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銀髪彼女の異世界事情

それじゃわかりやすく聞きたい事を纏めよう。



「一つ、破界同盟って言ってたがこいつらは何者だ?

 二つ、何で異世界サロンに入りたいと思った?

 三つ、お前は何者だ、とざっくり訪ねてこんな所か」



「そうサネ、とりあえず自己紹介的には三から答えたほうが無難カナ。私はウィラーラ、生前は白梓萱バイ・ズシュエンという人間だッタ……と言ったほうがいいのカナ?

戻ってきてから人にこういう名乗り方した事無いカラ。でもウィラーラでいイヨ」


「そうか、それじゃウィラーラ。さっきの1と2の質問と織り交ぜて尋ねるがもしかして異世界サロンに入りたい理由はこの破界同盟とかいったか、こいつらと関係あるんじゃないのか」


「……そうダネ、事は10日ぐらい前にナル。

元々私はこの世界で亡くなってドゥラレイガルで転生して、邪技導師と呼ばれる奴らと戦っていタヨ」


「邪技導師って、アレだっけか?違法な戦闘スキルを作ったり取引したりする奴らだっけか?」

「……やっぱり現代社会人ながら私の世界の事も知ってるのは間違いないよウネ」


軽く説明するとだ、ドゥラレイガルってのは武術や芸事、人体学の類にめちゃくちゃ強く発達した文化の異世界な訳だ。


そんな技術の中には生まれ持ったり鍛えたりして身に着ける他に、外付けでスキルをより合理的に脱着可能なシステムがあったりと技術は目覚ましい反面、中には人の手に余る物や安全性に欠いたり体によろしくない物もある訳だ。


そういったものは当然厳しく管理しているんだが当然どこの世界にも不届き物ってのはいる訳で違法でそのスキルを製造・売買してるのが邪技導師って輩なんだな。




「もしかしてさっきいってた破界同盟とかいうプロレス団体みたい名前の奴等がそれだってのか?」

「そういう事。私も最近知ったけど邪技導師の中にも転生者がいたみたいで、そのツテでこの世界で好き勝手やってたみタイ」

「ハワウドの啓示て単語をこいつが言ってたんだがそのツテってのはそれの事か?そいつはなんだ?」


重要なキーワードっぽいものをウィラーラに訪ねてみる。ゲーム脳理論なら物語を進める基本ではある訳だが。


「私の世界にもここでいう祈祷所みたいな石碑が文字通り空から降ってきて、こう書かれていタヨ」




―――真の終焉が近づく、絶対的悪を敷くものが世界を満たす。輪廻をなした者たちならば縁があるだろう


勇者たちよ、我が遺産をもって我が導く。その天に与えられし恩恵をもって、それらの存在を淘汰して欲しい。この石をもってあらゆる悪の名を刻む


――――ハワウド ヨリ




「お前さんの世界にもそれが現れたと?」

「ソウ。意味合いとしてはこっちの世界とは異なって要救護と招待状に近い感じだけどそれが私の世界各地に現レタ。そしてそれに呼応するように門も現れタヨ。

これは私の世界でも前代未聞の出来事らしイヨ。だから安全確認を兼ねて調査を元首国から依頼された訳ヨ」

「門を潜ったらそこは生前いた世界でした、って訳か」


「そウネ。国は違えど見知った世界だから事情や状況を確認するには時間はかからなかッタ。

その過程でネットを使って異世界サロンとやらに渡りをつけたノヨ」

「その過程で顔見知りのこいつらに見つかって動向を探られようとしたわけか。運のないこって」


だがウィラーラは訝しげとも悩んでるとも申し訳なさげともいえるような表情で口に手を当て首をひねっている。


「それも含めて異世界サロンが信用に値するようなら、手を貸して貰いたかったけドネ……。

あれだけボッコンボッコンにしたのに追撃する余力が有るとなると多分破界同盟の奴ら現地かそれ以前から、人手を増やしたと考えるのが自然だと思ウ。

このままだとただの厄介事を持ち込んだレッテルしか残らないよ私」

「協力者か…他種異世界人や偏見の無い転生者同士が組んでも不自然ではないな」



長く取っ組み合ってはいるが、こう言う発想に至れる辺り経験値は稼いでいるだけはある訳か。

システム的な力だけの経験値は目に見えるが人生的な経験値はそうも行かないのはどこも一緒、とも取れるがな。



「もうちょい聞きたい事を思い出した。ドゥラレイガル元首国から調査依頼されたと聞いたが調査には報告が必要だ、戻る方法とかあるのか?あと一歩間違えれば未踏の地の危険に晒されるこのクエストをお前が何故受ける必要があった?」


ここぞとばかりに踏み込んだ内容を訪ねてみる。拾える情報はここぞとばかりに搔き集めるのがオレ流だ。



「ああ、それは問題ナイ。どうやらここでいう祈祷所と私の世界と繋がっているのは確認してイル。出入りにはコツがあルガ」


サラッととんでもない事実が判明したぞオイ。まさかの祈祷所が異世界ゲートの中継点とな。

それならどこから多世界の奴らがやって来たかとか納得はできるが…いや、それじゃ報告例や情報が一切流れてこないのは情報統制がかかってるとは言え、説明がつかない。



「それトダ」

「お、おう」


俺のこの間0・数秒の思考に割り込まれるようにウィラーラが次の疑問に答える。思わずどもっちゃったよ。


「私が今回の一件に参加したのは、生前私が得られなかった物をくれた人たち恩返しみたいなものダヨ。

それで何かしら成果が出ればその人達の生活が楽になルヨ」

「……そうか」

「だから下種の勘繰りしなくても大丈夫ダヨ」

「やめてくんない?持ち前のスキルの説得力で人をそういう風に仕立て上げるの」



地味にさっきの駆け引きの主導権独占の意趣返しをしやがったなコノヤロー。



「……本当に俺は全く関係ないが、異世界サロンは戦える人間に関しては圧倒的人材不足だからあの胡散臭い表六玉なら喜んで受け入れてくれると思うぞ。

当面の足がかりで協力関係になっても損は無い、寧ろ重用されるから今の話をして見ろよ。


幸い逃げや隠蔽は得意だから調査向けだと思うし意気込みだけは本物だから懸念するような疑心暗鬼も起こらんだろ。いざとなったら逃げかえる手段もあるしな」



共闘した一時の連帯感か質問に際してのお釣りの意識なのか、なぜか異世界サロンをフォローしだす俺な訳だが…取りあえず元々の要件完遂させておけばアイツらの俺への興味も薄れてくれるしな。



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