誕生
俺は死んでから随分の時間がたった。ここは暗いところで体は全くもって動かない。
さらにいうと少し腹の減りを感じていた。死んでいるのに腹がすくのもおかしな話だか。
まさか!俺は植物人間にでもなってるのかなぁ。
まあ、死んだも同じか…
'魔王さま!生まれましたよ!
"おお、生まれたか!どれ、抱かせてくれないか?
たくましい顔立ちをしておる。
まさしく私の息子にふさわしい。
どれ、そろそろこの世界を見せてやるか。
「このものに世界を統べるすべての力を与えたまえ」
光が見えてきたぞ!まっ、眩しい…
ん、ここは?どこだ?俺はまだ生きているのか?
"どうだ?しっかりと見えているか。
おお、かわいい看護婦さんじゃないか!え、てか耳?よく見ると目も大きくて体が毛でおおわれている。
'大丈夫です。しっかりと視力はあります。聴力検査の方も問題ありません。
この人、猫だよな。いや、猫なのに人って表現はおかしいか。
けど、人じゃないのにも人間は人と例えることがあるからこれはこれでいいのか。
"よろしい、ありがとうガネーシャ。
この人ガネーシャっていうのか。名前よりこの現実に早く理解したい。
てか、さっきから話してるこの男は誰なんだい!まあ、こんなこと思っても言えないんだけどな。
'よかったですね。魔王さま!
え、魔王ですか?
魔王ってお前、厨二病かよww
しかも、魔王っていったら顔がけわしくて魔神とかを飼い慣らしてるイメージだしなぁ。こんなにかわいいガネーシャちゃんが魔王の看護婦っておかしいだろ。
"それではこれから息子を頼む。私はいかなければならない。
'神魔大戦にいかれるのですね…。どうぞお気をつけてください。
"最後にお前に授ける名は「ペルセウス」
'ペルセウス、とてもよい名です!
"ガネーシャ、これから頼んだぞ…
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あれから4年がたった。この4年間に色々調べた結果、俺はどうやら本当に魔王の息子のらしい。
ガネーシャの話によると、この世界での出産はお母さんのお腹からではなく、魔方陣によって誕生するらしい。
母は体が弱く、俺が生まれる前に亡くなっていたそうだ。
そこで雇われたのがこのガネーシャらしい。
さらにこの世界は話からもわかるように普通の世界ではない。
俗にいう異世界というやつらしい。
魔法がバァーーンと撃てたり、魔獣や天使がいたりする俺の大好きなファンタジーの世界だ。
実際に魔法を見せてもらったが、もう興奮しすぎて高価なツボにぶつかって割るほどだ。
さらにこの国には昔のヨーロッパみたいに王族や平民などといった身分の差があるらしい。まあ、魔王の息子である俺には関係ない話だがな。
'ペルセウス様、今日は町にお出掛けになられる予定でしたね。
私もペルセウス様と行くのは初めてなので楽しみです!
「うん!いこう、ガネーシャ!」
そう、俺はここに来てから、この家から出たことがない。
なにか必要なものがあればガネーシャが外に行き、買ってきてくれるという感じだったため、屋敷の中から見える庭の景色しか見たことがない。
脱ひきこもり!
'それでは早速いきましょうか。
町に行く最中もこの世界について色々俺に話してくれた。
'この世界には魔界と天界と地界があります。
魔界には魔族である魔神や魔獣などがおります。
そこで、魔界の王として君臨するのが魔王様です。
そう考えると俺は普通の暮らしをしているが魔王の息子なのだから、英才教育みたいな事をすると思っていたが、これまでこの世界について教えてもらうばかりでなにも魔王の事を知らなかったな。
'次に天界は天使が暮らしております。
天使にも神と呼ばれるものもいたり、神獣と呼ばれるものも存在します。
'さらに一番の面積が広く、様々な種類の人種が存在する地界です。
そこでは人間が文明を築いており、私のように獣族やモンスターがいるのもこの地界になります。
'ここで天界と魔界の大きな違いについてですが、魔界は地界の人々に対して今は友好な関係を築いており、いつでも入界してもよいとなっております。
'しかし、天界では、はるか昔から魔界とは対立し、魔界と地界は只今手を組んでおり、天使はこの三つの世界より除外されてしま
う形になってしまいました。
そのため天界の方はめったに地界には訪れることはありません。
へぇー、この世界の仕組みがだんだんわかってきたきがする。
とりあえず魔界と地界は仲がいいが天界とは仲が悪いといった感じか。
'あ、すみません。つい話し込んでしまって。
あなたには自立するまでに教えなければいけないことが沢山ありますからね。
'そろそろ見えてくる頃ですよ。
へぇー、ここが……てか、で・か・く・ね!?
'ここが魔界の中心都市である「グリドル」です。