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無気力な男と変なヘルメット  作者: 虎の子
現実と夢初体験
2/7

 梅雨独特のゲリラ豪雨にやられる一時間前に、僕は大学近くのカフェである女性に出会っていた。正確に言うならば出会ったわけではなく彼女が働いているカフェに僕がたまたま入っただけなのだけど。

彼女は「いらっしゃいませ」と元気にカフェの従業員らしい声をだした。僕はその姿に非日常的なものを感じた。もちろんこのカフェに来るのは初めてなのだから、それは至極当たり前のことであるけど。そう感じたのは僕の日常のせいかもしれない。


 何を隠そう僕はコンビニ店員としてバイトしている。そのため彼女が発した「いらっしゃいませ」という接客業の決まり文句は僕もよく口にするがそれとはまったく違うものにみえた。


それがさわやかなカフェの従業員と酒とたばこしか売れない寂しいコンビニ店員のちがいなのかと一瞬思ったがそれはたぶんちがう。と思いたい。もっと言うならば、いかにも「リア充してますてへ♪」

みたいな子と、生きてる年齢=彼女いない僕とのちがいなのか。


 いやーそれにしてもさっきの「てへ」は自分でも気持ち悪いと思うなーと心の中でため息をついた。


その時「こちらの席へどうぞ」と彼女がいった。僕はいそいそと彼女の後ろをついて行った。それから僕は席に座ると彼女にアイスティーと注文を終えた。そして僕はここにきた理由を思い出した。それは「レポートだ」大学生なら一度は聞くことになるだろう。


一気に日常に戻された気がした。

 今回のレポートのテーマは「レム睡眠について」だ。我ながらどんなテーマだよとも思うが、今の僕の知識では浅い眠り程度しかわからないので、ぼくはスマホで某検索サイトの知恵袋に頼り順調にレポートを進めていった。そのなかで僕は少し興味が持てそうなものをみつけた。それは睡眠をコントロールして、夢を自在に操るというものだった。内容はいかにもうさんくさいものだったが方法は至って簡単だった。一万円もするヘルメットのようなものを被り寝るだけというもの。


僕は馬鹿らしいとおもいこのページをとじレポートを半分ほど進めてあとは明日やろうと決め、伝票をもちレジにむかった。またさっきの彼女だった。あの「てへ」の子だ。「650円です」と彼女は言った。僕は財布の中から千円をだしおつりをもらい、店を出た。


アイスティー650円高いなと思ったのは家についた後だった。


 ここ二日間の間に非日常的なことが多々あったような気がする。といっても簡単に言ってしまえば、カフェに行きかわいい女の子をみて、くだらないことをかんがえて過ごしそのあと今まで一番運のないことが連続して起きただけなんだろうけど。あ、でも「ウン」はついてたなとかくだらないことをまた考えているこれが僕の悪い癖なのかもしれない。大学の講義もいつもと同じように受け流し気が付くと時計の針は、終了五分前を指していた。


帰り道「てへ♪」の子のカフェの前を通ったが彼女はそこにはいなかった。彼女の呼び名をそろそろ変えたいがぼくはそもそも彼女の名前を知らない、知る機会は当然ないし逆に知っていたら引かれるレベルである。


僕は何で彼女を気にかけるのかが僕自身でわかってはいない。かわいいからとかそういう理由ではないと思う。たぶん。うん。肯定もしないが拒否もしないそれが僕なのだ。でも残念に思うと言うことは僕に一般的で健全な男子の一面もあるということだ、いや前からあったけどなと自分に言い聞かせた。雲行きが怪しくなってきているのに気が付き僕は店の前を後にした。


今日は雨に打たれることなく家につくことができた。玄関の鍵を開けるもちろん誰もいない、僕は春からここで一人暮らしをしている、幽霊がいるとか、隣の人が美人とかそういうのはないアパートとマンションの間のような家だ。

僕にピッタリな微妙な家だ。中もふつうだし、しいてほかの家と違うところを玄関が異臭放っていること。

靴捨てよ。


 さらば俺の相棒ほんとに短い付き合いだったと。と心でつぶやいてゴミ袋にいれてゴミ捨て場へ持って行った、そこで僕は某知恵袋でみたうさんくさいヘルメットと似ているものが放置されていることに気が付いた。


捨てられているというよりも置かれていると感じる不思議な存在感があった。明日は燃えるごみの日だ、ヘルメットって燃えるのかとか考えていた。そもそもゴミなのかも怪しいヘルメット見た目はハイテクで某ライダーの仮面のようでかっこいいと思う自分がいて怖い。


俺の厨二心立ち去れ。


気が付くとぽつぽつと雨が降っている、そしてぼくはそのヘルメットを抱えて家に帰っていた。

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