ついに、王都へ。
魔導力車は、私の修理のおかげで(?)、スムーズに街道を走り続けた。窓の外を流れる景色は徐々に変わっていき、城壁が見えるようになってきた。
旅の途中、商人ゴルドは、アストリアのことを詳しく教えてくれた。アストリア王国の王都であり、政治や経済、文化の中心地であること。堅牢な王城を中心に、国民や商人などが行き交い、活気に満ち溢れていること。そして、様々な先端技術や魔法を扱う商店や、いろいろなギルドがあること。
ゴルドの話を聞いているうちに、私の胸の高鳴りは抑えられなくなっていた。元ゼネコン技術者としての知識が、ここでどこまで通用するのか。そして、私の夢である鉄道を、この世界に通すことができるのか。期待と不安が入り混じり、複雑な心境だった。
そしてついに、視界に大きな アストリア の城門が見えてきた。門の上には、見たことのない紋章が誇らしげに掲げられていた。
「さあ、カリーナさん、王都、アストリアへようこそ!」
ゴルドが、興奮した声でそう言った。ほかの乗客にも、故郷に戻ってきた喜びの色が浮かんでいる。
魔導力車は、門をゆっくりと通過した。門の中に入ると、今まで見てきた景色とは全く違う光景が広がっていた。石畳で舗装された広い街道には、たくさんの人々が行き交い、様々な商店やギルドが軒を連ねている。こっちに来てから見たこともない大都市が、活気に満ち溢れていた。
私は、窓に張り付くようにして、初めて見る王都の景色を事細かにに観察した。高い石の建物、綺麗な装飾が施されたお店、そして、奇妙な魔法陣を操る人々。全てが、私の元いた世界の常識を覆すものばかりだった。
(ここが、アストリア王国の王都、アストリア…!本当に、信じられないほど素敵な場所だ…!)
鉄道の技術や知識しか持たない私が、この場所で一体何ができるのだろうか。鉄道の定義さえ存在しないこの世界 で、私の夢を実現するのは、本当に困難なことかもしれない。
しかし、この雄大な王都の活気と、そこに住む人々のエネルギーを感じていると、不可能なことではないような気がしてきた。この不思議な魔法を使う技術があるこの世界なら、鉄道も、いつか実現できるかもしれない。
魔導力車は、大きな通りを進み、やがて大きな建物の前で止まった。そこが、ゴルドの仕事場らしい。
「カリーナさん、まずは私のところで少し休憩するといい。宿の手配など、色々手伝うよ。」
ゴルドの親切な申し出に感謝し、私は魔導力車を降りた。巨大な王都の空気は、転生前の場所よりも少し埃っぽかったけれど、機会に満ち溢れた希望の匂いのようだった。




