第1話 死して繋がる新たな世界
開いてくれてありがとうございます!
つたない文章ですが温かい目で楽しんでいただけると助かります。
……ますか……お嬢さん、聞こえますか?
私は眠っていたらしい。
無理もない、ほどよい温度に包まれて寝心地も抜群。それはもう天国のような心地でいたからだ。
しかし囁きの声が頭の中に響くと深かった眠気はすい、と嘘のように引き、私はパチリと目を覚ましたのであった。
「おはようございます、ずいぶんとお寝坊さんですね。」
「お、おはようございます…。」
どうも記憶が形にならない。おまぬけな返事を返しながら私はその人を見つめる。
その人は白いティーテーブルとチェアに腰掛け、優雅にお茶を嗜んでいた。一挙一動がこの上ない気品に溢れている。
私達のいる所は直径数メートル程度の円のような場所の上だった。何気なくその先に目を移すと…
「!! なんですか、ここ! なんで私達、こんな場所にいるんですか?」
私たちがいたのは、地面すら認めるのにままならないほどの蒼空。強い風でも吹いたら一発でお陀仏なのでは。
「風なんか吹きませんよ。ここは神の力迸る場所。聖域はいらぬ干渉など受けないのです。」
え、私、喋っていませんよね??
この方は超能力者か何かかしら?胡散臭くは見えないけど…。
その人はこちらを見つめるとにこりと微笑み、急に興味をなくしたように、また手元のカップに口をつける。
そうだ、思い出してきた…。私はホームに落ちてしまった男の子を寸前で助け出した。
その後、代わりに私が電車にはねられてしまって…。
「私、死んじゃったんですか?」
「そうですよ、メグ。あなたは死んでしまったのです。」
だったらここはやはり天国なのかしら。だとしたら少々、いやかなり手狭な楽園に違いない。
「ここは天国ではありませんよ、メグ。」
うう、またしても思考を。
「端的に言うとあなたは良い行いをして死んだので、特例として次の世界へ転生することが許されました。
私はあなたのような人を任されては、次世界へと仲介する神の代理人のような存在なのですよ。」
そう言って代理人様はまたしてもティーカップを口に運ぶ。
相当口に合うのかうっとりとした表情で吐息を漏らす。
「ここは言わば手続きを行う場所なのです。
名乗っていませんでしたね、私はカロスです。説明を続けましょう。」
カロスさんがくい、と人差し指を引き寄せると私の体は宙に浮かび、そして同時にカロスさんの向かいの椅子が引き出された。
私の腰はそこへ納まり、同時に椅子も良い位置に戻った。
驚く間もなかった。
「人は死んだ世界には戻れません。非常に残念なことですが、あなたはもう元いた世界にはいられないのです。
ただ気落ちしないで下さい。他世界となると話は変わってきます。
剣と魔法を扱う冒険の世界では、至る場所で日々冒険者の召喚がなされています。
私達はそこにあなたを転生させます。それなら神様の決めた理に触れることもありません。
あなたは新しい世界で新たな人生を歩むことになります。いいですか。」
呆気に取られ言葉の出ない私。
そんな私を哀れんだか不憫に思ったか、カロスさんは眉を寄せて言う。
「裸一貫のスタートになるので不安は多いでしょう。
いえ、まぁ実際服と日用品ぐらいは持たせますが言葉の綾と言ったところです。
そこで何か1つ要望を聞いておきましょう。
どうですか?次の世界で何か優遇してほしいことなどないでしょうか。
多くは聞き入れられませんが可能なら善処致しましょう。」
私はいきなりの話に頭がぐるんぐるんと混乱してしまっていた。
次世界?
剣と魔法?
転生?
ただ次第に落ち着くに従って、これは実に面白い機会だとも思えてきた。
剣と魔法の世界、なんて素敵な響きなのだろう。
加えてこの何でもできるカロスさんが助力を申し出ている。これは強くてニューゲームが可能なのではないか。
悩んでも仕方ない聞いてみよう。
「あの〜、新しい世界では例えばどんな優遇が受けられますかね。」
カロスさんは小首をかしげ宙を見据えると答える。
「そうですね、美味しい料理が自在に作れるとか、理容、司法士、工事関係なんかの手に職がつけられますね。あとは…。」
カロスさんは今までの世界で役立つようなスキルをつらつらと述べていく。
そうじゃない。私は冒険がしたいんです。
「私、せっかくだから新しい世界で戦いたいんです!ステータスカンストなんかできませんかね?」
カロスさんの返答は早かった。
「無理ですね。世界のバランスを崩すような方をうちから出すわけには行きません。私が上司に怒られます。」
「ぐ、世知辛い…!じゃ、じゃあ伝説の装備フルコンプとかは…」
「却下」
「最強の職業全マスターなんかどうでしょう!」
「駄目です」
「…!」
「アウト」
「」
「いけません」
……
もう途中から思考を読まれて先回りで拒絶されていた。
ええい、めげちゃダメ!私はメグ!
「じゃあ超強いモンスターに無双できる!」
「しつこいですね、それもダメ……あ、ちょっと待って下さいね。
う〜ん、行けるかも。行けちゃうかもしれないです。」
まかさの色よい返事に顔が上気するメグ。
「ただしです、メグさん。贔屓された転生者はその分枷がかかるものです。
上司に回してみないと分かりませんが、なにがしかのそれに引き合うデメリット。これを覚悟してくださいね。」
「まぁ一発で死んじゃう虚弱体質…なんてありませんよね!へへっ!」
カロスは薄ら寒い笑みを浮かべている。
「顔が怖いですよ!」
「冗談です。ただこればかりは選べるものではないのでご容赦願いますね。
そしてあなたの願いにオーケーがでました。」
カロスの方から光と風が降り注ぐ。
「それではメグさん、転生の条件は
『超強いモンスターに無双できる』
これでよろしいてすね?
了承とあらばこれから約十二時間後、あなたを新世界に転生いたします。」
メグが頭で了解と思うや否や、眩しい光が彼女を包んでいったのであった。
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