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SIDE: ルカ・ハニエル


 何をやっているんだろう、僕は。



 咄嗟とっさに動いてしまったことを取りつくろうように、口はすらすらと言葉をつむぐ。


 貴族社会を生き抜くために身に着けたもう一人の自分の仮面はこんな状態でも、心を無にしていたって、いとも簡単に言葉をつむぎだしてくれる。


 僕の虚言きょげんでレオ・ギルベルトはけて行った。


 目の前にいるメアリ・ジェーンのプラチナブロンドの淡い髪は夕日に照らされて光り輝いていた。


 晴れた空のような色の瞳は見開かれ、見たことのない表情だ。


 きまずそうに伏せられるまつ毛は長く、そのまつ毛の下からしずくこぼれ落ちるんじゃないかという恐れが心に広がる。



 しばし呆然ぼうぜんとしていると耳を疑う言葉が彼女の口からつむがれ、驚愕きょうがくで目が見開かれた。



 ――貴方のことが好き



 いつもなら一笑いっしょうしてそんなことを言ってくる令嬢を何度も切り捨ててきたものだった。


 だが、目の前の彼女の言葉に対して咄嗟とっさに口に出せない自分に戸惑いが心に広がる。



 彼女の真摯しんしな空色の瞳に、吸い込まれるようだ。



「僕は……正直、君のことが好きかどうかはわからない」


 僕の言葉にメアリは身を強張こわばらせた。


 仕方ないだろう、僕はまだこの気持ちをみ込めていないんだ。

 


 「だから……もっとお互いのことを知らなくては。友達から、仲良くしてくれないか?」



 自分から差し出した右手と声は思いのほか優しく、メアリはその手を取ると、柔らかくほほ笑んだ。




「はいっ……!」


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