11 不殺
そんな感じでほどよく過ごしていたある日、来客あり。
「お話し、よろしいですか」
こんにちは、ルシェリさん。
こちらへどうぞ。
……
「レマリィさんのこと、です」
……あの女の子。
僕が、父親の仇。
「彼女は今、巡回司法官を目指しています」
……
「先日、適正試験を受けたところ、とても高い資質を持つと判定されました」
……
「ずっと無気力だった彼女が、サイリさんと会ったあの日から、生きる意欲を取り戻しました」
……
「私には、彼女を止める術がありません……」
……応援してあげてください。
「でも……」
真っ直ぐな娘さんだから、きっと良い巡回司法官になれると思いますよ。
ルシェリさんたちは、彼女が強く育つよう、手助けしてあげてください。
「彼女の望みは」
知ってます。
だから、いっぱい応援してあげてください。
「悲しい、です……」
今 モノカさんの周りにいる皆さん。
皆さんが、チームモノカの"不殺"に賛同して集った仲間だということは知っています。
僕みたいなブレーキの壊れたヤツでも、仲間扱いしてくれること、とてもうれしいです。
でも、僕はどうしても臆病だから、"不殺"を受け入れることは出来ません。
家族を守るためなら容赦しないっていう僕のやり方だと、あの子に恨まれるのは当然ですし、今後もたくさんの人たちから恨まれると思います。
でも、こういうやり方をするって決めたから、誰にも謝りませんし、誰がなんと言ってもやめません。
このやり方の正否を決めるのは、人それぞれの譲れない根っこの部分だと思いますから、他所からの意見で簡単に変わるような弱いものであってはいけないと思います。
ルシェリさんたちは、あの子が真っ直ぐ育つよう、見守って応援してあげてください。
あの子ならきっと、すごく強くてすごく正しい巡回司法官になれますよ。
……ルシェリさんは、悲しそうなお顔のまま、去っていきました。
真面目なルシェリさんなら、あの子の思いに真剣に向き合ってくれると思います。
"不殺"しない僕は、そのうちモノカさんたちとは相容れない関係になるかもしれません。
その時が来たら、きっとすごく悲しいと思うけど、
僕が決めた生き方だから、このまま貫くしかないです。
今まで"不殺"だった人が僕のようなやり方に変わっても、それがその人の心からの決断なら、誰にも止められない、と思う。
でも、僕が日和って『これからは"不殺"します』なんて言い出したら、今まで殺した人たちの遺族全員から背中をナイフで刺されても、文句は言えない、と思う。
恨みの連鎖、にだけはならないように気を付けなきゃ。
みんなにターゲットが向かないよう、僕がしっかり憎まれ役を務めないと、ね。




