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帰ってきた日常

 次の日。

 久々のセーラー服をきて、通学路を重たい足取りで歩いていく。

 見慣れた建物に歩きなれた道。


 久々だなぁ。

 こんなに車が走っているのを見るのも、見上げた信号がチカチカしているのを見るのも。

 学校が近づいてくるにしたがって、気持ちがわるくなってくるのも、歩くスピードが遅くなっていくのも。


 ただひたすら下を向いて、右足をだしたら左足を、次は逆で……

 足を動かしていけば、いつの間にか靴箱に到着する。


 靴を替えようとすれば、室内履きの上には山のような砂ぼこりと綿ぼこり。


 一週間休まず入れてたの?

 何て暇な人たちなのだろうか。


 靴を替えて、教室の前までくる。


 ため息を一つついて、扉を開ける。


 がらがらと聞きなれた音と共に、見慣れた黒い服をきた黒い髪の黒い瞳がこちらを一斉に向く。


 懐かしさに思わず涙が出そうになる。

 あぁ、帰ってきたんだなぁって。


 色とりどりの向こうの人たちと比べれば、異様な雰囲気なのが改めてわかる。

 黒一色って威圧感すごいね。


「きたよ。こなきゃいいのに。」

「帰れ帰れ。」


 私も来たくないんだけどねー。

 てか、そんな嫌なら自分達が帰ればいいのに。

 私は今、必死こいて来たんだから、絶対帰らないよ。


「まさか、自分が言われてるって気づいてないとか。」

「ばっっ。ちょっ。ウケる!!」


 バッチリわかってますよ。

 わからないほどお人好しでも、お花畑でもないよ。


「てか、死んだんじゃなかったの?」

「トラックに引かれたんでしょ?怪我してないじゃん。」


 いや、「バック」してきた「軽トラ」に引かれたから、さすがに死ねないわ。


「ほんと、ほんと。いつもの虚言でしょ?」

「もうちょっとバレない嘘つけばいいのに。」


 ほんとにね。私も思うよ。

 あなたたちだって、もうちょっとバレないように悪口言ったら?


 ひそひそと交わされる悪口に心のなかで返事をする。


 席に着き、チョークの粉で真っ白になっている机の上を手で払う。

 以前と同じように席に座って、鞄から本を取り出す。


 内容なんか全然入ってこないけど、タイミングよくページを捲る。


 ただ、周りからのひそひそ話をひたすら聞いている。


 その言葉の羅列に涙が出そうになる。


 きっと、優しい人たちに甘えていたから弱くなってしまったんだろう。

 でも、私の世界は、これ。


 思い出せ。


 ほら、担任だって私の顔を見てめんどくさそうな顔してる。


 この空間の中での私の立ち位置は、一週間では揺らがなかったようだ。


 あいも変わらぬ日常にただため息をつこうとして、飲み込むしかなかった。

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