エピローグ
「ん……もう、朝か」
小鳥の声とともに目覚める業平。あれから数か月。冒険者ギルド用の住居で、業平は暮らしている。
「おはようございます、業平さん」
その傍には日花がいる。魔神バータとの戦い以来、二人の仲はより親密なものになっていた。
「業平お兄ちゃん! 日花お姉ちゃん!」
ピアは、二人が預かることになった。ルメアが居なくなったことを知ったたときにはわんわん泣いていたが、今は前を向いて歩きだしている。
「どうした、ピア」
「あのね、街を走る、たくさんの鉄の塊の話を聞きたい!」
今では二人の元の世界の話を聞くのがお気に入りだ。
正午になると、二人はピアをつれて、住居を出る。
「あ、業平さん! この前は商隊ルート上の魔物の掃討、ありがとうございました!」
商人ギルドはこれまでの悪事が大々的にあばかれ、解体された。再編された後は、健全なギルドとして機能している。
「いや、報酬ももらったし、お礼を言われるほどのことじゃないよ」
「業平さん、日花さん! それにピアちゃん! こんにちはっす!」
冒険者ギルドにたどり着くと、ファルンが快活な笑顔で出迎えてくれる。
「今日はちょっと軽い仕事を受けに来たんだ、何かあるか?」
「はい! えーっと……最近ダンジョンの浅い階層で魔物が多くなってきているので、そちらを掃討していただくクエストなんてどうですか?」
「じゃ、それで頼む、ピアを預かってくれるか?」
「了解っす! ピアちゃん、しばらくお姉ちゃんと遊んでくれる?」
「うん! ファルンお姉ちゃんだ~い好き!」
何度か一緒に冒険者ギルドに通うようになって、ピアはすっかりファルンになついている。
「それじゃ、行くか、日花」
「はい、業平さんっ!」
無意識に手をつなぐ二人。これからも多大なる苦難が二人を待ち受けているが、二人に育まれた絆は、どんな闇でも必ず打ち払うことができるだろう。
終
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