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相対するは

ウィラーラが動いてから十数分後――――――――――――





「ああ―――――わかったわかった。とりあえず追跡と囲い込みは続行しろ。いいな?それじゃ切るぞ。


はあやれやれ、やっと現れたかぁ。あの兄ちゃんの策もなかなかやるな。


ウチはモノ作りと純然たる力はあるんだがなぁ。

机上の空論ばっかり主張するから策に関してはピーキーで堅実さがないからしょうがないが」


一番距離の離れた陣からのポイントの中心、古い倉庫街の一角で通信媒体を思わせる石に語り掛けていた頭を張っているらしきひょうひょうとした男がそこにいた。


身長は180強程で長髪を後ろに縛り、ガッチリした体格ながらも優男と思わせる風体だ。


「しかし、なんで噂の勇者様はなんで途中で消えたんだ?包囲網に感づかれた訳じゃなかったんだろ?

たまたま腹下しちゃって、隙が出来るの恐れて隠遁スキルでも使ったのか?」

「いや、天道参将様、そんな日常感あふれる理由じゃないです」


部下のツッコミを受けるこの男こそが邪技導師・天道参将カナマリである。



「まあ考えた所で人の見えない所の思惑なんぞそうそうわかるもんでもないし、何よりだ内や外を見る限りだと、俺達みたく戦力や協力者がいる様子もなさそうだ」


「まさか見知らぬ土地まできて奴と出くわし、こんな形で決着になろうとは……」



「やはり技術革新ってのは、よそ者とのセッションあってこそだな、それがヒントになればそこから派生するものをいくらでも作りだせる。」

「そういえばあの男との交渉も天道参将様が行ったんでしたか」


「ああ、向こうは俺達の外付けスキルに目を付けて取引をしたが、まあ悪い条件ではなかったな。

つまらん詮索もなかったから楽だったし、何より話が分かる。金払いもよかったぞ」

「はあ……」



自分の巡る立ち位置取りや気分の上々さもあいまり、ウキウキで語るカナマリ。



「これが終われば次はこの世界にようやく俺たちの技を広めることができる訳だ。

まるで末法の世にシルクロードを経て新たな文化がなだれ込んで花開くようにな。楽しみじゃあないか」


本気でそれを成すつもりの気概を感じさせる発言を部下に投げかけるカナマリ。



「な、なんだ貴様ッ?!何故ここに入ってこれ……?!うわあああああああ!!!!」

唐突たる怒声から悲鳴に代わる部下の断末魔がこだまする。

「なんだ?!どうした!」



部下のもう一人が駆け込み報告をする。


「天道参将様!敵です!!」

「例の女か?」

「いえ……!それが全く見覚えのない奴です!」


部下がそういい終えると背後で特撮よろしくの爆音が鳴り響く。





「すいませーん。町内会の者でしてここで許可なくグリードトゥースを繁殖させてると聞いたんですがぁ」

はい、ここでようやく主役こと鷹村 広門の登場ですよっと。手勢の殆どをウィラーラが引き付けているおかげで割とすんなり行けた訳だが。


「……誰?」



えーととりあえず周囲の取り巻き共は初手で吹っ飛ばしたから、残りはいかにも頭張ってそうな奴に二人の取り巻きだな。

早く片付けて積みゲー消化とかしたい。



「……お、お前!どうやって入ってきt」

「いやその出だしはもういいから。つーか責任者はアンタ?ダメだよぉ、グリードトゥースを街に捨てちゃあ。道中何度か襲われちゃったよ俺」



如何にも私がボスですと言わんばかりの風貌に体格に存在感だ。


「グリードトゥースを知ってるってことはお前も同郷の転生者か例の女の仲間か、どちらにしろ俺らに喧嘩を売りに来たって事でいいのか?」


「いやいや、喧嘩なんて物騒な事しなくて済むならそれに越したことはないよ、けど喧嘩にもルールや仁義って最低限はあるじゃん?

住人食われそうになるし俺襲われたりもするしで殺意高すぎないかねって言いたいんだよ」


「……回りくどいのは好かんな、要点を行ってもらおう」



「さっさと自分の世界に戻れ。一方的な戦いなんぞ持ち込みやがっていい迷惑なんだよ」

言ってやったぜ。これに勝るシンプルな言葉はなかなかあるまい。



「その口ぶりだとアンタはここの世界に定住してる異世界人か何かか?」

「いや、俺は異世界に行ってはいたがたまたまこの世界に出戻っただけの一般人だ。

勝手に因縁つけて勝手に世界中で血の海流してどういう了見だっつってんだ!」



うーんと思考を巡らせてるのかとぼけてるのかよう知れない反応をしながら頭の男はいう。


「……他の連中はどうだか知らんが俺はこの世界に俺たちの技術を根付かせるためであってだ血を流すつもりは毛頭ない。

降りかかる火の粉がそこにあるから払わざるを得ないだけなんだがな」


「お前らの技術って……要は外付けスキルの技術開発だろ?しかも違法クラスにヤバイ奴の」


「おう、知ってるなら話は早いな。先に名乗っておこう、俺はドゥラレイガルという異世界からやってきた……?いやお前と同じく出戻ってきたって言ったほうがいいのか?まあいい!


破界同盟 天道参将カナマリだ!つまりこの組織で№3ってやつだな!」



やっぱりこいつも転生者か……。だが奴の部下っぽいのはいるが協力者らしきものはいないな。

最初からそんなのはいないのかはたまた今は不在なだけか、どっちにしろ早めに決着はつけたいな。


「オイオイ、愚連隊のお偉いさんが自らただの何もない住宅街に雁首揃えて何をしてた?」

「降りかかる火の粉を払う必要があるから来たんだよ。簡単だろ?もっともその相手はアンタじゃあないんだがな」

「だから殺意高すぎなんだよ。この世界で振るうにしてはオーバーキルだろ死体蹴りすぎてミンチどころかジュースになるわ」



「技術も道具もヒトも使う人間次第だ。さすがに使う人間の管理までは責任持てないな」

「そらもっともだ。だがそれで使う多くの人間がボロボロになってちゃ本末転倒だろ。そういう意識が薄いから邪技導師なんて忌み嫌われ方をしちまうんだよ」


そういいだすとカナマリの表情に不愉快さが取れるような顔つきになった。


「……そういう衆愚的思想にはまるから技術者たちが不幸になるんだ。物造りの矜持も苦悩もわからん奴め。求めたのはそもそも自分や時代や人だというのに不利になると手の平を返す。


そんな嘆かわしさでは結局この世界もこの罰と責め苦をいずれ受ける定めだったのだろうな」


何とも含蓄を感じる言葉だ。目の当たりにしてその苦悩が分かる重さだ。


例えるなら歌手の生歌とCDやデータ音源で聞く位の違いの説得力って所か。

だが互いにこの状況で引くつもりは毛頭なしなのは分かりきってる事だ。




「そういう事だ悪いな兄さん。相手が例の女の仲間であろうがそうでなかろうが、ここまでしたんだ。

あんたは間違いなく火の粉どころか火炎放射器だ。真剣に相手をしてやる」


「そうかい、覚悟完了ってなら話は早い。俺の平穏の為にやらせてもらうぜ」


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