天使な妹と
「ねぇ、お兄ちゃん。本当に本当に大丈夫?」
妹の心配した声に俺はそれはもう爽やかな笑顔で答えた。
「大丈夫だって!お兄ちゃんに任せとけ。お前の誕生日にはお前の大好きなアルファディアカリスのキャラケーキ作ってやるからな!」
俺の笑顔と言葉に妹もそれはもう嬉しそうな笑顔で微笑む。
「すっごく嬉しい!ありがとう、お兄ちゃん!大好き!!」
そしてマジで花のような可憐すぎる笑顔で抱きついてきた。よしよしと背中をぽんぽんと叩く俺は心の中で自重せずに叫ぶ。
あー、もう可愛すぎる、俺の妹!!
俺に妹が出来たのは7歳の時だった。年の離れた妹は本当に可愛くて、妹を産んでから仕事に復帰した母を支えようと面倒を見てきたせいか早い段階で父性に目覚めてしまった俺は妹のことを目に入れても痛くないくらいにとても可愛かった。
というより、本当に妹は可愛いのだ。
明日で16歳になる妹は身長は155cm、体重は企業秘密。肩より少し伸ばした髪からは常にフローラルないい匂いがし(妹に合う諸々は俺が全て用意している)、もうお前はテレビの中から出てきたアイドルかよ、いや天上から舞い降りた天使だよね?!ってくらい人様から見ても本当に可愛い。
そんな可愛い妹に懐かれるため俺はありとあらゆる努力をした。妹の世話、妹が友人に誇れるように勉強運動は人並み以上を維持し、更に甘い物好きな妹のためパティシエの修行もしている。
はっきり言おう!俺は生粋のシスコンだ!
そして妹には変な虫がつかぬよう、小さい頃から妹には漫画やゲーム等を勧め理想の男性像のハードルを思いっきりあげてやった。英才教育もバッチリ。俺の妹はずっとずっと俺の天使で可愛いのである。
あれ?俺妹可愛いって思いすぎか?いやいや可愛いもんは可愛いから仕方がなかろう。
さて、そんな可愛い妹の記念すべき16歳の誕生日に、妹が今一番好きな乙女ゲーム アルファディアカリス のキャラクターケーキを作る約束をしているのだ。
もちろんケーキの他にも色々とプレゼントは用意してあるが、妹が一番期待しているのがそのケーキなのである。
妹はパッと俺から体を離すとバサバサと何冊もの本を俺に手渡してきた。
「これね、アルファディアカリス の設定資料集と攻略本。こっちは雑誌の特集記事で、私の好きなイラストにはチェック入れてあるから!ちゃんと確認しておいて欲しいの!」
「わかってるって。お前の気にいるケーキを絶対作ってくるから」
「お兄ちゃん本当に大好きー!!!」
そんな妹の声が今も耳に離れない。
翌日、俺は修行先のオーナーに事情を前もって説明し、最高に美味しいケーキ、そして妹の大好きなイラストや作品のテーマにある薔薇をチョコで作りデコレーションしていく。本当に本当に最高傑作であり、オーナーからは「君、器用すぎるからもっともっと仕事覚えてもらうね」と笑われた。
ウキウキ気分でケーキを崩さないように家路を帰っていると横断歩道の信号の青が点滅している。
妹に早く会いたい一心で駆け足をした俺はふと聞き覚えのある声に気付き顔をそちらに向けた。
「あーくんから貰った誕プレが一番嬉しい…愛してる」
そこは近所の小さな公園で。
天使である妹の目の前には妹と同じ制服の男子高校生がいて。
その顔がゆっくりと妹の顔と重なった。
全てがスローモーションのような動きで、俺は思わず体が止まってしまう。
えっ、どうゆうことだ?
そこへ俺の思考を全てもっていくかのようにトラックのクラクションの音が鳴り響いた。