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二人の勇猛

お次は横に一閃!普通ならありえねーほどの風圧がトカゲ共の陣形をかき乱す!

しかも路地裏だからビル風的効果も相まってこうかは ばつぐんだ!とくらぁ!


「うおぉ!なんだこいつの力は?!クソッ舐めるなよ!お前ら!連式強化だ!これでアイツをぶっ殺せ!」


風に巻き上げられそうになりながらも、グリードトゥース達に強化魔法らしきもので援護する

フードの男。雄たけびを上げるトカゲ共は態勢を立て直し、うち2匹が俺に刃を向けてきて―――振りかざす!


だが残念。ノーカンだ。俺と思っていたものは幻覚。からぶったところの2匹のトカゲの首をスパッと切らせて頂いた!

アンチエンチャント・つまり魔法や強化的な術式効果がかかっている相手への特攻も相まってナイス切れ味。

ちなみに俺に幻惑の能力はない、が陣地の乗っ取り能力を使ってここの結界の幻覚術式を乗っ取って使わせてもらった訳だ。うん!攻防抜かりはなし!



「さてと、野球だったらツーアウトだな。そいつらじゃ俺は止められないぞ。さっさとそいつらつれて甲子園球場から出てってくれないか」

「ふざけるな、ワンアウトにもなっちゃいない……お前……何者だ?祈祷所のリストにもない。あの女に何を吹き込まれた?」

「そんな覚えはねーよ。近所に危険動物野放しにされて近くに飼い主がいるとふんで追ってきたっていってんだろうが。人の話はちゃんと聞こうぜ?」


「それこそふざけた話だろう、それだけの力を持ってるって事はお前も異世界人か転生者だろう?

なら俺達と一緒にこの腐りに腐りきった世界を浄化するのが義務ってもんだろ!」


「悪いがそういう義理も意趣返しをする気もないな。腐ってるならいずれは自浄されるか勝手になくなるのが人の世の常だし、この世界で非業の死を受けて生まれ変わって一斉蜂起なんぞ折角もらった第二の人生後ろ向きすぎんだろ。」

「……」

「それに首魁も分からない、誰がこの世界に転生者を流入させてるかもわからない、かと思いきや祈祷所を基準にしかできずに有象無象が好き勝手やっているだけ。

アンタの世界じゃどうだか知らんがにどうしろって話だろ」


「クク……アッハッハ!こいつは驚きだ!それだけ強い癖に何にも知らねぇ?!ネットなんぞに頼ってそんな穴倉暮らししてるからアンタ時代に取り残されるんだよ!」

「……?」

「クックック……こんなん笑うに決まってるだろ。その口振りに見慣れない武器を見る限り、相当平和な世界に来ちまったんだなアンタ。まさか「ハワウドの啓示」も及ばない程だからな」

「ハワウド」

「ああそうだ、異世界人は一丸となって俺たちが生まれ、クソみたいな理不尽を敷いたこの名もなき世界に罰を下せる!俺たちの世界だけじゃない、あらゆる異世界人がこの声を聞き、続々と集まっている。俺たちは揺るぎのない正義を行なってるんだ!アンタもこんな所で油を売ってる場合じゃ…!」



「勝手な事言ウナ。結局は自分の意思以外で踊らされてるだケヨ。」



その一言が飛んだ矢先に影が目の前に現れたと思ったら瞬時に相対した三匹のグリードトゥースを切り裂いた。


「おせーぞウィラーラ」


「勘弁すルヨ。私の戦闘スタイルじゃフットワークと動きは軽いけど隠密や探索向けって訳じゃナイ。

パワーはある程度鍛えてはいるから縛りがなくなれば後の奴らは余裕だけドネ」

「それ自分は脳筋ですって言ってね?」

「楽だかラネ!」

あっけらかんと言いやがった。負担かかる側の事を考えろよ。


「クソ!やっぱりその女の仲間だったか!」

状況柄仕方ないとは言え、誤解が誤解を招きだす。マジげんなり。

ともかく住宅街をたむろってたトカゲ共を一度数を半分まで減らしたところで俺は追跡、後始末をウィラーラに任せた訳だ。


「私が付け狙われる覚えは割とあるけれど、アンタは見覚えがあルヨ。破界同盟の連中ダネ。

さしずめ返り討ちにした仲間の報復と私を倒して身内でデカい面したいと見タネ」

「ふざけるなよ!この犯罪者共が!この世界の秩序に逆らって生きていける訳が……!」

「確かに一度祈祷所にターゲットにされたら天の上地の底までその存在が露呈されルヨ。

けどそれを記した側の都合の悪い人間だケネ、現に私達がこうやってやり合っても簡単に記される事はナイ。

つまりお前が善である保証は全くナイ。お前も異世界で勇士と呼ばれた人間ならそれぐらいわかレヨ」


まあ、確かにな。祈祷所に明記される人間は大抵がこの世界の国の政治家や高官、犯罪者や大中小問わず問題を起こした企業の人間や、その他の公的組織の人間が主だが異世界人同士の諍いで明記された話は聞かない。


本来それだけの力を持った人間であるにも関わらずだ。情報統制が入っていることを加味すると不自然すぎるのは確かだ。

ますます裏で糸を引いている奴の可能性が湧いてくるな。


「フン!お前こそ、こそこそと何をしていた?俺達の相手がきつくなったからどこかの組織に属して後ろ盾を得ようって腹だろう!俺が魔物がいなきゃ何もできないと思うな!」


おもむろに魔物使いらしく鞭をとりだすフードの男、床にしなるその獲物を叩きつける!



「シェイカーバイト!」



鞭を地面に叩きつけられた瞬間、コンクリートの地面越しに振動が伝わる!

地震じゃない?!俺たちに対しての振動だ!振動で揺さぶられすぎて立て……ない……!!


俺はまるで振動を圧縮したものが自分たちの体にのみ伝わっているのを理解した。

地上を生きる生物は振動が激しい、揺れた場所では足場が不安定になり当然立てなくなる。

「その不安定な状態」に至るまでの振動が俺の体内で揺さぶられている!


「なんちゅう姑息な……!」

俺は何度も地に足を付けようと試みるが振動の揺れ幅が立ち上がる事を許してくれないと来た。

「これが俺の得意コンボだ。そうなっちまったらまず動けない。死ね、悪党」


そういいながら如何にもお前が悪党だろと突っ込みたくなるようなセリフを放つと鞭をレーザー状に光輝かせて俺にその一撃を振り下ろした。


おいおい、このしょっぱいピンチ感も久々だな……!



「ッセイ!」


とどこから出したのかといわんばかりのデカい声が響いたと思ったら、ウィラーラが俺に振りかざされるハズの鞭をトカゲ共を切り裂いた長剣でいなし、フードの男に片方の拳で一撃を食らわせる。

だがフードの男にその一撃はそらされたのか決定打には至らなかった。


「位置取りが浅かっタカ!」

「ッグ!馬鹿な!?シェイカーバイトは地脈を介してお前らに衝撃を与えるんだぞ!なんで立っていられる?!」

「悪イネ!マナ(内功)やオド(外功)の扱いは習得スキルの都合上こっちの方が専門分野ダヨ!地脈を通された所でいなすのは無問題なノヨ!」


そのフードの男の驚きからくるひるんだ隙を見逃さなかったウィラーラは中国拳法さながらの動きで、猛攻に踏み込む!長剣の刺突の連続的な動きから流れるように残った片方で徒手空拳を決め込む。

流水を連想させるようななだらかかつ、水に滴る刃のような鋭さと美しさを連想するほどの動きだ。



「なるほどな、この世界でソロプレイしてきただけの事はある訳か」

とまあ揺さぶられながらも珍しく感心する俺であった。

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