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第5話 かたや忌むべき高い代償


 この世の至福とばかりに、にこにこ顔でたこ焼きをほお張るカロスさんを放っておき、私は最大の懸案事項である自分の能力の解析に着手した。


 ステータス画面を呼び出すのは案外簡単だった。


 念じれば光の腕輪が出現し、加えてその上に浮かぶ四角い画面に私の能力が羅列されている。


 まずは数値からだ。

 何々、様々なステータスがあるが……。


「1、1。ぜーんぶ1!何だこりゃあ?!」


 攻撃力を始めとし、防御力に体力、素早さに運などなど、揃いも揃って一本の棒!

 通信簿がこれなら落第まっしぐらだ。


 だが私はペーペー。これが普通なのかもしれないと筋肉さんに望みを託す。


「ガルドさん、ちなみに弱い冒険者ってステータスはどのくらいなんですか……?」


「あぁ、それな。

 一概には言えんが最低でも平均10はないと戦えないだろうな。子どもでもその程度だ。」


 にべもない答え。

 だとすると、これはもう何かの呪いにでもかかっているとしか考えられない。


 ステータス画面は空中に映像として浮かんでいるが、触れるとかすかな感触があり、操作できる。

 スマホと変わらないな、というありがたみのない感想を思い浮かべながら、私は原因を探りにかかる。


 画面をスライドさせると、今度はスキルツリーなる表示がある。

 いつの間にか回り込んだカロスさんが画面を覗き込んでいる。


「これはツリー状にスキルポイントを割り振りできるシステムです。

 この画面の出ない人はランダムでツリーが成長しますが、あなたは自由に好きなスキルを狙って獲得できるんですよ。


 スキルポイントはレベルアップしたときや特定のクエストをこなしたときなどに得られます。割り振りし直しも自由ですよ。


 とはいえレベル、上がるんですかね。」



 私が聞きたいよ。



 目を離すともうたこ焼きの虜に戻っているカロスさん。

 この人ほんとポンコツだな。


「メグさん。」


 思考が読まれたと思い、ビクゥッッ!と猫のように身体が固まる私。

 しかしそうではなかったようだ。


「スキルツリーの隣にあなたの持っているスキルの画面がありますよ。そこを調べて見ましょうね。」


 そしてまたしても大きなたこ焼きがカロスさんの口に消えていく。


 カロスさんに不快な様子はない。


「ちなみにカロスさん、私の思考読まれましたか……?」


 けろっとした顔でカロスさんは答える。


「私が人の心を読むのは神域に置いてのみなのです。

 事務的に必要だからそうしています。


 ですが人の心は本来自由でなくてはいけません。私はそれを尊重するのです。


 ……まぁどこでも心を覗いていると不快な思いをすることも多いですしね。」



 でしょうね!

 揶揄されないようにどうかたこ焼きは控えられたほうがいいですよ?



 おっとつい脱線してしまった。私は本題のスキル欄を呼び出す。


 上から2つの能力があった。



『対ボス無双』


 と


『弱者必衰』


 だ。



 『弱者必衰』はネーミングからしてあまりにもあんまりだ。恐らくこれが原因とみて間違いないだろう。


 ただ可能性を全て把握するためにとりあえず上のスキルから調べてみる。

 『対ボス無双』を選択するといくつかのタブが降り、「説明」が表示されたのでタップする。



『対ボス無双』……ボス属性を持つ敵との交戦時、全ての人が持つプラス効果のスキルが発動し、また使用できる。


 

 ほほぅ。ボスと一戦交えてみないことには何とも言えないが、これはやはり凶悪なスキルとみて良さそうだ。

 全ての人ってどんなレベルの効果になるんだろう?


 しかし分かったのは、こちらのスキルは私の能力に悪影響を与えるものではないということだ。


 では、と満を持して『弱者必衰』の説明を呼び出す。



『弱者必衰』……常にステータス全てに−9999の修正を受ける。(この効果でステータスは1未満にならない。)



 な、な、なんじゃこりゃああ!


 (カロスさんに)なんじゃこりゃああ!


 (近くの猫に)なんじゃこりゃああ!


 (空に向かって)なんじゃこりゃああ!


 (元の位置に戻って)なんじゃこりゃああ!



 −9999? じゃあレベルやステータスが多少上がろうが、補正で1になるってことですか?



 これだけのデバフが常時効いているなら『対ボス無双』の効果もほとんどないのでは…。


「か、か、カロスさぁん……。」


 たこ焼きを食べ終えたカロスさんに、成り行きを説明する私。


 カロスさんはとたん苦い顔になる。


「カロスさん、まさかここまでのバッドスキルが私に付くなんて予想してなかったんでしょ。」


 ぎくりとするカロスさん。


「冒険者としての生業が送れそうにないほど弱くなるなんて、思ってもみなかったんでしょ。」


 ぎくぎくりとするカロスさん。


 カロスさんはちょうどたこ焼きをたいらげたところで、立ち上がり、咳払いをする。


「ま、まぁ信念に基づいて行動していれば、いずれ開ける道もあるでしょう。

 人の子よ、励みなさい。」


 もっともらしい言葉を言うと、カロスさんはそそくさと立ち去っていく。


「カロス様ー!今日はたこ焼きのおかわりは要らないんですかー?」


 声をかける筋肉さん相手に、カロスさんは後ろ姿で手を振った。

 いやいや、煩悩まみれのあなたこそ精進しなさいよ。


 さんざんなスキルを付与され、代理人様にも見放された私。

 ……といってもめげやしない。私はメグ!


「とにかく一度ボスクラスの敵と戦ってみたいな……。」


 そのつぶやきを聞いて、失礼なほど大笑いする筋肉さんなのであった。


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