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無気力な男と変なヘルメット  作者: 虎の子
現実と夢初体験
5/7

なんだよ、どこから夢だったんだ。ヘルメットを拾ったところか、それともゲリラ豪雨にうたれて靴があんなことになる前なのか。

でもぼくには寝たという記憶はあのヘルメットをかぶって寝た時が最後のはず、どうしてだ。まずヘルメットがないということはやはり昨日の出来事はすべて夢だったのか。うーん、まったくわからん。


そんなことを考えているうちにいつもの無機質な携帯のアラームがなった。時計は、いつもと同じ時間。「やば」と声にだしベッドから立ち上がり、そこで僕はなにかいつもと違う違和感を感じた。


それはぼくの立ち上がった時の目線がいつもより高いこと、一日で伸びる身長の高さを遥かに越えている、僕の推測だがこれはプラス10センチはある。ということはぼくは、高校時代からの目標であった

180センチに到達したことを意味するわけだが昨日までの僕の身長は172センチで冷静に考えるとこんなことありえないことに気が付くそしてぼくは、ありきたりだが自分の頬をつねってみた。


「やっぱりそうだよな、夢か」なんとなくわかっていたけど、うん。現実は甘くない。昨日のことが夢でないこともほんとはわかっていた、だってカップ麺のまずさを頭と味覚がはっきり覚えてるし。


さてここが夢だと分かったわけだけどどうしたもんかふつーこういうのってなんか{特別}なことが起こったり、まず目を覚ます段階でなにか起きたりするもんじゃないのかよ。こういうときにぼくが

期待する{特別}というものは突然の地響きで目を覚まして外に出たら巨大なドラゴンがいて、気がつくと僕の左手にはかわいいアニメ声で話す聖剣があってとか、目を覚ましたら超絶美少女が朝飯を作ってる

とかそういうことだ。


まず今の時点でわかることは部屋の中には僕しかいないこと、この時点でさっきの考えの後者はもうない。ということで僕はもう一つの可能性を信じて、玄関に向かいサンダルを履いて

ドアをあけた。


外は梅雨の真っ最中だとは思えないほど晴れてはいたがそれ以外はいつもと全く変わらない。うーん夢も甘くないのかと少しがっかりしたがこうなってしまうと僕にできることは学校サボるか、行くかしか

選択肢はない。夢の中でも地味なぼくってとんだ意気地なしだとだれか罵ってくれとおもう。こんな性格の僕が大学をサボれるはずもなく、学校に向かっていた。もう一度確認するけどこれゆめだよな。


 いつもどりの電車にのりいつもと同じように歩いていると当たり前のように大学に着いてしまった。大学の見た目もいきなりどこかの国の宮殿にかわっているとかそいうこともなくそこそこ年季のはいった

建物のままで見慣れたものだ。大学に入っていく学生に変わった様子はなく僕は校門の前で今度は自分の頬を強めに叩いてみたがやはり痛みは感じなかったが校門をくぐる学生たちからの痛い視線を感じる

ことになった。


やばい夢でも心は痛むぞと新たな知識を手に入れた、夢路のレベルが1上がったなどと考えていると始業の時間が迫っていた。僕は駆け足で講義が行われる教室に向かった。


やっぱりここでも何も特別なことは起きずに一限、二限と過ぎて行った夢なのにノートを取っている僕は一体何がしたいんだろうと考えることはあったけど習慣化されているようでやめることはなかった、

そしてノートを取っているぼくはここでようやくある異変に気が付くこれって明日の授業の範囲じゃなかったっけと、そもそも今日は何曜日だと思い普段は電源をきり鞄にしまっている携帯をとりだして

日付を確認した。


それをみた僕は驚いた、なんとあのヘルメットを拾った日の翌日になっている。なぜ僕が驚いたかというと夢にもいろいろな説があるのだがどの説も過去の経験が夢にでてくるだとか、夢は一週間の

出来事がでるとかしか僕は知らない。未来関係の夢は見ないのがセオリーである。僕が知らないだけで他にもいろいろな説があるのかもしれないが僕は驚きと非日常の中にいることへの喜びを隠せなかった。


そのあと少し考えると

これは少しオカルト的な要素を含むが「予知夢」という現象なのかもしれないという結論に至るのだけどこれに関しては現実の僕が目覚めてみないことには確証はもてない。だって僕は今夢の

真っ只中にいるのだから。


そんなことを考えているうちに二限は終わっていて周りの学生はほとんどいなくなっていることに気が付き僕もノートとペンを鞄の中にしまい講義をしていた、教室から出ることにした。


 三限が休みの僕は昼休憩としてあのカフェに向かっていた、SF展開も美少女幼馴染展開も朝起きなかったのだからせめてラブコメ展開はあるでしょという淡い期待を持っているわけだが、これが「予知夢」なら目覚めた明日の僕にもラブコメ展開が待っていることになるのでほぼ確実にありえないので、あくまでも淡い期待だ。店の前に立ち、こっそり中をのぞいてみたがあの彼女の姿はなかった。というのも彼女の見た目僕より年下かもしくは同い年のような幼さを

感じた、だからこの昼過ぎの時間は普通なら学校に行っているのだから店にいるはずもないわけだ。


第三のラブコメ展開のフラグも折られたわけだがここまできて店に入らないのもおかしい気がしたから

とりあえず店の中に入ることにした。てか夢の中で飲むものって味するのかな、今までの僕の経験ではゼロに近い、基本無味無臭だった。そんなことを考えていると「おひとり様ですか」と

いかにもお姉さんという店員が声をかけてきた「はい」と僕は答えた。夢の中で初対面の人と話すのは初めての経験だ。「お席へご案内します」と彼女がいうのでまたいそいそとついて行った。


そして席に着くとお姉さん店員が「ご注文はお決まりですか」と聞いてきたので「アイスコーヒーで」と答えた。ほんとはぼくはコーヒーなんて飲めないけどどうせ味しないから平気だろうと

ちょっと調子に乗ってみた。


自分の夢なんだからそれくらいいいだろ。そして僕は、さらに調子に乗ってあの「てへ♪」の彼女のことを聞いてみた。「おとといの夕方働いてた茶髪の女の子はどうしたんですか?」とするとお姉さん店員は少し考え「れんちゃんのことかな」と言った。「れんちゃん?」と続けた、「西野楓恋ちゃんだかられんちゃんなんです」と彼女はいった。


そして「お知り合いなんですか」と聞いてきた「おととい来たときすごく愛想がよくていい店員さんだなと思って」と僕は必死にごまかした。すると彼女「そうだったんですか」と言い少々

お待ちくださいと加え裏にさがっていった。


僕は「ふうー」と息を吐いてコーヒー待つ間「てへ♪」の彼女のことを考えていた。名前を一応は知ったわけだけどこれはあくまで夢だ。

実際の僕はあのダサいヘルメットをかぶって部屋で寝ているわけだがこれが予知夢なら明日ここに来ることになるということになる、あくまでも予知夢だったらの話だ。

そして間もなくしてコーヒーが来たがやはり、無味無臭だった。僕はそれを一気に飲み干し店を後にした、冷静に考えるとさっきの茶髪の彼女は女の子はどうしたんですかという

質問は少し不審者を連想させたなと思い、勝手に気まずさを感じたのだった。僕の夢の中なのに。


 僕は気まずさからなのか少し早足で大学に戻ってきた。この後の四限は大学唯一の友達である武田君と同じ授業なのだ。唯一の友達か、自分で言っててもなんか寂しいなでも

昔から数より質だと思っている飯も友達も。ほかの人からすると僕は近寄りがたいらしい理由はわからないけど。こんなに人畜無害なのにと思うけど他人から見ると違うのかも

しれない。人って難しいよ神様。


四限の講義室についた僕はいつもの定位置の一番後ろの右端に座った。まだ武田君は来てない、夢でも武田君は遅刻ぎりぎりなんだな思った。

彼はいつも始業の二分前きて「よお元気か夢路」と声をかけてくれる、いつも走ってきてるのだろう彼は汗だくだ、だがそれでも彼はさわやかでかっこいいのだ。

さあもうそろそろだなーと時計を見ていると後ろから声をかけられた「隣イイですか?」と女性の声だった。普段は人から話しかけられるとはほとんどない。もちろん話しけることも。


高校の時の話だが教科書を忘れて隣の女子に「悪いけど、教科書見せてくれないと」と頼んだら「私、使わないから一人で使っていいよ」と教科書を押し付けられたことがある。

その子は成績優秀な子だったから教科書をを使わないなんてことありえないのだけどそれほど僕と教科書を共有するのが嫌だったのだろう。机くっつけようとしたおれの空しさ、、

そしてそのあと優秀な子プラスその友達から視線を一日中感じながら過ごしたんだよなー。と全然関係のない苦い思い出のこと考えていると「ダメですか」と彼女が聞いてきたので「イイですよ」と少し声が上ずりながら答えた。

武田君ごめんと心でつぶやく。「ありがとうございます」と彼女はいって

僕の隣に座った。そして僕は、その時初めて彼女の顔見たのだがその瞬間大声でこう言っていた。「れんちゃん~~~~~~~~~~~~~~」とその瞬間ほんとの意味で目が覚めた。

現実の目覚めはヘルメットを被っていて視界は真っ暗で目覚めは最悪だった。

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