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SIDE: ルカ・ハニエル
ルカは眠るように息を引き取るメアリの顔を愛しそうに見つめていた。
(大丈夫だよ、メアリ。僕はきっと今なら君に優しくできると誓えるよ。
初めて会ったお茶会のときに冷たくあしらうこともしないし、馬車を襲撃された恨みを君にぶつけることなんてしない。レオ・ギルベルトだって君に近づけさせたりなんてしないから)
卓上の香炉は時を戻す。功を立てた先祖が爵位とともに王家から賜った聖遺物だ。
長年しまい込まれて埃を被っていたのをつい最近発見したのだ。
ねえ、だからメアリ、悲しまないで。
そんなおびえた目で僕を見ないで。
僕が狂気に堕ちてしまいそうだから