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探偵行為、その前に

いつもの喫茶店でモーニングを頼み、朝を満喫する。

無口だか優しい笑顔のマスターと相変わらずの静けさと美味しいココア。


「次はどうするッス?」

「奪い返すかな、またアルトに怒られそうだけど」

「詳しく話すッス」

そぐわない不穏な響きに、自分でも眉間に皺が寄るのが分かった。


「咎人の時、眠れなかったから、いろいろ歩き回ってたら初心者狩りしてる奴を見つけた、もしかしたらソウルポイント取り返せるかと思って、いろいろ調べてたんだ」

「なるほど、そう言うことなら全面的に全力を尽くして協力出来るッス」

「ノリノリだね?」

「これも神様バレンシュタインの受け売りッス。

『他人に迷惑かけてはならない』

『自宅警護は完璧に』

『正当防衛はどんなにやり返しても過剰防衛にならない』

『絶対専守防衛』

『我がゲーム中を妨害する者に呪いあれ』

『お炬燵を称えよ』

『右の頬を叩かれたら左の頬にマシンガンをぶっ放せ』

『コントローラーの右隣にマグカップを置くことなかれ』

『お菓子は三日分まで』

『ゲームは1日1時間のローテーション』って言うのが、十戒ッス」

「なんの神様なの?」

「傭兵と商売の神様ッス」

「なんかその、変わった神様だね」

「それは兎も角、そんな訳でなんでも言ってくださいッス。奏さんのソウルポイントを取り返すわけだし正義はこちらにあるッス」

「う、うん。それじゃまずは…」

向かった先は、大いなるオーシャンズレイク、蒼い空から太陽光が降り注ぐ南国フェア真っ盛りな場所だった。


騎士団領のあるここは、治安が良くリゾート気分を満喫しながら修行が出来ると人気が高い。

熱帯魚みたいな水着姿のソウル体や天使達とたくさんすれ違う。

海岸線を抜けて田園風景が見えてきた。


「あそこッスか?」

「うん」

蜜柑畑を過ぎるとこの島唯一の街に着いた。

更に奥へ、目的の場所は裏路地にあった。


如何にもな用心棒が立っているネオン切れかけの看板は【レッドスコーピオン】。

場末感のあるバーは、お世辞にも儲かっているように見えない。


「盲点ッスね、こんな所にあるなんて…」

「この島は農園があって、いつも忙しく人が頻繁に来るからそこに紛れたらしい」

「お前ら、そこで何している!」

人通りもないから目立つ、用心棒に見つかった。


「あ、どうもレッドさんに会いたいです。取り次いでもらえますか?」

「アニキは、今は忙しい帰れ」

「約束はしたはずですが?」

「聞いてない、帰れ!」

「そんな筈は無い、取り次いでくれ!」

「痛い目に会いたくなかったら帰れ…」

「そこをなんとか!」

身体をくの字に曲げて頭を下げる奏さん、用心棒は殴りかかってきた。

狙い澄まして身体を起こす奏さんの頭が用心棒の顎に直撃し、用心棒は昏倒した。


「悪いね」

用心棒から鍵を取り、そこから足早に離れ路地裏へ。


「アルトこっちだ、裏口がある」

「え、いきなり入って大丈夫ッス?」

「それよりあの人の担当天使、変じゃなかったか?」

「そう言えば無口な割にニヤけて、あんな子じゃなかったはずッスが…」

「…ここだ」

裏口から入ると地下に続く階段を降りた。

なんだか嫌な予感がする。


「いくよ、アルト準備いい?」

「いつでもいいッス」

数人の話し声が聞こえる。

掃除されていない廊下の奥の扉を開けた。


「なんだお前ら?」

「やぁ、レッドさん。あんたに取られたソウルポイントを取り返しにきたよ」

「あぁ、そうかい」

一人だけ真っ赤で派手な衣装の男、レッドは粘りつくような笑顔を見せた。


魔法の発動!?こんな室内で!?


「奏さん、防御ッス!」

魔力の鎖が私だけに向かって来た。


ーッッッ!?


ガラスを爪で引っ掻いたような音に両耳を押さえた。


「アルト、大丈夫か?」

「これは、拘束魔法…」

レッドは魔獣拘束魔法を私にかけてきた。

それに合わせて奏さんも、私を標的に拘束魔法をかけて相殺させた。


「拘束魔法は三種ある、標的を捕縛する拘束バインド、暴走を大人しくする催眠スリプル、意のままに操る魅了チャーム

「まさか、自分の担当を魅了したってことッスか!?」

「そうだよ!コイツはオリジナル魔法を開発して天使を魅了してるんだ!」

チッと舌打ちするレッドと奏さんは、睨み合いになった。


「天使騎士団に通報します!アレ?」

手持ちの通信用の機器、通信用の魔法まで全てが圏外になっている。

「悪いな天使さん、お前達を帰す訳には、行かなくなってな」

「なあ、レッドさん。取引きしないか?」

「あぁ?取引き?」

「あんたと一騎打ちがしたい、あんたが勝てば好きにしてくれ。駄目なら暴れる、俺は兎も角、この子ぐらい逃がすことは出来る。どうだ?」

奏さんの申し出にのるかそるか、レッドはまた舌打ちした。


「分かった、着いてこい」

どうやら奏さんの召喚を警戒したようだった。

到着したの大きなコロシアム、最近自作したものらしく新しい。

空が見えるが通信は阻害されたまま、彼らの中にそういうのが得意な者がいるらしい。


「お前はこっちだ」

「分かったてば!!」

後ろを歩いていた男に腕を掴まれそうになったので振り払い、観客席へ向かう。


「奏さん、がんばって!!」

「うん!」


「じゃあ…はじめるとするか、なッ!!」

二人の剣撃の音が唐突に始まった。

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