと秘書の姉ちゃんと押さえつけられる形でレフェリーストップが入る訳だが。


「勘弁してくださいよ……ていうか総理、地味にこのやり取り笑ってましたでしょ?」

「ハハハ、すまんすまん君たちのやり取りが面白くてな」

「笑い事じゃないですよ伯父さん……仮にも私達の命の危機でもあるんですから。サイコパス呼ばわりされても文句言えませんからね」



部屋を片付けながら総理にあきれるストゥーカと姉さん。非常事態とはいえカートゥーンよろしく猫とネズミの同等の喧嘩を人にさらす羽目になるとはな。こちとらいい成人男性だぞ。


「デウスさん、鷹村さん!非常事態なんです!もっと真面目にお願いします!」

「わかってるよー、広門さっきも言ったけどさぁ地球規模で非常事態なんだよ。話す相手位の分別は……」

「わーってるよ、さすがに秘書の姉さんもお怒りだからな」


さっきも話したがデウスの役割も立場も重々承知している……つもりだ。



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