正攻法
その後色々探したが、凛が見つからないという情報が入り、そのまま数日たった。
しかし、その間にあの欠片の正体がわかった。
「あれはクオーツでした。」
アレンが教えてくれた言葉にひっかかる。
クオーツ?
えーと……石英、玻璃……水晶か。
「知ってるの?」
「元の世界でもありました。」
「そうなんですか?しかし、あれは変わっていて、元は無色透明な結晶だったようです。」
「え?無色透明がスタンダードではないんですか?」
水晶と言えば、無色透明が一番に思い浮かぶけど。
「紫水晶が多いですね。」
「そうなんですか。」
確かに二月をアメジストって呼んでるからね。
「ん?でもあれ、黒水晶でしたよね?」
「どうやら、封印に使われたことによって、黒く変色したみたいです。」
へー。そんなことあるんだ。
「無色透明のあのサイズのクオーツは、なかなか手に入りそうにないっすよね。」
「国庫とかにないの?」
「「「え?」」」
「いまなんて言いました?」
「え、だから、そんなに手に入らないものなら献上されてないのかなって……」
「なるほど。」
「いやいや、もしあったとしてもどうやってお願いするのさ。」
「そんなの聖女様を助けるためっていえば、よくないですか?」
「そうだよ。チョコにいえば……もとい、アルフォード様に頼めばよくないですか?」
「ちょっと待って。いまなんて言った?」
「変なあだ名が入ったよな?」
「チョコってなんすか?」
「いや、忘れて。」
「ほら。誰にも言わないから言ってごらん。」
ぐっ。ほんとに言わないでね。
「チョコ。」
「なんで、チョコ?」
「元の世界に似た名前のチョコとクッキーのくっついた甘いお菓子があるから……」
「「「「……」」」」
すみません。
「ほかにあだ名付けてないですか?」
「付けてないです!!」
あれ?付けて、る?餅とか小豆ちゃんとか?
まぁ、あれは。
「たぶん、大丈夫です。」
「本当に?」
「はい。」
外に漏らさないよう気を付けよう。
「では、ちょっと交渉に行ってきます。」
アレンがどうやったのか、交渉はうまくいったようで、次の日には水晶が執務室に届いていた。
「どうやったんですか?」
「秘密です。」
リアムがアレンに聞いているのを横目で見ながら、ちょっと離れたところでノアとウォルターと密談する。
「どうやったと思う?」
「きっと、正攻法ですよ。」
正攻法がどんなことかはわかんないけど。
「正攻法って、殿下を脅したってことっすか?」
なぜそうなる?
「違うよ。団長を脅して交渉させたんだよ。」
だから、なぜそうなる?
「二人とも、分隊長のイメージがそんな感じなんですか?」
まぁ、確かにブリザードのイメージではあるけど……基本脅してるの?
「アイナちゃんは、知らないんだよ。」
「そうそう。結構」
「何を知らないって?」
突然の声にあわてて振り向けば、そこにいたのはもちろんアレンで……
「「「ひっ。」」」
わ、私は何も言ってませんよ?




