第11話 その報酬は精霊とともに
突然現れた2頭身。
システムやスキルに魔法、と聞きたいことは山ほどあったが、まずはこの子の所在を明らかにしたかった。
「君、いったい誰なの?そもそも君ってどういう存在?
何の目的でここにいるの?」
矢継ぎ早に質問を投げかける私。
すると、ちっちっ、と指を振る2頭身。
「質問は1つずつお願いしますよ。
それに私は格の高い存在。敬意を込めて言葉を選んでもらわないと困りますねぇ。」
無言で彼の両頬をつまみ、引っ張る私。
フガフガ抵抗する2頭身。あなたこそ弁えて下さいね。
開放された彼は頬をさすりながら呟く。
「いたたた、何だってカロス様はこんな暴力的なちんちくりんのもとに私を派遣したんだか……。」
聞き逃がせない名がでた。
「カロス様? 君、カロスさんの使いなの?」
「はいはい、そうだよ。
おいらはカロス様の直々の下命を受けて、しばらくあなたこと、メグのサポートに就くことになったんだ。」
カロスさん、私を見捨てていなかったんですね!
これで普段のへちょへちょぶりも脱却できるはず。
「じゃあ、私を強くしてくれるんですね!」
しかし2頭身はないない、と手と首を降る。
「メグは転生時にスキルをもらっているだろう?
スキルを自力で獲得するのは構わないけど、おいらがテコ入れするのは神様に怒られちゃうんでできないんだ。」
そんなお役所仕事なぁ。
「それに先の戦いを見てたけど、あなたべらぼうに強いじゃないか。
サポートは終了だな。帰ってカロスさんに報告するよ。」
いやいや待って。
帰りかけた彼を呼び止める。
「それは違うの!私スライムすら倒せないんだから……。」
これまでのことを含め、事情を2頭身に説明する。
すると腹を抱えて2頭身は笑い転げた。
「だっひゃっひゃっ、カロス様もなかなかどうして罪作りな方だ。
力の劣る冒険者を支えて欲しい、っておっしゃってたがまさかカロス様自身が送り出した人だったのかー。」
よほどツボに入ったのかいつまでも地面を転がる2頭身。
尊大な態度にいらつく私は、再び彼の頬をつねり引っ張った。
頬をさすりさすり説明に戻る彼。
「えー、ということで私、上位精霊のタロンがあなたのサポートに付くよ。質問どうぞ。」
気になるところから聞いていく。
「まず、質問なんだけど弱者必衰のデバフは対ボス無双発動下では打ち消されるの?」
「いえ、特にスキルに説明がないので、対ボス無双下でも弱者必衰は発動していると考えられるね。」
「だったらさっきの戦いであれだけの力が出せたのはおかしくない?」
タロンは見解を述べる。
「これはスキルの重ねがけで、弱者必衰のデバフを軽く相殺できるほどステータスにバフが入ってるんだろうな。
例えば攻撃ステータスに50から100程度のバフがかかるとされる『攻撃S』を持っている人が3人程度いればそれだけで数百は堅い。
でも対ボス無双の恐ろしいところは下位スキル『攻撃E』の方なんだ。」
攻撃Eの方がすごい?飲み込めない話だ。
「『攻撃E』は熟練に応じて加算されるのは2からせいぜい5程度。
でも数を考えてみて。冒険者でも何でもない主婦や商人、老人や赤ん坊まで、このスキルを習得している可能性があるんだ。
この世界には何百何千万もの人が暮らしてる。
その一部の人が持つステータススキルそれぞれ全てが、対ボス無双下ではメグに味方をするんだ。」
何だかワールドワイドな話になってきたぞ。
世界中から力を借りていれば、たしかに9999のマイナスなんて目じゃないのかもしれない。
「弱者必衰があっても強い理由、何となくわかったわ。ありがとう。
次、アチーブメントって何?」
やれやれと首をふるタロン。
「その辺は座学でやったほうがいいだろうな。
アチーブメントは達成すべき課題のこと。クリアできれば新しいスキルの獲得ができたりスキルツリーへのポイントが割り振られたりするよ。
ちなみに何を達成したんだい?」
思い出すのに少々の時間がかかるメグ。
「たしか初の撃破相手がボス、だったかな。初の達成者だとも言ってたかな。」
耳をぴくりと動かすタロン。
「初の達成者のアチーブメントは報酬も美味しいことが多いね。
たしかに最初に撃破するのがボスだって人はそういないだろうしね。
ステータス、見れる?確認しようよ。」
スキル画面を呼び出す私。
なるほど、スキルが1つ増えている。
なになに、『アイテムプール』とな。
「残念ながらユニークスキルではなかったようだね。
でもこれ、みんな習得したがるスキルなんだよ。」
これは私も分かる。異次元にアイテムをしまっておけるスキルだ。
「本来ならスキルツリーの奥の方のスキル。
今のうちに習得できれば道中楽なのはもちろん、スキルポイントでさらなるカスタマイズも可能だね。」
じゃあ話のついでに次はスキルポイントだ。レベルが上がって割り振りできるポイントがもらえたようだ。
どうすればいい?
「あのねぇ、少しは自分で考えようよ。
……まぁいいでしょう、最初だけだよ?
今回はアイテムプールから3ポイントずつ使って収納数増加を2回。さらに7ポイント使って各容量増大に割り振っておくね。
これで道中のアイテム管理がさらに楽になったはずだよ。
当面はここを整備して、もう十分だと感じたら元のスキルツリーを伸ばしていくといいだろうね。」
「うーん、ありがとう!タロン、頼りになるわぁ!
最後、最上位魔法なんて使えたけど、あれはどういうこと?」
タロンは答える。
「そりゃ使えるよ。
対ボス無双下ではバフはもちろん、全ての人が使えるプラス効果のスキルはあなたのものだよ。
アクティブなスキルも例外じゃない。」
「でも呪文を唱えるまでそんなの使える実感がなかったんだけど……。」
ふむ、とタロンは腕組みをする。
「……わからないけど恐らく、認識されていない魔法は頭に浮かんでこないのかな。
あらかじめ使いたい魔法の呪文を勉強や練習しておくか、対ボス無双下でスキル画面を呼び出す必要があるのかも……自信はないけど。」
勉強はいやだなー。
でも戦闘中にあらゆる人の持つスキル一覧から、適当なものを選び出すのは少し骨なのでは?
とりあえずフレイムストリームだけでも覚えておくか、と安直に思い直すメグなのであった。




