表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界鉄道開発紀  作者: 橙谷 玲紗
第一章 王都へ
11/12

抵抗

魔力球の表面をよく見てみると、微かに焦げ付いたような跡があることに気づいた。そして、その焦げ付きを中心に、青白い光が不安定になっているようだ。


「運転手さん、この魔力球、今までにも何回か焦げ付きが入るようなことはありませんでしたか?」


私の問いかけに、運転手は顔をしかめて答えた。


「うーん、そういえば、何日か前にも出力が少し落ちたんだが、すぐに元に戻ったんだ。焦げ付きまでは気づかなかったな。」


私は、魔力球の横に設置されている魔導力ユニットにも目を向けた。複雑な導線が張り巡らされ、真ん中には半透明で硬いシャボン玉のような結晶が置かれているのが見える。その内部では、不安定ながらも青白い光が点滅していた。


(魔力球へのエネルギー供給が不安定になっているのは、この魔導力ユニットに原因があるのかもしれない。)


私は、ユニットの周りをそっと触ってみた。すると、導線の一部がわずかに熱を持っていることに気づいた。


「運転手さん、この部分、少し熱くなっていませんか?」


私が指摘すると、運転手も触れてみて、「ああ、確かに少し熱いな」と同意した。


「恐らく、このユニット内のどこかで導線の接続が悪くなっているか、あるいは抵抗が大きくなっているせいで、ユニットがスムーズに魔力球にエネルギーを送ることができていないのではないでしょうか。」


私の仮説に、運転手は怪訝な表情を浮かべた。


「魔導線の接続不良だって?そんなことが、こんな単純な機械で起こるもんかねえ…。」


しかし、他に解決方法は思い当たらないのだろう、彼は渋々ながらも私の言葉に耳を傾けているようだった。


「もし可能であれば、この魔導線の接続部分をいくつか確認させてもらえませんか?修理用の工具はお持ちですか?」


私の突飛な提案に、乗客たちも興味津々といった様子でこちらを見始めた。ゴルドも、目を丸くして私の一挙手一投足を見守っている。


運転手は、工具ボックスの中から、いくつかの工具を取り出して渡してくれた。私はそれらを手に取り、慎重に魔導線の接続部分を調べ始めた。


すると、案の定、ユニットの端から伸びる魔導線の一つが、接続部分でわずかに緩んでいるのを発見した。その部分には、僅かながらも黒い焦げ付きが付着している。


「運転手さん、ここです!この魔導線の接続が緩んでいます。そして、少し焦げ付いていますね。これが、エネルギーの流れを阻害している抵抗かもしれません。」


私がそう言うと、運転手は驚いた表情でそこを覗き込んだ。


「本当だ!こんな小さなことで、こんなにも魔導力製品は動かなくなるものなのか…。」


「わずかな抵抗でも大きなエラーに繋がることがあります。これもその一つに当たるかもしれないですね。」


私はそう説明し、その部分を新しいものと交換すると、熱を持っていた魔石の温度がに戻っていくのが分かった。


「さあ、これでどうでしょうか。」


私は、運転手に魔導力車の起動を促した。運転手がスイッチを入れると、初めは弱々しかった魔力球の光が、徐々に青白い光を取り戻した。そして、ゆっくりと、しかし力強く動き始めたのだ。


乗客たちからは,歓声と安堵のため息が漏れた。ゴルドは、目を丸くして私に近づき、感嘆の声を上げた。


「カリーナさん、あなたは本当にすごい人だ!まさか、こんな些細なところに原因を見つけて直してしまうとは!」


運転手も、先ほどのの怪訝そうな表情から一転、ほっとした顔で私に頭を下げた。


「助かったよ、お嬢さん!あんたがいなかったら、一体いつまでこんなところで立ち往生していたことか…。本当にありがとう!」


小さなハプニングだったけれど、私の前世で培った知識が、この異世界で初めて役に立った瞬間だった。そして、この世界の技術に対する、私の興味は前にも増して深まったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ