04 相談
アポを取り、おじゃましたのはジオーネ『平和の館』
こんにちは、カミスさん。
いつも相談ごとばかりですみません。
「冒険者活動への復帰、おめでとうございます、サイリさん」
「ご家族の皆さんも、お元気そうでなによりです」
うちの乙女たちは、元気のベクトルをもうちょっとだけ軌道修正してほしいなって感じなのですが……
えーと、今日お伺いしたのは、最近エルサニアで話題の冒険者について、なのです。
「もしかして、占い師の……」
ご存知でしたか。
「うちのみんなも気になっているみたいで、すごく会いたがっているようですが……」
?
「とても良く当たると評判で、見てもらいたい人たちが大勢探しまわってるそうなんですけど、全然会えないらしくて」
はて、スーミャは占ってもらえたようですが。
「どうやら、占い師本人が見たいと思える運勢を持っている人じゃないと、会うことすら叶わないみたいで」
「会いたくない人たちを避けるのにも占いを使ってるんじゃないかという、凄腕感を後押しするような噂まで流れているのです」
もしそれが本当なら、マジでスゴい本物ってことですよね。
「僕自身は占いには懐疑的ですので、そこまで会いたくは無いのですが」
さすがはカミス師匠っ。
己の運命は自分自身で切り開く! まさしくヒーローの在り方そのものですっ。
「違いますよぅ」
「オカルト案件って、何だか苦手なんですよぅ」
えーと、その気持ちも、良く分かります。
魔法も呪いも普通にある世界だけど、だからこそそれらで説明がつかないオカルトはご勘弁って感じ。
「いずれにしても、間接的にでもサイリさんが占ってもらえたってことは、サイリさんご本人にも近いうちにアプローチがあるかも」
うん、覚悟と言うか、気持ちの準備だけはしておいた方が良さそうですね。
例の"カイジ感"が弱反応ですので、大ごとではなくドッキリイベントくらいのノリで備えておきますね。
「何かあったら、即、連絡くださいね」
「ひとりで抱え込んじゃ駄目ですよ」
いつも親身なアドバイス、本当にありがとうございます。
カミスさんも、お気をつけて。
……
さすがはカミスさん。
僕のあやふやな相談ごとをピンポイントで沈静化してくれただけじゃなく、
未来への指標もしっかりと提示してもらえました。
うん、そりゃああのイケメンっぷりには、みんなメロメロになっちゃうよね。
そしてカミスさんの周囲に渦巻くラブコメの波動にモニョらされるまでがお約束。
罪作りも程々にですよ、師匠。
後ろから刺されちゃうのは、僕だけで充分ですから。
まあ、刺される理由のベクトルが真逆ですけどね。




