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異世界鉄道開発紀  作者: 橙谷 玲紗
第一章 王都へ
10/12

小さなハプニング

なんか…10話目みたいですね(笑)。これからも拙作をよろしくお願いします。

魔導力車は、石畳と会話するように街道を進んでいた。窓の外には、見慣れない木や面白い形の岩山が流れ、この異世界の風景に、私の好奇心がくすぐられていた。隣に座る商人ゴルドは、様々な商品の話や、王都での儲け話などを語ってくれた。


しかし、しばらくすると、魔導力車の速度がゆっくりになり始めたことに気づいた。以前は軽快に進んでいたのが、重い足取りになったように感じる。


「ん?どうしたんだ?」


ゴルドも魔導力車の変化に気づいたようだ。窓の外を見ると、前に急な坂道が見えてきた。


「ああ、この坂は、魔導出力が低いこいつだと、結構苦労するんだよ。」


運転手が、少し困ったような声で言った。前に置かれている金属のようなものでできた球体から発せられる青白い光も、以前より弱まっているように見える。


ゴルドの説明によると、魔導力車は、前についている魔力球の横、魔導力ユニット(これは魔石からエネルギーを取り出すものらしい)からエネルギーを得て動いているらしい。しかし、魔石の質や運転手の技術によって、出力には差があるという。この魔導力車は、どうやら出力があまり高くないタイプらしい。


坂道に差し掛かると、魔導力車は完全に速度を落とし始めた。静かだった球体も、だんだんキーンという音を出すようになった。そしてついに、ゆっくりと動きながらも、魔導力車は完全に停止してしまった。


「こりゃあ、参ったな。」


運転手が、額の汗を拭いながらそう言った。乗客たちの間にも、


「一体いつになったら王都に着くんだ。」


といった不満そうな声が続々と漏れ始めた。


私も、初めての魔導力車で、まさかこんなハプニングに遭遇するとは思ってもみなかった。しかし、技術者としての血が騒ぐのを感じていた。


(魔導出力不足か…。何か電気と関連性があるかもしれない。構造を見てみれば、何か分かるかもしれない…。)


私は、立ち上がって前の推進力の部分へ近づこうとした。


「カリーナさん、どこへ行くんだ?」


ゴルドが心配そうな顔で尋ねてきた。


「少し、前の魔力球や魔導力ユニットの部分を見てみたいんです。もしかしたら、何か手伝えることがあるかもしれません。」


私の言葉に、ゴルドは驚いたような表情を浮かべたが、すぐに興味深そうに目を輝かせた。


「なるほど、お嬢さんは魔導力に詳しいのかい?」


「ええ、まあ…少しかじっただけですが。」


私はそう返事をし、運転手に声をかけた。


「運転手さん、少し前のところを見せてもらってもいいですか?」


運転手は、怪訝そうな顔をしたが、困っている状況なので、渋々ながらも頷いた。


「まあ、あんたに何ができるか分からないが…あなたの好きにしな。」


私は、魔導力車の前に近づき、不思議な紋様が刻まれた金属のような球体をじっくり観察し始めた。青白い光は弱々しく点滅しており、以前のような安定性 は感じられない。


(この球体へのエネルギー供給が滞っているのか、球体自体の出力が低下しているのか…。)


前世の知識と、大学の電気技術科で学んだ電気の基礎を応用しながら、私は球体の周りを調べ始めた。この世界 の魔法技術は全くの未知数だが、エネルギーの流れという点では、電気と共通する部分があるかもしれないと考えたのだ。


小さなハプニングだが、私にとっては、この世界の技術に触れる最初のステップとなるかもしれない。前世の血が、異世界で突然目覚めようとしていた。

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