表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

バレーボール

作者: 日間粒下郎

バレーボールは上を向くスポーツである。

某ジャ○プ系のマンガに書いてあった気がする。


まったくもってその通りである。

今、目の前のボールが落ちてくる状況でしみじみ思う。

目に映るのはボールと明るく高い天井のみ。

コートの中には他に敵味方11人いるはずだが、ボールが上がった時に見えなくなった。


さて、僕はこれをどうするべきだろうか。

読んでくれている君ならどうするだろうか。


この答えがすぐに出るようであれば、それは甘いと言わざる得ない。

どれくらい甘いかというと、「オレ、プロ野球選手になるから」と言って運動の時以外は周りに迷惑をかけまくるやつくらい甘い。


今この状況下で最も優先して考えなければならないことは、自分がなぜ今この場所に立っているのかである。

世の中の一般人はまずこれを考えて生きているのである。


なぜなら、この場所に立った意味を見失ってしまっては、自分がどんな答えを出しても答え合わせができなくなるからである。


例えば自分がスターだったとしよう。

この試合に勝つために、わざわざ周りの人から頭を下げられてこの場所に立っていた場合。

僕は迷わずスパイクを打てばいいのではないだろうか。

相手コートのど真ん中に強烈なスパイクを打ち込みゲームセット。

チームメイトからも感謝され、周りの声援を浴びて笑顔で勝利。

誰もが想像するハッピーエンドである。


仮に失敗しても周りからは暖かい声がかけられて次頑張ろうと言われるのではないだろうか。うらやましい。


逆にいじめられっ子の人数合わせだった場合はどうだろうか。

一番ひどい状況だった場合はボールに触らないだけでいいだろう。自分は1人だけコートの外に出ている可能性が高いから。

しかし、人数にカウントされている場合は話が変わる。


人数合わせで入ったのにある程度の仕事はしろよ。となった日にはコートが地獄となる。

相手からのボールを触らなかったとき、それがインであれば自分のミスとなり責められる。

触れたとき、アウトであれば自分のミスとなり責められる。

ボールに触るか触らないかでさえ究極の二択なのだ。

さらにそれをチャンスだと思ってスパイクなどで攻撃してみるなど、不可能であると言えるのではないだろうか。


そして、もっとも多い状況は自分自身も気づかないうちにチームのなかのモブキャラになっている場合である。


フィクションの世界ではモブキャラはミスをしない。

世界中のモブキャラがミスをすると物語が破綻するからだ。

モブキャラの行動は全て、物語の進行に必要なものであり、失敗でさえも物語を盛り上げるための調味料として必然性をもって発生しているのである。


しかし、現実はそんなに単純ではない。

隣の誰かが主人公のように輝いているとき。

自分は名前も設定もないモブキャラの1人になっていることがある。

流れを壊さないための風景のひとつ。

自分の上にボールがあるとき、誰も自分を見ようとせず、成功以外の結果は意識の外に出されているような状況。

そんな人間は個性的ななにかをするでもなく、ただボールをつなげることをするだろう。



今、目の前にあるボール。

これをどうするべきなのか。

それは、そんなに単純なものではないのだ。


この答えがすぐに出るような人はまだまだ甘いのである。


ただ、周りが見えずボールが淡々と近づいてくるとき。

まず、やるべきことは声を聞くことかもしれない。

近くにいる仲間の声が「任せた」なのか「任せろ」なのかそれとも他の言葉なのか。

それが一番自分の今いる場所を示しているのかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ