斜め上の発想
次の日。
誰が鈴を付けにいくのかと思いながら、執務室に向かって歩いていくと、前からズンズンと凛が歩いてくる。
こういうときって「おはよう!」みたいにのんきに挨拶したほうがいいのかな?
立ち止まって考えていると、すれ違いざまに腕を取られ、そのまま引っ張られていく。
「ちょっ、ちょっと!」
そのまま引っ張られて連れてこられたのは、私が虹を出して遊んでいた庭園だった。
「もう!なにさっ。」
ぶん、と手を振れば呆気なく手をはずされる。
「……。」
「で、何の用です?」
「……。」
えー。自分で連れてきておいて、無視ですか。
ん?もしかして、また、闇落ちとか言いません?
嫌な予感を感じながらも、凛をジーッとみる。
「全部……」
「あのさっ」
うわ、被っちゃった。
「どうぞ?」
「……。」
「……。」
「全部……全部、あんたのせいよ。」
「はい?」
「わかんないって直ぐ調べてくれないし……全部、全部!!あんたのせいじゃない!!」
意味わかんない!謎理論きたー。
私のことを斜め上の発想って、オリバーたちに言われるけど、この人こそ、斜め上の発想じゃないですかね。
「なぜそうなる?」
「鏡くんはね。本当に優しい人なの。あんなことする人じゃないの。あんたたちがすぐに魔法使いを捕まえてくれないから被害が出たんじゃない!!」
「いやいや、本人の責任じゃん。」
「あんたが責任取りなさいよ。」
会話が成り立っていない。
誰か間に入ってくれないかな、と思っていると、凛の後ろに黒い影が。
凛、後ろ、後ろ!!みたいにやったほうがいい?
「あんたか。」
凛の後ろにいたのは、件の魔法使いだった。
「こいつはすごい。不安、不満、怒りや恨み、妬み、負の感情がたくさんだ。これがあれば、私は強くなれるのだ!!」
凛の声を使って魔法使いがしゃべっている。
「はぁ、そうですか。」
「あなたをみているとイライラするの。死んでくれない?」
凛の口調に戻ったかと思うと、言うと同時に私に向かって飛びかかってくる。
自己防衛のために以前アレンがやっていた氷の剣を作り出す。
出来上がったのは、細長い枝が十字になっているようなものだったが、はじめてにしては上出来である。
ひゅん、と空を斬る音をさせ凛の喉元で剣先を止める。
さすがに凛の動きも止まる。
「あら?前と同じことをする気?」
「残念。人間は学習する生き物なの。護身術を教えてもらった流れで、剣術もちょっと教えてもらった。」
「私を殺せるの?」
「やってみる?」
たぶん、出来るよ?
ニコリともせず、無表情で凛をみる。
「私たち、友達じゃなかったの?」
「さぁ?」
剣が冷たいから、さっさとやるならやってしまおうと、剣先を喉元からはなし振り上げた。




