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墓地の戦い8

 「テッド、明日も家の手伝いか」

 ウィルが眠そうに目を擦りながら喋った。

 「早く帰って、寝ないと明日は仕入れがあるからキツイぜ」

 テッドも眠そうにあくびを押し殺すような仕草をした。

 テッドの家は、雑貨屋をやっていて、テッドはその手伝いをしている。

 ちょっとした食材や、鍋や皿などの家庭で使うものなどを扱っている。

 そして、オレの家は薬屋をやっている。

 母が薬を作って、それを店に並べて売っている。

 薬と言っても、魔法のポーションのようなものではなく、一般的な薬である。 

 母は代々薬を作る家に生まれ、その技を受け継いできたそうだ。

 店は母が一人でやっている。薬の材料は専門の業者が店に届けに来たり、時折行商人が売りにきたりする。

 オレはたまに店番を頼まれたりするぐらいで、今はこれといった仕事をしていない。

 今年オレも十五になった。このパーティーで一番年上は十六のテッドで、他の三人は一つ年下の十五になる。

 オレもそろそろ仕事をしないといけないけど、冒険者との掛け持ちでは雇ってもらえそうな仕事はなかなか見つからなかった。

 ちなみにパムは食堂で手伝いをしている。

 実家が食堂というわけではなく、そこで手伝いをして給金をもらっている。

 パムは父を亡くし、母も後を追うように去年病で帰らぬ人になってしまった。

 そのパムには、小さな弟がいて、その下に妹がいる。

 下の二人の兄妹の面倒を見るために冒険者をしながら食堂で働いている。

 オレはパムの母が亡くなったと聞いた時、パムは冒険者をやめるだろうと考えていた。

 パムには頼れそうな親戚はいなかった。

 当然、幼い兄弟を養うため働く必要がある。

 オレたちのパーティーは、まだ結成して二年と経っていない。

 全員、それほど強いと胸を張って言ない。

 せいぜい、王都の近くの比較的弱い魔物を相手にするぐらいのレベルだ。

 それでも、絶対の安全など無い。敵も命懸けで挑んでくる。

 弱いと侮っていたら命を失う。そんな冒険者を昔から何人も見てきた。

 オレの父もその一人だ。父は冒険者で旅をしていた時に亡くなった。

 母がそう話してくれた。

 だから、パムは兄妹を育てるために仕事をみつけ、危険な冒険者をやめると思っていた。

 それが今でもこうしてオレたちと一緒に冒険者をやっている。

 オレやウィルも、どうして、そこまでして冒険者を続けるのか理由を聞いたことがある。

 返事はこうだ。「好きだから」の一言だ。

 正直オレたちにはパムが何を言おうとしているのかわからなかった。

 それでも、これはパムが決めたことだ。

 もうオレはこのことを口にはしない。

 それでも、オレはできる限りパムに力になるつもりだし、その気持ちはウィルやテッドも同じだ。

 でも、強情なパムが素直に助けてくれとはいうことはないだろうから、それとなくパムの兄妹に会いに行って、困ったないだろうかと様子を見てくるようにしている。

 パムも普段は食堂に手伝いをして、休みのもらえそうな日には、一日でこなせそうなクエストを受けるようにしている。

 そしてクエストといえば、仲間のウィルの実家は冒険者ギルドをやっている。

 今日のこのクエストも、その冒険者ギルドにきた依頼の一つである。

 冒険者ギルドとは、モンスターの討伐などを引き受け、それをギルドに所属するメンバーが倒すことによって報酬を受け取ったりする。

 ウィルの父は冒険者として名を揚げたらしく、ギルドを立ち上げ、ギルド長におさまっていた時には、ギルドには、その冒険者としての彼を慕う者たちが五十人以上所属していて活気に溢れていたのだそうだ。

 でもその彼が亡くなると、ギルドのメンバーは一人減り二人減りと、そして遂には、片手で数えるぐらいのメンバーだけになってしまった。

 それも、その数少ないメンバーもギルドに籍を置いているだけでほとんど顔を見せないときている。

 今では王都にある八つの冒険者ギルドの中でも、最低のギルドになってしまっている。

 そんなウィルのギルドでも、オレたちのギルドだ。

 正直にいうと他の有力なギルドに入りたくなかったわけではない。

 できればオレも力のあるギルドで強くなりたいという思いもあった。

 だが、それぐらいのギルドともなると私をメンバーにしてください。

 では、どうぞ。というわけにはいかない。

 正規のメンバーになるためには冒険者としての実績を積んでから、加入するか。

 それか、下積みを何年も積んでからでないと正規のメンバーにはなれない。

 ましてや、戦いの経験をまったく無い者が行っても追い払われのがオチだ。

 その点、ウィルのギルドはメンバーも少なく、一人でも冒険者が欲しいという切実な理由もあって、来るものは拒まずという方針で加入しやすかった。

 それに友達のウィルのギルドを少しでも以前の活気のあるギルドのようにしてやりたいという思いもあった。

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