第16話 踏破、討伐、洞窟のボス!
ぷるんつを全面に押し出したタンタラ洞窟後半の探索は、前半に加えて輪をかけて楽になった。
敵が一匹だとぷるんつに任せておけば体当たりで倒してくれる。
また敵がパーティでも、フランにリリエラと火炎の支援が豊富なので、虫やスライム、小動物が中心のタンタラ遺跡では危なげなく敵を退けることができた。
そしてさらに進むこと10数分……。
突如フランが手で止まれの合図をし、私たちは歩みを止める。
「待って。この先は洞窟の最奥。
かつ、ここから少し開けた地形になっているわ。」
「フルル、とうとうね。この先にボスが待っている。」
リリエラも少し緊張しているようで、リュックから水筒を取り出すと喉を潤している。
私は手を挙げる。
「はい!まず、私に行かせて下さい!対ボス無双の実力を試します!!」
みんなはこくりとうなづく。
「それが今回の一番の目的だもんね。でもメグ、決して無理はしないでね。」
「メグメグのスキルが通用しなかったら私たちに勝ち目があるかわからない。
もしもの時の退路は確保するわ。殿は私に任せて。」
「メグちゃんにばっかり重荷は背負わせません。逃走時は協力して敵を牽制しましょう。」
冒険を通してみんながそれぞれの役割を確立しつつあるようだ。なんだかみんな心強くなったなぁ。
そして私たちは私を先頭にボスのいるフロアに入っていった。
かくいうボスは2匹の護衛に守られていた。
護衛は途中で戦ったスライム・クリムゾン。
そして中央に構えていたのはそれよりも更に一回り大きい、ヘルムを装備したスライムだった。
こっち向いて、とカナに呼ばれ振り返る私。
「紫の瞳になってるわ……メグメグ、対ボス無双が利いてるわ!暴れてきなさい!!」
了解!、と剣を携えボスに向かって飛び出す私。
そして体感にして数秒未満。あっけなくボス討伐は終わった。
まずはスライム・クリムゾン2匹が、近づいてきた私を迎え撃つべく飛びかかってきた。
それを反射的にフレイムストリームで吹き飛ばした私。
本来ならそれなりの火炎耐性を持つ敵だが、圧倒的な魔力と上位魔法のゴリ押しで、クリムゾン2匹は瞬時に消し炭と化した。
そしてあっという間にボスに辿りついた私は軽くボスを剣でなでた。
しかしこれもブーストされた攻撃力と各種戦闘スキルが私を稀代の剣聖に変えていたよう。
ボスは一撃の下両断。十分に見せ場を作ることすらままならず、マナに還っていった。
「や、やったわ……。」
自らの両手をまじまじと眺める私。
やったー、と私に駆け寄るオカリナのみんな。
手をつなぎまたしてもぐるぐる回る私たち。
「本当に私たちだけでダンジョン攻略しちゃいました……!メグちゃんすごいです!!」
「瞬殺だったわね。素晴らしいわ、メグメグ。」
「おめでとう!やっぱりメグが一番頼りになるわ!」
『アチーブメント、『ボスモンスターを一撃で撃破』を達成しました。スキルポイントを5獲得します。』
え、何だって。みんなに紛れてシステムがなんか言ってるぞ。
『レベルが2上がりました。ステータスが上がり、スキルポイントを4獲得します。』
「みんな、ごめん!今だけ!今だけちょっと静かにして!」
『スキル『強奪』によってドロップアイテムを94個獲得しました。
レアリティの高いものから自動的にアイテムプールに収納します。』
ドロップアイテムすごい数だ……これはもしや。
『スキル『学習』にてスキルを5つ獲得しました。『攻撃D』『攻撃E』『戦術D』『命中E』『強奪E』を習得します。』
スキルもレアというわけじゃないだろうが5つも習得できた。
しかしなんでなんだ?
これはさすがにタロン案件だ!
呼び出されて質問を受け付けるタロン。
なんだかんだ言ってこの子解説するの、好きだよなぁ。
「まず、ボスの名前からいこうか。ヘルムを被ったヤツの名はグラディエーター。
スライムの上位種で素早く剣技にも秀でている。
体力もあるし初心者には壁になるボスだろうね。」
そこはあんまり聞きたいとこじゃない。
「あぁ、なるほど、ドロップアイテムね。
それはさっきシステムから流れていた『強奪』というスキルが働いたんだね。
強奪はEからSまであって、ボスモンスターを倒したとき確率でアイテムを強制ドロップさせるんだ。
ハンター系列の冒険者だけが持つスキルで『攻撃』みたいにありふれたスキルじゃないけど、まぁこの世界にたくさんハンターはいるよねってこと。」
たくさんの強奪が発動し、その結果引き当てたアイテム全てを手に入れることができた、ということらしい。
これは美味しい。
「スキルも同じだよ。上位の職業に『学習』というボスモンスターを倒した時にごく低確率でスキルを得られるものがある。
スキル自体がレアだから5つ得られたのは運がいいのかもね。正直わかんないけど。
ささ、ドロップアイテム。確認してみようよ。」
まずはそこらに転がったアイテム群。
ほとんどはスライムの皮や粘液。アイテムの合成材料や薬の原料になるものだが価値はそれほどといったところ。
余裕があれば持ち帰るといいよ、というのがタロンの弁だった。
しかし少数見られたのがスライムヘルムとスライムの核。
スライムヘルムはグラディエーターの固有ドロップで、スライムの核は高く売れるスライム系のレアドロップとのこと。
こちらは優先して持ち帰りたい。
「システムによるとレアリティの高いアイテムがアイテムプールに入ってるみたいだけど……。」
はやくはやく〜、とタロンが急かす。
アイテムプールを呼び出し中を見てみると、そこには様々な色のスライムゼリーが入っていた。
「おおーっ、壮観だね!これはめったに落とさないドーピングアイテムだよ。
食べると色によって様々な能力値が上がるんだ。
やったじゃん。」
ボスを一匹倒しただけで恐ろしいほど大量の報酬が得られることが分かったメグ。
いっそこの世界のモンスター全てがボスになればいいのに。
そんな物騒なことを考えるメグなのであった。




