【閑話】ある晴れた昼下がり(後編)
私の忠告を聞いた三人は、なんだか微妙な顔をしている。
どうかしましたか?と聞こうとしたら、ガサッと葉が擦れる音がする。
お姉さん方は、蜘蛛の子を散らすようにいなくなってしまった……
一体なんだったんだ?
周りを見渡しても誰もいない。
どうやら風が吹いただけのようだ。
まぁいいか。
とりあえず、岸に上がろうとするが、服が水を吸って重たい。
勢いを付けて、岸を両手でグッと押し上半身を外に出す。
そのまま片足を陸にあげて、ローリングした。
なんとか岸にあがり、寝っ転がる。
真冬じゃなくてよかった。
靴下が気持ち悪いので、脱ぎ捨てていると、誰かが立っているのに気がついた。
「あ」
「……」
「いや、これは」
「ギャーーーーーー」
えーーーーーーー。
何故悲鳴?
悲鳴をあげて、走り去ったのは、見回りをしていただろう騎士だった。
説明しようとした台詞が浮気がばれた人みたいだったな。
反省会を開きながら、スカート下やブラウス、髪を絞る。
「ちょっと、なにやってるのよ!」
声のほうを向けば、レティシアがものすごい勢いで走ってきていた。
そして、問答無用でなにかを被せられる。
「もう!なにやってるの!!そんな格好で。」
把握。
『ウォッシュ』と『ドライ』の魔法で体を乾かす。
これでどう?とレティシアを見る。
あれ?盛大にため息をつかれた。
「違う!!」
「なんで?」
「その格好よ!!」
言われて、自分の格好を見下ろす。
靴下を脱いで素足、ズボンにブラウス。
「なんかへん?」
「そんな足を出したらダメよ!!」
「へ?」
「そういうものなの!!」
あ、だからあの人は、慌てて走り去ったわけか。
「なるほど。」
「なにやってるのよ。」
「なにって……」
池を振り返り……
「服、どうしよう?」
「あとで回収するわ……で?」
「で?あ、状況ね。」
斯々然々。
「なるほど。わかったわ。」
それは状況がってことですよね?犯人が、とか言わないよね?
「アイナってそつなくこなす感じよね。」
「そんなことないよ?」
だって、小さい頃に体が固いからと通わされた体操教室だって、他の子は跳び箱を八段跳んでたけど、私は六段止まりだった。平均台は好きで、平均台の上で側転は良くやったな。
その後、お姉ちゃんと同じスイミングスクールに変わったけど、お姉ちゃんは検定にサクサク合格していくのに、私は全然だった。
習字だって、夏休みの宿題のコンクール系でも入賞なんてしたことない。
フォローなのか先生に「最後の一人をあなたと〇〇さんと悩んだけど、今回は〇〇さん。あなたは他の場面で活躍出来そうだから。」と。
他の場面でも同じことを言われてしまったら、活躍はない。
賞状なんて、画用紙に印刷された「頑張ったで賞」か「皆勤賞」ぐらいである。
しかも、その道のプロからしたら私は手抜きがすごいだろう。
なんとなく出来ているだけで、きちんとは出来ていないと思う。
「どこを平均的な感じじゃない?可もなく不可もなく。いや、不可よりかもしれない。最低限出来ているように見えるだけで。」
「相変わらず、ね。」
「なにが?」
「なんでもないわ。風邪をひく前に室内に移動するわよ。」
その言葉と同時に足が地面から離れる。
あぁ、毎度お馴染みのドナドナですか。
お付き合いいただき、ありがとうございました。




