表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

41/50

第41話 リリエラに宿る新たな力


 今日はとうとう、大ミミズ討伐のクエストに向かう日となった。

 ペルンという村のほど近い場所に大ミミズが大量に巣食っているらしい。


 ちなみにタロンは今回、オカリナがよっぽどの危機にならない限り口出し禁止となっている。

 助言大好きなタロンがどこまで耐えられるかも見物だ……さすがにそんなことはないか。


 大ミミズは私がこの世界に転生してすぐ、闘技場で戦った相手だ。

 あの時は何をしてもてんで相手にならなかったなぁ、と思い出される。

 そして今も弱者必衰のある私の生身の能力は大差ないだろう。


 しかし、現在の私には駆け出しテイマーとしての修練とそれなりに育ったぷるんつが味方している。


 どこまで通用するか試したい。


 こんな風に前向きな気持ちでいられるのは、苦手な勉強に積極的に取り組めた成果、なのかもしれない。



 長い道のりを、地図を片手にみんなであれこれ言いながら2時間弱。無事クエストの場所に辿り着いたときには太陽が高く昇っていた。



「着いたわ。ちょうどお昼くらいの時間ね。

 ただ天気予報だと午後からは雨だそうから、食事はクエストを終えてから。


 さぁ討伐を始めるわよ……リリエラ、例のものを。」


 辺りはミミズの活動が活発なのか、穴ぼこが目立つ。

 穴を背にすると虚を突かれて攻撃されてもおかしくない。私たちはすべての穴が見渡せる位置に陣取る。


 フランに促され、リリエラは目を閉じると静かに呪文を唱えた。

 するとリリエラの頭上に扇形にアルファベットが並んだボードのようなものが出現した。


「これがウィジャ盤ね……!リリィの新しい力。」


 カナが感心してウィジャ盤なるものに目を奪われている。


「私……人より状況把握が得意ってみんなに言われてて、自分では全然そんなことないとおもうんだけど……。


 で、とにかく何かしたいって自分に近しい能力を持った人の文献を漁ってみたの。そうしたら自分のツリーから取得できそうな、このウィジャ盤の能力を見つけたんです。」


 リリエラ曰くウィジャ盤とは降霊術などに用いるオカルトグッズらしい。

 本来は尋ねたことに霊的なナニカがアルファベットで答えてくれるおもちゃ……とのこと。


 だがこのウィジャ盤はリリエラの心のシンボル的な存在で、出現さえしていれば独自の能力を使えるらしい。


「すごいかっこいい能力だね!リリエラ、がんばってたんだ!」


「勉強していたメグちゃんに触発されたんですよ。私こそ、メグちゃんにお礼を言いたいくらいです!」


 にこやかな笑顔のリリエラが愛おしい。口にするとカナがうるさいだろうからしないけど。



「……さて、敵の探知・把握をウィジャ盤にて行いますよ。

 この能力を使う間、私は動けません。戦闘で助けが必要な時は言ってくださいね。」



 目を閉じたリリエラの顔が光で照らされ、前髪がふわりと舞い上がる。


「……敵影、正確な数、不明です。

 けれど現在目覚めているもののみ把握。前方の穴に固まって二十数匹はいると思われます。

 ……今の私に分かるのはこれだけです。」


 に、に、二十数匹!目を覚ましているだけでこの数とは、とんでもない数がいたもんだ。


「ほんとにそんな数がいるの?リリエラ。」


「ほんとですよぉ……。」


「まるでモンスターハウスね。

 みんな、敵が襲ってきても離れないように。撤退の判断は私がするわ。

 ではフルル、やっちゃって。

 ……初撃で倒せるだけ倒しちゃいなさい!」



 まかせなさい!とフランの色よい返事。



 フランは私たちがスキルの勉強をしている間、火炎札の増強に精を出していたのだ。


「8連弾の火炎札よ。次弾以降を躱されやすいのが玉に瑕だけど、満員電車ならそんな心配いらないわよね!」


 炎のエンチャントを纏った火炎札はまるで蛇のようだった。

 シュルシュルと音を立てた炎の大蛇は獲物を探すように、穴の中に潜っていく。



 一瞬の沈黙。



 直後、火炎札が爆発する音がうるさいくらいに鳴り響く。穴の外にいてもわかるほどのモンスターの悲鳴がこだました。


 悲劇は連鎖する。

 火炎札は爆発を繰り返し、最終的にはリリエラによると十匹以上の『反応』が火炎札によって消えたという。



 敵、穴から出てきます!とリリエラ。

 ここからは白兵戦だ。



 大ミミズが3体、爆発の勢いに堪らず飛び出してくる。


 リリエラには限界まで探知を続けてほしい。

 私たち3人はそれぞれがミミズの相手になるべく躍り出る。



「行きなさい、ぷるんつ!まずはジャブで牽制よ!」


「先に逝ったあなたの同胞に会わせてあげる……同じ火炎札でね!」


「今日は活躍の場がなくてストレスが溜まっていたのよ。渾身の棍棒、味わいなさい!」


 ガスッ。


 ドゴォン。


 ドカッ。



「倒せたわね。カナはどう?」


「……他愛ないわ。なんというか迫力不足ね。」


「こっちもぷるんつのジャブで倒せちゃいました。仇敵がこんなにあっけないなんて……火炎札で弱っていたんですかね?」


 そこへリリエラが報告する。


「いえ、今のミミズたちはどれも『毒状態』でした。

 体力が減っているのはもちろん、スムーズに動けないほど衰弱していたようです。」


 毒状態なと?

 フランにも今一度確認したが火炎札にそんな効果はない。

 もしかすると大量の大ミミズが毒状態のまま、寿司詰めになって集まっていたということになるのか?


 続いてリリエラが叫ぶ。


「今度は穴の中から巨大な反応が現れました!大ミミズの比じゃないほどの大きさです!!」


 出たわね、ボスモンスター、とフラン。


「フルル、まだボスと決まったわけじゃないわ。ミミズより図体は大きいみたいだけどね。」


 かたやリリエラは少し首をかしげている。


「みなさん……不思議なことにそのモンスターの出現以降、他のモンスターの反応が次々と消えています。

 ……いったい何なんでしょう?」


 モンスター同士で仲間割れでもしているのだろうか。

 姿の見えぬ敵の動向になんとも不気味な雰囲気を感じさせられるオカリナであった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ