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第42話 地中に巣食うは謎の影


 突然の仲間割れの様相を見せる巨大モンスターと大ミミズ。


 巨大モンスターは風の噂によるとボスモンスターの可能性もある、初心者パーティを撃退し続けているツワモノのよう。

 しかしいきなり仲間割れとは、これはいったい何事だろうか。


 穴だらけの風景のなか、立ち尽くすオカリナ。


 すると状況を判断しかねている私たちの間に、煙とともにタロンが現れる。



「皆さま方。」


「ダメよ。」

 フランが一蹴する。


「まだ何も言ってないよ……。」


「私たち、タロンに頼らずやってみたいの。まだピンチでもないんだから口出し禁止!

 さぁ帰った帰った。」


 うぐぐ、と口をつぐみ、恨めしそうな顔をすると再び煙とともに消えるタロン。



 オカリナだけで知恵を出し合い、敵を分析して勝つ方法を探る。

 これは私たちが前進している証拠なんだし応援してほしいな。

 私たちの成長の芽、摘むような真似をしちゃダメだよ?



 リリエラによると件のモンスターとミミズたちの戦いはまだ続いているよう。

 私たちはこの行動の意味するところが読めないでいた。


 ダンジョンではモンスター同士で協力しあい、パーティを組んで冒険者に立ち向かう者も多い。

 わざわざ自分たちに害をなしてきた相手を前にして、味方の数を減らすというのはいかなる理由があるのだろうか。



 カナは言う。

「もともとミミズたちと巨大モンスター……仮にXとしますか。彼らは住むところは同じでも仲間ではなかった、という説はどうかしら。」


 そんなことあるかしら、と私。


「わざわざXが自分の敵と一緒に過ごす意味がわからないな。

 敵ならわざわざ自分の住処に近づけないし、ましてやその中になんて入れないと思う。」



 ふむ、と今度はフランが答える。


「カナの説、私はあり得ると思うな。

 では解釈を加えて、こういうのはどう?


 Xとミミズは対等な敵関係ではなく、利用する側と利用される側の関係だった。

 そこに何らかの理由があれば、Xはミミズを傍らにおいておくのを良しとしてもおかしくないわ。」


 うーん、何か思いつきそうなんだけど、と悩んでいるリリエラ。

 慣れないウィジャ盤の操作に集中しているため、思考を纏めるのが大変なようだ。



 私はフランの話を受ける。


「だとすると、毒はミミズを生かさず殺さず繋ぎ置くためのXの手段だったりするのかな。

 Xはミミズには死んでほしくないだけの理由があった。」


 だんだん話が芯に触れていく感触があった。

 みんなで知恵を出し合うと意見が進んでいく。


 そしてフラン。

「死んだらマナに還っちゃうわよね。

 生きていてほしい理由……それはズバリ、餌としての存在じゃないかしら?」



 あっ、とリリエラから声が上がる。


「今の話で完全に思い出しました!昔本で読んだことがあるんです。……なぜ忘れていたのかなぁ。


 主食はミミズ!大食漢で常に食べ物を用意しておかねばならず、捕まえた獲物を毒で弱らせて貯めておく動物がいるんです。


 考えて見ればここの穴ぼこもそうです。こんなのミミズがいくらいても容易に掘削できるサイズじゃない!


 X……間違いないです。それは『モグラ』のモンスターだったんです!」


 リリエラの話に誰となくどよめきが起きる。


 点と点が繋がった。

 もはや犯人は間違いないようだ。


 私たちの目の前の地中に巣食う巨大モンスター、それはモグラだった。



「だとしたらこの同士討ちは酔狂なんかではなくただの食事。モグラにとっての栄養補給といったところなのかな。」


 モグラにしてみれば餌置き場で巨大な爆発音があり、駆けつけてみたところ、大事なストックの大半が消し飛んでいたというところか。

 理由はわからないながらも、残っているミミズが無くならないよう、慌ててお腹に詰め込んでいるということなのかもしれない。



「リリィのウィジャ盤による情報だと、最初はモンスター反応がなくなっていってるから単に戦闘が起こっていると考えたわ。

 だけど命が次々消えていっているということは、食事も同じような状況を示しているのね。

 ひとつ勉強になったわ。」


 フランが付け加える。


「そしてモグラはこうも思っているでしょうね。

 『俺がせっかく集めた餌の大半を吹き飛ばしたのはどいつだ!許さん!!』ってね。


 モグラさんは、さぞお怒りでしょう。

 ……食事を済ませて体力を整えたら、きっと怒りにまかせて襲いかかってくるわよ。」



 もうっ、私たちだって食事はまだなのに、失礼しちゃうモグラさんですね。

 だけど先に仕掛けたのは、まぁ私たちの方。そんなこと言える義理もないですかね。



 ウィジャ盤を展開するリリエラから声が上がる。


「……ミミズの反応、もう残りわずかです。

 すぐ襲いかかってくるかはわかりませんが、モグラの『食事』が終わりそうですよ。

 各々戦闘に備えて用意をお願いします。」



 食べ物の恨みはなんとやら。

 ややおマヌケに聞こえるが、人とモンスターが戦う理由なんてそんなもので十分だ。


 さぁくるのはこちらの穴か?それともこちらか?



「ウィジャ盤から反応ありました。敵モグラ、私たちの直下の地点をめがけて地中を進んでいます!」


 なに。振動をほぼ感じないぞ。

 さすが相手は穴掘りのプロフェッショナル。リリエラのウィジャ盤がなければ、地中から手痛い先制攻撃を食らっていたに違いない。


「……来ます!敵との接触に備えてウィジャ盤を解除します。」


 直後、リリエラの指し示した地点が爆発を起こしたように吹き出し、巨大な影がその姿を現した。



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