事情聴取 5
私の言葉に、ガリュー副団長とイグニスさん、セレナが息を呑む。
沈黙が白い会議室に広がる。
誰も一言も発せずにいる。
突然、こんなことを言ったのだから、皆押し黙るのも当然と言えば当然かもしれない。
何かが欠けていて発動しない聖女の魔法、その欠けているものを私が持っている、なんて。
ただ、こちらとしても、何の根拠もなくそう言ったのではない。
聖女が魔法…浄化と回復の魔法を使ったとき、私の体からも魔力が放出された感覚があったこと。
そしてその後ステータスを確認したら、浄化と回復のレベルが上っていたこと。
私には、闇の魔力には有り得ない浄化と回復のスキルがはじめからあったこと。
ユナと同じく、常識外れの膨大な魔力を持っていること。
そして私もまた、うまく魔法をコントロールできていないこと。
これらのことを考えると、聖女と私が無関係だとは到底思えないのだ。
「あはははは!」
静寂をぶち壊すように、明るい笑い声が響く。
ビクリと驚いてしまったが、笑い出したのはゼスト団長だった。
「兄上…?」
「団長…?」
皆、戸惑ったようにゼスト団長を窺う。
一方、ゼスト団長はというと、本当に楽しそうに笑っている。
私はどうしたらいいか分からず、セレナの方を見るが、セレナも戸惑った表情をしているだけだった。
「いやー、そうかそうかー。そうだね、そうだね。うんうん。」
ゼスト団長が1人で何か納得して頷き始めた。
「あの…?」
「兄上、何か分かったのか?」
ガリュー副団長が、晴れやかな顔をして『問題解決!』といった風情のゼスト団長の肩をつかみ、食い下がる。
「いやね、どうして気が付かなかったんだろうね。考えてみれば当たり前なんだよ。」
ンフッ、とゼスト団長は吹き出しながら答える。
「魔法の強さって、突然変異もあるけど、ほとんどは遺伝だ。血の濃さがものを言うんだよ。君たちは姉妹だね?妹が聖女なら、姉だってそれと匹敵する力があって当然なんだよ。しかも、2人同時に時空を超える召喚を受けた。元の世界は魔法が無い世界…つまり、魔法は召喚された時に根付いたってこと。当然、2人同時に。」
フフッと笑って、ゼスト団長はゆっくりと顔を上げ、こちらを射るように見た。
「君たちは、その時、何をしていた?」
召喚された時のことを思い出す。
婚約者と3人、婚約破棄の修羅場で。
『ごめんねえ〜』なんて白々しく泣き真似をしたユナが憎たらしくて。
『一発殴らせろ!』と叫んで。
「……ユナに、聖女に掴みかかってました。襟元を掴んで、手が顔や首に触れていて……」
「……ね?そういうことだよ。」
「つまり……聖女の力が付与されるその時に、共にいたレイにも聖女の力が入り込んでしまった……ということか!?」
ガリュー副団長が椅子から立ち上がりながらゼスト団長に詰め寄る。
「お前は本当に頭が良いねえ。」
ゼスト団長はのんびりと答えた。




