誰かの上に成り立つ幸せ
「あなたがいなくて、私に迷惑がかかったんだから、謝るのは当然でしょ。」
しらんがな。
「そう言うのは、やっている相手に言ったら?言う相手が違うと思うよ。」
始業のチャイムが聞こえる。
あーぁ、遅刻決定ですか。はぁ。
「違わないよ!!佐藤さんがいれば、丸く収まるのに。私だって平和に生活できるのに!」
ボロボロと泣きながら訴える村木さん。
「つまり、私を犠牲にして踏み台にして手に入れた幸せだったけど、その踏み台が抜けて自分の力量だけになったら、手が届かなくなった。踏み台は踏み台らしくしていろ、と。」
「そうよ。あなたがいれば、私は……」
「幸せ?」
「そうよ!!」
「あっそう。確かに何かの犠牲の上に幸せがあるのかもしれないけど……」
お金と言う犠牲を払うから物が買える。周りが支えてくれるから、立ち上がることができる。
……確かにね。
「でもさ、善意とか相手の了承を得てやるのならまだしも、勝手に蹴落としてその上に立ちたいから踏み台やめんな、なんてさすがに納得は出来ないよ。やってることは、あいつらと同レベル。まぁ、最初からやってることは同レベルだから、それ以下か。」
自分の保身のために、こちら側から抜け出すために蹴落とすほうに回っているからね。
私が言い終わった瞬間に体が後ろに飛んでいた。
両手を前に付き出す村木さんがいる。
階段で突き飛ばされたら、だいたい事件に発展するよー。
とりあえず、頭をかばいながら体を横に倒す。
さすがに縦ローリングはまずい。
ゴロゴロと階段を転がり落ちて、踊場で止まる。
「いっ。」
いたい、とすら言葉に出せない。
本気でいたい。
私の呻き声で我に返ったのか、慌てて走り去る足音が聞こえる。
しばらくその場から動けないでいる。
授業中だから、誰かが通りかかることはない。
痛いと思いながら、ゆっくり体を起こしてみる。
血溜まりが出来ていることもなければ、骨折している様子もない。
どうやら、打ち身をしまくったようである。
「いたたたた……」
さて、どうしようか。
このまま授業にでる?
ここで授業が終わるまで待つ?
どうせ、私一人いなくても、世界はまわっていくのだから。
「よいしょっ。」
サボるにしたって、もっともっと人通りの少ない所にいこうかな。
身体中が痛いけど、歩けないことはない。
どうせなら、痛みも麻痺するほどの苦しみが訪れればいいのに。
こそこそと進む、ように見せかけて、ただ体が痛いだけ……
校舎の裏の影に座って、空を見上げる。
綺麗な青空を見ながら、ため息を一つ。
空は繋がっているよ。って言うけど、さすがに夢には繋がってないか。




