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<Eir>の図書館

「迷った?かも………。どうしよう?」


 元々広い空間をフル活用するようにいりくんだ図書館はどうやら迷いやすいらしい。

 まぁいいや。本が読めるのに代わりないし、と思ってからいやいや、出られないのは困るだろうと思い直した。どこかに司書さんか、管理人さんがいないかなぁと探してみる。


「むむむ。もっと迷ったような………」

「そこ、邪魔。」

「にゃ、な、にゃにやつ!」

「言えてない。私、ここの司書。何かあった?」


 司書さんは女の子だった。ちょっと無愛想だけど見た目は可愛い。ハーフだろうか?東アジア系の顔立ちだが、金髪緑眼の7歳位の子だ。


「可愛い………。」


 そう呟いて頭を撫でると………。


「私はこれでも12歳なの。子供扱いしないで。」

「じゅうに、さい………こんなに幼く見えるのにウィルと5歳しか違わないなんて………。」

「失礼。私は司書なの。」

「あっそうだ。司書さん、司書さん。私迷子なの。10時にウィルが迎えに来てくれる約束なんだけど、これじゃあウィルが見つけられないんじゃないかと思って。どうしたらここから出られるの?」

「動かずに居れば見つけてくれる。多分。」


 最後の一声が不安要素でしかないがきっとウィルが見つけてくれるだろう。


「じゃあ司書さん、ここから一番近い閲覧用の机は何処か教えて?」

「そこの棚を左に曲がって2つ先の棚を右に曲がった突き当たり。」

「ありがとう。」


 手に持っている本を抱え直して閲覧机に直行する。そのまま本の世界に没頭していると頭を小突かれた。振り返り小突いた相手を睨み付ける。


「ウィル、痛い。」

「ナタリーが声を掛けても気づかないからだ。っていうかアンタよくこんな奥まで来たな。」


 ここは誤魔化しようがないから素直に答える。


「うーん。何か欲しい本を探して歩いてたら迷子になっちゃって、閲覧机の場所を聞いてここに来たの。」

「聞いたってまさかナタリー、アイツに会ったのか?」

「アイツが指すのが見た目が7歳位の12歳の司書さんなら、うん。会ったよ。あっ、名前聞きそびれちゃった。」

「アイツの名前は(リー) 龍蘭(ロウラン)だ。何でも中華人民共和国から独立した風雨民(フォンユーミン)王国の王妹殿下の未婚の子供らしくてな、本来なら傍系王族なんだが、国に居づらいからここに来たらしい。」


 いろいろあって、無愛想だったのか。と、納得していると………。


「アイツが無愛想なのはここに来てからだ。」


 まるで心を読まれたかのようなタイミングで追加情報を投げてくる。

 正直いって同情点が8割5分まで下がったとしか言いようがない。残りの1割5分は外見点である。


「ウィルはどうやってここまで来たの?」

「ああ、ほら、これだ。」


 ああ、ARのあれか。耳に引っ掛けるインカム型で形落ちしたものをここで改良したデバイスだ。

 マップ等も入っている。………私は眼鏡の代わりとしか使ってないけど。

 そういえば相棒の位置情報が表示されるとか【騎士長】が言っていた気がする。


「………すとーかー?」

「俺を変な性癖の奴等と一緒にするな。お前を探してやったんだろうが。」

「ありがとう。ウィル、迷子になって出られなかったの。後少しで施設内遭難するところだったよ。」


 私はウィルに心からの微笑を向ける。


「………………くそっ。レイチェル共め。…………ぃ。」

「ウィル?【騎士長】がどうかしたの?」


 ウィルは少し赤みを帯びた顔で目を逸らせてしまった。


「ウィル、顔赤いけど大丈夫?熱はない?」


 そっと額に触れる。別にそんなに熱くはない。けど、熱を確かめてみるともっと赤くなってしまった。

 

「ウィル?」

「………………すまん、ちょっと待ってな。すーはー。よしっ。大丈夫だ。」

「本当に大丈夫?」

「ああ。ちょっと役得だっただけだ。」

「やく、とく………?」


 いや、何がどうなって役得なんだろう?まぁ、後ででも良いかな。



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