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第7話 朋友と輪を描きつつ


 今日私はプリカ養成所、初めての日を迎えていた。


 教室の扉の横で緊張しながら出番を待つ私。

 何か一芸を披露したりする訳では無いが、失敗はできない。

 最初が肝心だ。


「はい、みなさん。今日は新しい仲間がクラスにやってきてくれましたよ。

 メグさん、どうぞ入ってくださいな。」


 担任のチルカ先生に促され、私は扉を入る。

 教壇の前に立つと皆の視線が一様に集まる。

 ううっ、私、元気はあるんですが、この空気、得意じゃないんです……。


「こ、コンニチハ、私はメグですっ!!

 駆け出しの冒険者デスが皆さんといっ、一緒に切磋琢磨デキタラなんて……へへっ、へへっ。

 ヨロシクお願いしマース!」


 ペコリと頭を下げた衝撃でリュックの上のぷるんつが前に落ちた。

 べちょっ、と床に叩きつけられたぷるんつはむーむー、文句を言いたげだ。


 それを見てか、ざわざわとクラスが波立つ。

 ペットが珍しいのかな?それともペットを連れてきたらいけなかったのかしらん?



「おいっ、これってスライムじゃないか?」


「そうだぜ。……ってことは間違いないぜ。」



 あー、そういう話でしたか。



「「「スライム以下のメグ!!」」」


 そして矢継ぎ早に言葉がかけられる。



「闘技場の腕試しで倒せるモンスターがいなかった初の冒険者!」


「スライムにようやく勝ったが、それも魅了の判定勝ち!」


「噂ではスライムに見下され、お情けでペットになってもらったとか!」



 ぐぬぬ、むかつく男子どもめ。

 ただ言われてることがほぼ事実なだけに、およそ反論ができない。


 はぁ、最初が肝心と意気込みましたが、どうやら失敗しちゃいましたかね。


 すると教室の右奥の方の女の子が席を立ち、威勢のいい声を上げた。


「あなた達、うるさいわね!

 他人のことより、まず自分が強くなることを考えなさいよ。


 このクラスは同年代でも落ちこぼれが集まる所。

 ここにいる限り、何を言ってもどんぐりの背比べに過ぎないのよ!」


 落ちこぼれクラスという無視できない言葉が出て、少なくない衝撃を受ける私。


 しかし私を庇ってくれる気持ちは嬉しかった。


「みなさん、メグさんと一緒に強くなれるようにがんばりましょうね。

 ではメグさんはここからみて右手奥の席に座ってくださいね。」


 私はぷるんつを回収し、示された席に座る。

 左手に窓が望める開放的な席だった。


 すると前の席の女の子がくるりと私の方を向き、話しかけてくる。

 さっきの女の子だ。


「メグ、さんざんだったわね。

 私、デリカシーのない男子が一番嫌い。その次がトマト。」


 えへへっ、と微笑み返す私。


「ありがとう、助けられちゃったね。」


「私の名前、フランっていうの。職業は魔法使いをやっているわ。よろしくね。」


 続いて隣の女の子がおどおどと私に声をかける。


「わ、私、リリエラって言います……。お役に立てないかもしれませんがどうかよろしくお願いします……。」


「リリエラは格闘家なの。ちょっと引っ込み思案だけど優しい子なの。」


 リリエラは、えへへと笑う。


 お次は右前の女子がこちらに顔を向ける。

 やや下目遣いに自己紹介を始める。


「私はカナ。僧侶をしているわ。

 こういっては何だけどそれなりの実力よ。よろしく。」


 ふふん、と鼻を鳴らすカナ。どうやらなかなかの自信家のようだ。


 続けてフランは言う。


「実は私たち3人はパーティを組んでいてね。日々の訓練や実技なども一緒に当たっているの。


 ただ3人だと二手に別れたりするときに何かと不便で、前からもう1人パーティを増やしたいな、と思っていたの。」


 言葉を受け、メグの方へずいと前へ乗り出すカナ。


「そこへ今回の転入生の話。正直好機だと思ったわ。

 どう?あなた。私たちのパーティに加わってくれないかしら。」


「私も、足を引っ張らないようにしますので……。」



 パーティを組める。それは1人でまともに戦えないメグにとって願ってもない話だった。


 この機会を逃せば、いつどこのパーティがメグを仲間に迎えてくれるか分からない。


 だけど彼女たちをがっかりさせる訳にはいかない。

 こちらもフェアに情報を出して行こう。


「みなさん、私の前評判知っていますよね。

 それでも、私を迎えてくれるんですか?」


 そうよ、このクラスにいる人はそう実力は変わらないわ、とフラン。


「……私のステータス、通常時は全て1なんです。

 それでもいいですか?」


 さすがに誰ともなくごくりと唾を飲み込む音がする。

 しかしメグを拒む理由にはならなかったようだ。


「いいじゃない。伸びしろがあるってことよね。」と、カナ。


「私もメグちゃんをお守りします。」とこちらはリリエラ。


 最後は業を煮やしたフランの言葉だった。


「理由なんて要らないわ!来たいの?来たくないの?

 メグ、一緒に冒険しましょうよ。」


 彼女たちがいいなら私に拒む理由はない。


「ありがとう。メグ、このパーティに入らせて頂きます。」


 顔を合わせ、にっこり微笑む3人。


「「「ようこそ、パーティ、『オカリナ』へ。こちらこそありがとう!」」」


 ミルアさん、私、早速お友達が作れたみたいです。

 これからの冒険、彼女たちとがんばってやっていきます。


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