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コーヒー片手に事情説明

事情を説明するとだ。

俺たちの世界、この化学あふるる現代社会に

異世界転生を果たし、世界を統一した勇者様達が

侵攻を開始してだなと。




お題目はこうだ。



お前たちの世界は絶対的な悪である。

ここにいる数多の転生者達はこの世界の理不尽や苦しみ、

生み出した不幸によって命さえも蹂躙し侮辱を受けた者たちだ。


故に我々は絶対的な手段を使って膿を排除しよう。

お前たちがいう正義よりはるかに上を行く概念で叩き潰すものとする

その為にはお前たちが価値観として生み出した全ての

尊厳や秩序を否定する。



すなわちこの世界の闇となる物、ガンがもたらした者たちを

命そのものを否定し、罰とする。

恒久的平和を得る一歩として血や命を取る事に抵抗の意識の一切を

排してもらう物とする。


これらの輩は全て現生及び後世において一切を許してはならない。

罪状は国家の私物化及び後世に弓を引く造反である。

この事実に間違いは一切なく、生半可なやり取りにおける。

風潮・風見・虚実に振り回される事は一切ありえない。



故に絶対的に遥かに我々は貴殿らより上を超える物であり

その抵抗すらも血と徒労にしかならないだろう。


許されるのは我々が敷く新たなる価値観と平和のみである。




まあ長くなったが端的にいうとだ、俺たちの世界は救いようのない絶対悪だから

被害者の会のメンバーである転生者たちが異世界で得た力や知恵、物品や軍事力を

駆使して俺たちの世界を叩き潰すと宣戦布告した訳だ。


後にこれを「異聞事変」と呼称されて新たな歴史の一ページになった訳だが。


とはいえ犠牲になってるのはブラック企業の関係各位や、悪徳警官に汚職政治家

後は犯罪者や現在でもこの世界で発覚されていない、後ろぐらい事をした人間や反社会勢力だな。


何がすごいってこれが世界規模だから海外の異世界転生者なんてのもいるらしく

特に南米や中東なんかだと腐敗政治がひどいからテロリストや政治家・マフィアなんかが一族郎党・末端レベルまで皆殺しになってる。

あっち方面は特にヘイトすごいからかなり過激になる程だ。


そんなんだから、実はネット上の評判も悪くなかったりする。




んでそれをオープンにするために宣戦布告を吹っ掛けてすぐ世界各地に現れたのが

祈祷所オラトリオというモノリスを彷彿とさせる石板だ。


全世界同時翻訳配信で戦犯リストが記されており

素材も不明、破壊も不可能、世界各地に数多く配置され、おまけに現代科学があらゆる手段を講じてなお情報統制不可能と来た。

ここまで確かな技術を持ちながら「祈祷」だのみとは実に外連味の利いたセンスだ。



しかも何がすごいって戦犯リストに記された人間が殺されるに値する罪状と理由まで網羅してるというな。

発覚していなかったものも含めて調査した所全て事実らしい。

SNSのデマ・虚構のような不確実性も全くない。

実にディストピアじみている。


オラトリオ専門のまとめサイトまであるぐらいだ。




軍事投入ぅ?武装蜂起?そんなの歴史史上、最短壊滅の記録レコードを叩きだしましたよ

ハッハッハ。


とまあ―――――こんな宣戦布告を大国各位の要人を

犯罪者認定の後に、血の海に沈めて堂々と発信したのがすべての始まり。


しかも各国戦力を徹底的に叩き潰した後はだ、政治のできる異世界人を後釜にすえて一般市民に何事もなく通常運転させるだけじゃなく異世界転生という

概念を宗教にまで仕立て上げる徹底ぶりだ。


で、この姉さんの伯父、総理は現在首の皮一枚でまつりごと

行っているわけなんだが体のいい傀儡政治という大事な茶番おしごとをしている。

従順な羊の振りをして打開の機を伺っているから手を貸してやれ、というのが手紙の内容、とそういうこった。




「別にいいんじゃあないんでしょうかね?現に国民としての生活も、時世も安定していますしわざわざ声を荒げる理由もないでしょう」

「こんな物は平和ではありません。圧倒的暴力での侵略行為です。現に先生は殺されて、伯父も下手に動けば殺されかねない状況です、いくら国の為にとはいえこんな形で命の危機にさらされるなんて到底ゆるされるものじゃありません」




三国志とか見てりゃ分かるが昔の文官や家臣ってのは、王や皇帝に意見するさいは命を張ってたらしい。

ディスってると受け取られりゃ反逆者として平然と処刑されてたからな。

俺から見ても今の時代相当ナンセンスだと思うが。


「言わんとすることはわかりますよ?政治にかかわるたびに殺されちゃやってられませんからね。だが今度は俺が殺されかねない」



「それにだ、仮に俺の知恵がこの状況を打破してだ、下手すれば

今度は俺が脅威として疑われかねない、そんな事が無いと言い切れるのか、と」

「そ、そんなこと……!」

「俺は経歴柄、あちら側の人間だからな、下手に動けば

パワーバランスだって崩れるのは目に見えている。主に俺の立場が、だ。

そんな一方的リスクを背負わされるのは一方的に殴られる行為と変わらないんだよ」




論理としては破綻しちゃあいない、実際俺は一般ピープルで

政治や現代闘争とは無関係だ。

それに巻き込まれるなんてごめん被る。相手が政治屋ってのも気に食わないしな。

ここまでまくし立てておけば、この論議はコールドゲームだろう。



「そういう訳ですので、お引き取りを。飲み物のお題は結構です」

口調は最後はいつもの調子になってしまったが応対ぐらいは真摯にやらんとな

なんせ客商売だし。




「……帰りません」

「お引き取りを」

「帰れません……!!恩師の命が奪われただけじゃなく縁者の命が

かかっているんです!それをわかって居て帰るなんてできません……ッ!」



獅豪といったかこの姉さん。

冷静ながらも穏やかな声のトーンから一転、必死に声を振り絞って懇願する。

正直、かなり本気なのが伝わる。

ヘタレかと思いきやいざという時にやるときはやるタイプの女だな。


「……やっぱりそれっぽい事言って追い返そうとしてしていたな広門ォ?」



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