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平成最後の〇〇  作者: 桐ヶ谷 海帆
7/7

最後で最初

4月30日 23時50分


 僕は、ラインをくれた家族、今まで一言も発言した事のない高校一年の時のクラスのライングループ、高校二年のクラスのライングループ、中学のラインのグループに一斉にラインを送る。



 その言葉はいたってシンプルだが、この日にとてもふさわしい言葉である。



23時53分


 本日の目的地で、人生で一度入ってみたい場所であったところを、一番綺麗に眺められる建物に到着する。



23時56分


 その建物に侵入し、最上階に到着した。



23時57分


 柵を乗り越え、夜風と景色を楽しんだ。

 ケータイのアラーム機能で23時59分にセットする。



23時59分


 ケータイが大きな音を立てて振動する。


 僕は後ろを向きゆっくりと目をつぶり、心の中で50秒数える。




23時59分50秒



 




 僕は飛んだ。






 この世界の誰よりも早く飛んだ。





 もう後戻りはできない。



 計算上数秒のはずなのに、とても長く感じる。




 走馬灯が見えてくる。



 僕の中に残ってる生まれてきて最初の記憶。

家族はみんな嬉しそうに僕をみていた。


 小学校の入学式

 とてもニコニコしながらランドセルを背負い、学校に向かう僕。



 小学校の卒業式


 卒業の言葉を大声で叫び、大声で歌った思い出、両思いだった人とと別の中学に行くことになって泣いた思い出。


 たくさんの悲しい思い出。



 卒業してから数日後の4月1日


その子とディズニーに行った思い出。



 数日後の中学の入学式の思い出。


 同じ小学校だったこと待ち合わせしていった思い出。


 制服を着て学校に行くことにわくわくしてた思い出。



 部活に入部した時の思い出。



 部活を引退した時の思い出。



 中学の卒業式の思い出。

別々の道に進む友達と、校門前で写真を撮った思い出。

泣きながら、でもなぜか嬉しかった。



 高校の入学式の思い出。

進路にたくさん悩みながら進学した高校は中学の友達がいなかった。

とても心細く、寂しかった思い出。



 そんな僕に話しかけてくれる人は何人もいた。


しかし僕はそれを退け、自分から離れていったんだ……。




 僕を育ててくれた「平成」という時代。





 僕は少し後悔した。




 自分では充実してないと思ってたけど、それは間違いだった。




 僕の瞳からは一滴の雫がこぼれ落ちた。






















5月1日 0時00分




僕は「令和で初めて死んだ人」となった……。




 


 







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