表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/7

第二章:燃え続ける炎

軽く戦闘シーン入ります。


今度からは週一更新で頑張りたいと思います。(汗)

西暦1912年6月22日・・・・・・・・・


この時代に何が起こったのかドイツ国民なら知っている。


大ドイツ帝国が破滅という名の序曲を自ら演奏した時だ。


作戦名は赤髭を意味するバルバロッサ。


この赤髭だが、言語はイタリア語である。


それは神聖ローマ帝国の皇帝であらせられた“フリードリヒ一世”の髪が、赤毛を帯びたブロンドの髭を持っており、更に失敗こそしたがイタリアに注力していた事から名付けられた。


フリードリヒ一世の最後は沐浴中の溺死、という信じられない最後だったが、大体の者達は信じられなかった。


卒倒であったから溺死したとも、何者かの手によって暗殺された、とも言われている。


しかし、伝説は違う。


皇帝は眠り続けている。


帝国が再び自分を必要とする時まで、眠り続けており、帝国が必要とした時は永い眠りから眼を覚ます、と言われているのだ。


これをちょび髭伍長は命名した。


ソ連侵略作戦---バルバロッサ作戦である。


大ドイツ帝国は名を変えて“ナチス・第3帝国”となった。


首相兼大統領である総統は伍長でしかないアドルフ・ヒトラーが選ばれた。


奴は公平な選挙で選ばれたが、巧みな演説なども武器としていた。


とは言え・・・・亡き父も私も良い印象は無い。


どうも胡散臭くて危険な雰囲気を感じたのだ。


何れ何かやるに違いない、と私達は危惧していた。


まぁ、貴族の大半がヒトラーより皇帝陛下に仕えている、と何処かで思っていたし、少なからず貴族でなく、更に伍長だった彼に従うのが嫌だったのも理由だろう。


そして予想通り、戦争という名の弾丸を放った。


ポーランド、フランスを新しい戦術---“電撃戦”で制したが、イギリスは下せなかった・・・・・・


イギリスを下すにはロシアを下そう、と考えた。


だが・・・・・・何れは雌雄を決する気ではあった。


互いに・・・・・・


それがバルバロッサ作戦である。


私は当時、駆け出しの戦車兵だった・・・・・・


階級は少尉で将校の最下位だったが、学校は上位クラスで卒業した。


配属された場所は後に“大ドイツ師団”と呼ばれる師団だが、まだ師団ではなかった。


そこで戦車を与えられた。


主力戦車だったⅢ号戦車H型・・・・・・


私が最初に跨がり戦場を駆けた愛馬である。


この戦車は5人乗りで皆が与えられた仕事に集中できた。


この戦車は5人乗りで皆が与えられた仕事に集中できた。


私は指揮を担当する戦車長で4人の部下を与えられたのは懐かしい。


皆とは訓練を共にして寝食も一緒であり、家族でもある。


操縦手がロマイニー。


照準手がストラッサー。


無線手のバイアン。


装填手のベルナルド。


戦車長の私。


皆、私の戦友にして家族である。


その者達と共に私は欧州最大の大地に・・・・・・脚を踏み入れた。


1941年6月22日に・・・・・・・・・・

|

|

|

|

|

|

|

|

|

|

|

|

|

|

|

|

|

|

|

|

|

|

|

|

|

|

|

|

|

|

|

|

|

|

|

「ハント少尉、司令部より入電」


通信手のルイが私に声を掛ける。


「何と?」


私はペリスコープから僅かに見える、外の景色から眼を外した。


「我々は先遣隊に合流しろ、との事です」


先遣隊に合流しろ、という事は・・・・・既に敵陣や町は突破した、という事だな。


「そうか。では、行くとするか」


ロマイニー、エンジンを。


そう命令すれば、ロマイニーは直ぐにエンジンを始動させた。


私達の軍馬が蹄音を鳴らして走り出す。


この音を最初に聞いた時は綺麗な音、と思ったものだ。


だが、戦場では・・・・そんな気分は求められない。


「少尉、戦いが終わったら酒場で祝杯を挙げましょうよ」


バイアンの言葉に私は軽く吹いた。


何せ突然の言葉だったからだ。


「おいおい、まだ勝負はついてないぞ」


早過ぎる祝杯だ、と言ったがバイアンは違う、と言った。


「そうじゃないんです。休暇が取れた時ですよ」


「何かあるな?」


彼の口振りから察するに私は勘づいた。


「実はフランス娘と仲良くなりまして、ね」


彼の言葉に私を含めて、車内は色めき立つ。


既にフランスは降伏して我軍が駐屯している。


そこで仲良くなった女性が居ても驚かない。


勝者に媚びる者、抵抗する者、中立する者・・・様々な人間が居る。


しかし、恋愛は人間の感情が一番影響する。


媚びた、という面もあるだろうが、少なくともバイアンの人柄からして女は人柄に惚れた、と思う。


だから、私は彼がフランス娘と仲良くなっても驚かない。


「そのパリジェンヌと知り合った祝杯を挙げたいんだな?」


「いいえ。その・・・・・もう付き合って、かなり経つので休暇を貰ったら式を挙げたいんです」


またもや私達は色めき立った。


何時の間に出来たんだ、と皆で冷やかす。


だが、私は結婚と言う単語に眼を細めた。


私も何れは子を持たなくてはならない。


出来るなら好きな相手、と思ってしまう。


立場からは選ぶ事など出来ないのだが、結婚か・・・・・・


「ハント少尉、祝杯あげませんか?」


バイアンは私に再度、尋ねた。


「良いぞ。休暇を貰ったら私の奢りで祝ってやる。ついでに私が式で立会人になってやる」


そう言えば車内は笑い声で浮足立った。


作戦中なのに、駄目だが・・・・直ぐに変わる。


「敵装甲車2時。徹甲弾を込めろ」


私はペリススコープから見えた方角を言った。


2時方角に敵が見えた。


単機の所を見ると、偵察か?


それとも味方が討ち漏らしたのか?


どちらにせよ、我々にとっては最初の獲物だ。


「よっ・・・・装填良し!」


装填手のベルナルドが叫べば、砲塔が旋回した。


ハンドル音が小刻みに鳴り、砲塔が旋回して敵に狙いを定めた。


敵はこちらに気付いたが、たった一機という事に侮ったのか・・・・・・・・


「敵も主砲を向けて来たぞ!一発で仕留めろ!!」


「任せて下さい。さんざん戦車学校で教え込まれましたからね」


照準手のストラッサーが、落ち着いた声で喋った。


照準手が全てを決める、とは語弊がある。


だが、彼の腕前で勝負は決まるのだ。


そして・・・・・・・・・・・


「照準良し!」


照準手のストラッサーが準備を完了した。


「よし、ファイア!!」


私が叫べば、Ⅲ号戦車H型の42口径5cm Kw.K.38が火を噴く。


BAKOM!!


ストラッサーが撃った42口径5cm Kw.K.38の徹甲弾は僅かに外れて、地面を大きく抉った。


「外れたぞ!お次は敵さんが撃って来た!!」


BAM・・・・・BAKOM!!


敵戦車の砲が火を噴いたが、かなり外れた方角で爆発音が鳴った。


かなり狙いが外れている。


話に聞いた通り・・・・・ソ連の技術は高くないな。


「ふんっ。下手くそが・・・・見てろよ。砲ってのは、こう撃つんだよ!!」


ストラッサーが再び42口径5cm Kw.K.38の引き金を引く。


僅かにずれた照準を微調整して、だ。


BAM・・・・・BAKOM!!


見事に敵戦車の装甲を撃ち破って・・・・・・・・・・・・・


「敵戦車、撃破!!」


私が戦果を言えば、皆は大喜びした。


初戦果だ。


「このまま前進だ!!」


『ヤー!!』


私が命令すれば皆は了解、と叫んだ。


自分の眼に映る敵戦車は炎を出しながら、燃え続けている。


私達が通り過ぎた後も燃え続けていた。


しかし、その時は敵の末路を連想していたのだ。


我が大ドイツ帝国は宿敵---ソ連を打ち倒して、再び帝国の繁栄を気付かん、と・・・・・・・・・・


だが、本当は・・・・・・後数年後には我々の末路になる。


その事実を、私はまだ知らなかった。


それが私の最初の悲劇、と言えるだろうが、その悲劇は・・・・ほんの些細な事でしかない。


本当の悲劇は・・・・・・・・・・・・・


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ